国の天然記念物「奈良のシカ」が奈良公園の外にある住宅地に多数出没していて住民を悩ませています。
専門家は、いま個体数の増殖を止めないと取り返しがつかなくなると、指摘します。

【田中友梨奈アナウンサー】(10日午後3時すぎ)「いま、車道をシカが渡ってるんですけど、車が通っても全然驚いた様子はないですね」

奈良公園…ではなく、住宅街にシカ。

しかも1頭だけではありません。街中にシカの姿が…。
増えすぎたシカが奈良公園の外に“溢れて”いて、奈良の鹿愛護会中西副会長は、住宅街が“ミニ奈良公園化”していると話します。

【奈良の鹿愛護会・中西康博副会長】「ここ数年はメスのシカがどんどん出ていっている。追い出されたメス鹿が外にいたオスシカと合流して、外に“居住地”をつくり始めている。オスとメスがいて、そこで繁殖したら、そこ“ミニ奈良公園”になるんですよ」

■奈良公園の「神の使い」は“角きり”も住宅街にすみ付いたシカには大きな角が…

奈良公園から2キロ以上離れた住宅街では…

【記者リポート】「5メートル離れた場所にいますが、奈良公園のシカと違って少し近くづくとすぐに顔をあげて警戒した様子をみせています」

この住宅街で10年以上、清掃業務をしている人は、多い時で20頭ほどのシカがいると証言し、「私らが掃除しても、すぐに反対向いたらダダダーって(フンを)してる、『振り向いたら突進された』と住民さんたちが言うてます」と話します。

奈良公園では、「神の使い」と呼ばれ国の天然記念物に指定されているシカ。

公園内のシカは人に被害を与えないよう秋に角を切られますが、住宅街のシカはこのように大きな角が生えたままとなり、突進されると危険です。

■住民たちが悩む食害 花壇の花も街路樹も

奈良公園ではなく、住宅街に棲み付いたシカ。

さらに、街路樹の葉をむしったり、花壇に植えられた植物を食べたりと、シカによる食害が深刻化してるのです。

住民の中には育てていた花のつぼみをシカに食べられてから、ネットをかけて防御策を講じるようになった人も。

【住民は】「もうひどいひどい。ひどくなってます。ネットをかけていないと、ほんまこのちょっとした隙間あいたらすぐ。この菊でもね、新芽がいいのかな。みんなかじるんですよ」

■道路に出てくるシカ それを撮ろうとする観光客 交通の危険も

さらに…

【取材記者】「JR奈良駅から300メートルほどの住宅街にある公園です。あちらにいるのがシカです。足元に目をやりますと、フンでしょうかかなり多くのものが残されています」

シカももちろん食べればフンもします。住民は、臭いに悩まされながら、フンの掃除をしてるということです。

さらに取材班は車が多く行き交う道路を、シカはお構いなしに、悠々と歩く現場にも遭遇。車や住民の通行が妨害されることも多くあるといいます。

【付近で働く人は】「道路に出てるシカを撮るために道路に出る観光客の方がいたりするので、それはちょっと危ないかな」

■県は公園への誘導を試みるも…棲み付いているのは公園から出たシカの子どもの可能性

今や、住民の生活を脅かすまで増えてしまった奈良公園の“外”のシカ。

「奈良の鹿愛護会」の中西副会長は、今後、さらに頭数が増えてしまうと懸念を抱いています。

【「奈良の鹿愛護会」・中西康博副会長】「オス1頭メス3頭がいたら、20年で400頭なる。オスメス1頭ずつでスタートしてもドンと増えるから十分繁殖する」

奈良県などは、シカを公園に誘導する「追い上げ作戦」を実施しています。

ただ、中西副会長によると、このシカたちは、公園から出たシカの子どもの可能性があり、「奈良公園」を知らないため、なかなか公園にすみ付いてくれないと指摘します。

【「奈良の鹿愛護会」・中西康博副会長】「(シカにとって)一応、奈良公園が安全安心なんで、これはやっぱり対応考えてもらいたいなと」

「神の使い」とされてきたシカに困惑する奈良市。

住民の生活と安全を守るために、早急な対策が求められています。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年7月10日放送)

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