石川県七尾市で寺の住職が殺害された事件で、逮捕されたのは同居する30歳の長男だった。被害者は地域づくりにも尽力し、穏やかな人柄で知られていた。一方、容疑者も「爽やかなご子息さん」と評され、事件前には親子で仲良く作業する姿も目撃されていた。周囲が「まさか」と口を揃える事件の裏で、親子に一体何があったのか。

住職はなぜ息子に殺されたのか 穏やかな父と“爽やか”な息子の間に何が

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7月8日午後1時半ごろ、事態は衝撃的な形で発覚した。七尾市内のコンビニを訪れた男が、店員に「父親を刺した」と告げたのだ。このコンビニは、男がアルバイトとして勤務している場所だった。

長男がアルバイトをしていたコンビニ
長男がアルバイトをしていたコンビニ

店員からの通報を受け、警察が男の自宅である七尾市山崎町の寺に併設された住宅に急行。すると、台所兼居間で、この家に住む寺の住職、長澤秀豊さん(70)が仰向けで倒れているのが発見された。長澤さんの胸には複数の刺し傷があり、その場で死亡が確認された。田んぼや住宅が点在するのどかな地域で起きた事件に、鑑識による捜査が行われ、現場は物々しい雰囲気に包まれた。

逮捕された長男と殺害された“地元の名士”

警察は、長澤秀豊さんの長男で同居する長澤秀慈容疑者(30)を殺人の疑いで逮捕した。秀慈容疑者は警察の調べに対し、「刺し殺したことに間違いない」と容疑を認めているという。

送検される秀慈容疑者
送検される秀慈容疑者

殺害された秀豊さんは、約100軒の門徒を持つ寺の住職を務める一方、地元、南大吞地区の地域づくり協議会の会長も歴任するなど、地域活動にも精力的に関わっていた。突然の事件に、住民からは驚きと悲しみの声が上がっている。

秀豊さんの同級生だという男性は「同じ町内で同級生です、僕は。お勤めしてもらったり…。びっくりしました。まさか、こんなお寺でこんなことが起きるなんて、思いませんでした」とショックを隠せない様子だった。

「まさか」周囲が語る“穏やかな親子”の姿

秀豊さんを知る人は、その人柄を「穏やかな感じの方ですね。皆さんのお話を聞いて、最後に『こう思いますよ』っていうような」と語る。地域にとって「大変な方だった」と、その死を惜しんだ。

一方、逮捕された秀慈容疑者についても、周囲からは「特別そんな変わった感じはなくて、爽やかなご子息さんだったと思ってますけど」という声が聞かれた。容疑者は、父である秀豊さんと一緒に寺の伐採や草刈りなどを手伝う姿も見られていたという。

事件が起きるわずか3日前の7月5日の日曜日にも、親子はそろって寺の掃除に参加しており、トラブルを抱えているような様子はなかったそうだ。住民は「びっくりしてます。まさかっていう感じですかね。これからどうなるんだろう、っていう感じ」と、信じられないといった表情で話した。

犯行は事件発覚前日か…自宅にあった刃物で

その後の捜査で、事件の詳しい状況が明らかになってきた。警察が司法解剖を行った結果、秀豊さんの死因は胸を刺されたことによる失血死で、死亡したのはコンビニに事件を告げる前日、7月7日の夕方頃だったことが新たに判明した。当初、殺害されたのは7月7日午前9時半から8日午後1時ごろまでの間とみられていたが、死亡時刻が絞り込まれた形だ。

凶器は自宅にあった刃物である可能性が高いことも分かっている。

穏やかだった父と、爽やかと評された息子。周囲が全く予期しなかった親子の間に、一体何があったのか。警察によると、秀慈容疑者は殺害の動機について、辻褄の合わない供述をしているという。

送検される秀慈容疑者
送検される秀慈容疑者

警察は7月10日朝、秀慈容疑者の身柄を検察庁に送った。今後は、殺害に至ったいきさつや詳しい動機、そして責任能力の有無も含め、慎重に調べを進める方針だ。地域に愛された住職の突然の死は、住民に大きな衝撃と悲しみを与えている。事件の全容解明が待たれる。

(石川テレビ・7月9日、10日放送)

石川テレビ
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