福島第一原子力発電所での処理水の海洋放出をめぐり、7月10日午後4時17分、放出前の処理水をためているタンク群のひとつで警報が発生した。現在放出を実施しているものとは別のタンク群での警報であるため、放出のスケジュールに変更はないという。
東京電力によると、警報が発生したのは放出前の処理水をためているタンク群(10基を1群として配管でつないでいる)の1つ。放出前にトリチウムなどの濃度が基準を満たしているかを確認するための分析を行うにあたり、タンク内の水の循環・攪拌を行っているが、警報の発生によりこれが自動停止したという。
東京電力は原因を調査中としているが、3つあるタンク群のうち、現在処理水を放出しているものや、次に放出を控えているタンク群とは異なるため、放出停止などの影響はなく、現時点で今後のスケジュールにも変更はないとしている。
福島第一原発では2026年度3回目(通算21回目)の放出を7月6日に開始。7月24日までの19日間で約7,800t(タンク約8基分)の処理水を海水で薄めて海に放出する計画となっている。
福島第一原発1号機から3号機の原子炉の中には、事故で溶け落ちた核燃料が固まった“燃料デブリ”が存在する。“処理水”はこの燃料デブリなどに地下水や雨水などが触れることで発生する“汚染水”から大部分の放射性物質を取り除いたもの。海洋放出は2023年8月に開始され、前回の放出終了時までに約15万7,000t(タンク約157基分)の処理水が放出された。
処理水の放出は、敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らし、廃炉のためのスペースを開けることが大きな目的のひとつ。2026年6月25日の時点で、処理水等の貯蔵量は放出開始前から約7%減少している。貯蔵されている水の中には処理水放出の基準を満たす前の“処理途上水”も含まれている。
国と東京電力が掲げる第一原発の廃炉完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年とされている。
