泥だらけで遊び、五右衛門風呂でリラックス。薪を割って火をおこし、包丁を手に料理も作る逞しい子供達。毎日がまるでキャンプのような生活を送る森の中の幼稚園が今、話題となっている。子供達の生きる力を日々の生活で育む幼稚園の魅力に迫る。

自然の中で四季を五感で感じる教育

福岡市東部に隣接する新宮町。海岸は玄海国定公園に指定され、自然豊かな地域として、子育て世代に人気のエリアだ。この自然を生かし、子供達に様々な体験をさせることを教育方針としている『しんぐう里山ようちえん』は、ユニークな存在として保護者にも人気だ。

3歳児から5歳児までの23人が通う小規模幼稚園で、築100年以上の古民家が子供達の活動の拠点。

この記事の画像(24枚)

いわゆる一般の教室はない。

「基本的には園舎ではなく、この森全部が子供達の遊び場です」と語る幼稚園マネージャーの角南明子さん。

『しんぐう里山ようちえん』マネージャー 角南明子さん
『しんぐう里山ようちえん』マネージャー 角南明子さん

その言葉通り、暑い日も寒い日も遊び場は自然の中。

この日は、地域の人から借りているという近くの田んぼへ出掛けた。

「カエル~!」田んぼに着いた子供たちは、早速、カエルを見つけ興味津々。

中でも体長15センチはある大きなオタマジャクシに目を奪われていた。

たくさんの生き物と触れ合った後は、泥を投げたりレースをしたり、自然と触れ合いながら子達は、服が汚れることも気にせず思い切り遊んでいた。

「自然の中で四季の色々な自然を感じながら幼児の時に一番大切な五感を使って色んな体験をするのが一番の特色」と角南さんは話す。

五右衛門風呂や薪割りから調理も

泥んこになって幼稚園に戻った後は、“五右衛門風呂”でゆっくりと温まる。子供達の園での生活は、懐かしい昭和の原風景のようだ。

そして、皆んなが大好きな食事の時間にもこの幼稚園ならではの取組みが盛り込まれている。近くの畑で野菜を収穫。

ズッキーニ
ズッキーニ

大きく育ったズッキーニや畑からゴロゴロ出てくるジャガイモ。

普段から畑で様々な野菜を育てている子供達は、週に1度、収穫した野菜を使い、自分達で食事を作る野外炊事を行っている。この日作るのは、タイ料理の定番メニュー『ガパオライス』だ。

調理のスタートは、なんと薪割りから!“年長さん”が慣れた手つきで次々に薪を割っていく。コツを聞くと、「鉈を置いて落とした瞬間、手を離す」としっかりと答えた。

更に、火がつきやすいように並べた薪にマッチをすると、1回で火がついた。

その横で野菜を切るのは、“年少さん”から“年長さん”までのグループ。

「こうしてグーにして猫の手みたいにこうやって押さえて」と子供同士で包丁の使い方を教え合って野菜を切っていく。“年少さん”も慣れた手つきだ。

ガパオライスの具材は、鍋に入れて蒸し焼きに。お米は飯ごうで炊く。

火力を確認しながらじっくり炊き上げたご飯も完成。

薪割りから始まり、2時間ほどかけて丁寧に作り上げたガパオライスは、収穫したジャガイモとズッキーニも入った色とりどりの栄養満点メニューだ。

ガパオライス
ガパオライス

「いただきます!」一斉に食べ始める子供達。「うんめー!」と味も美味しくできたようだ。

自分達で手間暇かけて作ったご飯は大人気で、おかわりの行列ができていた。

「癇癪なくなった」保護者も納得

子供達が五感を使い、全力で様々な体験ができる『しんぐう里山ようちえん』の取組みに対し、保護者からは、好意的な声が多く聞かれた。

「子供達みんなが本当に伸び伸びしている。送迎で往復1日50㎞くらいかかるが、それでも行きますという感じ」(保護者Aさん)。「控えめに言って最高だと思います。元々、子供に癇癪があったが全然なくなって。よく寝るし、よく食べるし、ニコニコが増えた」(保護者Bさん)。

『しんぐう里山ようちえん』マネージャーの角南明子さんは、「子育てのゴールってなかなか見えづらいので、ようやく成人した時に答えがでてくるんじゃないかなと思うが、自然の中で逞しく生きること、自然環境が違う中でも自分で判断して生きていくような力を付けて欲しい」と子供達に自然という教室から多くのことを学び、成長して欲しいと考えている。

この幼稚園では、『薪と飯ごうで美味しいご飯が炊けるか』という『卒園試験』があり、合格すると名前入りの世界で1つだけの『飯ごう』がプレセントされることになっている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。