暑い時期にも火を使わず手軽にたんぱく質がとれるかまぼこ。その原料のすり身がいま、値上がりしています。福井の老舗は、価格をできるだけ守ろうと厳しいやりくりを続けています。
取材したのは、福井市の安田蒲鉾。
田島嘉晃アナウンサー:
「こちらにあるのが、かまぼこの主な原料となる、魚のすり身。いま、仕入れ価格が上がっています」
安田蒲鉾の高木淳一専務取締役は「9月にも1キロあたり60円から100円の値上がりの可能性があるとメーカーから話を聞いている」と話します。
「年間40万~45万キロぐらいのすり身を使用している」といい、年間約40万キロとして計算すると、1キロ100円の上昇で、年間4000万円規模の負担増です。
この負担は、安田蒲鉾だけのものではありません。
日本かまぼこ協会などは6月、製造コストの高騰について、「状況が改善されなければ水産練り製品の安定供給が困難」と訴えています。
すり身が高くなっている背景の一つには、海外での需要の広がりがあります。
カニカマなど、すり身を使った食品が海外でも食べられるようになり、原料価格が上がりやすくなっています。
さらに、商品を包むフィルムも値上がりします。希望する資材が入らないこともあるといい、包装フィルムは9月から3割から4割ほど値上がりする見通しです。
包装資材や物流費、電気代で費用がかさみ、練り製品の業界全体でコストが重くなっているのです。
価格転嫁について安田蒲鉾では「今のところ秋に価格の変更は考えていない。200数十年続く企業なので先人の味を守り続けたい。できるだけ値段は抑えたままでいけるところまでいきたい」とします。
現在は、値上がりする前に仕入れた、すり身の在庫がありますが、今後は高くなった原料も使わざるを得ません。
安田蒲鉾では、太陽光の活用などで、コストを少しでも抑えようとしています。
「最も基本的なことで、家庭と同じように社内でも経費削減の協力をお願いしたいと常々、従業員に伝えている」
現在の価格を守るために、福井の老舗は厳しい状況でやりくりを続けています。
原料のすり身は、ちくわやはんぺんなどにも使われます。冷蔵庫からすぐ出せる手軽な一品の裏で、作る側は手軽ではない努力を続けています。
