夏の定番、ハーフパンツ。猛暑でも足もとに涼しさを感じられる強い味方だが、いま、このハーフパンツをめぐり、「ハーフパンツ論争」が巻き起こっている。
「ハーフパンツ着用」は賛否両論
ハーフパンツ論争のきっかけとなったのは、東京都の小池百合子都知事が発表した施策だった。

小池都知事(4月の定例会見):
ポロシャツ、Tシャツ、スニーカー、また業務内容によっては、ハーフパンツなど快適性を重視したクールな装いを推奨いたします。
小池知事は2026年度から従来のクールビズをさらに拡充した「東京クールビズ」をスタート。都の職員は勤務中のTシャツ着用が可能になったほか、業務内容に応じてハーフパンツでの勤務も認められるようになった。今では当たり前となったノーネクタイの「クールビズ」の音頭を21年前に取っていたのも小池知事だった。
さらに遡ること1994年、総理大臣も務めたことがある羽田孜さんが愛用したのは半袖スーツ。「省エネルック」と呼ばれたが、あまり普及はしなかった。
そして2026年に巻き起こったハーフパンツ論争。都庁での発表を受け、SNSには「おじさんのハーフパンツは嫌い」「常識的にどうなのか」などの声が上がった。

職場でのハーフパンツ着用について、街の人はどう思っているのか。
「自分の好きな格好だったり、気候に合わせた格好ができるのはすごく良い方向だと思う」(20代女性・会社員)
「お客さんの前に行く時とかは、それなりの服装にしなくちゃいけないと思うんですけど、それ以外の時は半ズボンでもオッケーだと大変助かりますね」(30代男性・コンサル業)
「男性の方がハーフパンツになって職場のエアコンの設定温度が上がってくれれば、こちらとしては嬉しいです」(50代女性・事務)

好意的な意見が聞かれた一方で、仕事とプライベートの区別や周りの目が気になるなど否定的な意見も出た。
「さすがに抵抗感がある気がしますね。あまりリラックスしてしまうと緊張感が、自分が持てなくなってしまう気がする」(60代男性・事務)
「見せるというより、ムダ毛が見えちゃうのが、うーんって感じなので」(20代男性・警備業)
「(ハーフパンツの人と)机が近くて足が触れたりしたら、ちょっと嫌かなと思います」(40代女性)
このハーフパンツ論争は、海外メディアでも取り上げられた。「東京の猛暑に苦しむサラリーマン、脚を出すことには冷たい視線」とイギリスメディアが報じるなど、異例の注目を浴びた。
都庁にはハーフパンツやキュロット姿の職員
論争の発端となった都庁は、着用解禁から2カ月あまりが経ち、どうなっているのか。イット!が都庁を訪ねてみると、まだ少数派ではあるものの、ハーフパンツで仕事をする男性や、キュロットスタイルで仕事をする女性も見られた。
ハーフパンツで勤務する男性職員:
最初のうちは妻からもちろん言われましたけど、最近は慣れて特段何も言われておりません。
女性職員:
結構見るようになってきて、見慣れてきたなというのはありますね。
ビジネス向けハーフパンツも登場
ハーフパンツをビジネスシーンに定着させようとする動きは他の場所でも出ている。

紳士服大手の「洋服の青山」が5月から販売を始めたのは、「ビジネス向けハーフパンツ」。落ち着いた色味で、接触冷感機能や速乾性もあり、シワになりにくいという。
履いてみると、素材が軽くてかなり動きやすく、生地がヒンヤリしていて、着ていて涼しさを感じる。

そして見た目の印象もガラリと変わる。暑い日の通勤でも涼しげな装いだ。
洋服の青山 池袋東口総本店 吉良七海さん:
座ったときでも膝が出過ぎないシルエットになっております。夏のスタンダードな1着として広まっていけたらなと思う。
「お客様がどう感じるか…」短パンにはなれず
“ビジネスハーフパンツ元年”ともいえそうな今年だが、実は30年近くハーフパンツで仕事を続けている人もいる。
向かったのは千葉・大多喜町にあるホテル。
ホテルグリーンヒル大多喜 下山和人社長:
よろしくお願いいたします。バッチリ短パンで仕事してます。いつも通りです。普段通りです。
ポロシャツにハーフパンツ姿で出迎えてくれたのは、ホテルグリーンヒル大多喜の代表、下山和人さん(53)だ。下山さんはほぼ1年中、仕事もハーフパンツで過ごしていて、「短パン社長」と呼ばれている。

ホテルグリーンヒル大多喜 下山和人社長:
一番(の目的)は「覚えててもらえる」。昔、海外出張に行ったときに、真冬だったんですけどこの格好で行きました。また、翌年行ったときに「去年いたよね」って言われて「これしかないな」と始まり、今に…。
社長として顔を覚えてもらいたい思いから始めた、ビジネスでのハーフパンツスタイル。ホテル利用客からのクレームは一度もないという。唯一のデメリットとしては「逆に辞められない」ことだという。
ホテルグリーンヒル大多喜 下山和人社長:
「今日短パンじゃないじゃん」って結構言われるんですよ。
すっかり浸透している下山さんのハーフパンツ。従業員にも着用を推奨しているということだが、フロントの男性を見てみると、長ズボンで仕事をしている。客の前に出る仕事が多いためか、ハーフパンツ姿の従業員は見当たらない。

ホテルグリーンヒル大多喜 下山和人社長:
暑いからやっぱり短パンの方がいいと思うんだけど……。
総支配人:
涼しそうだなとは思いますけど、一応フロントなので……。
何かあれば出なくてはいけないので、そのときにお客様がどう感じるのかなって考えると、ちょっとまだ短パンにはなれない。気持ちで言うと、夏場は短パンだったら楽だなって思います。涼しいし。
従業員:
(ハーフパンツを)履けるという環境があるだけでもいいなと思っているので、履けないって制限されるよりはいいかなって思っています。
選択できる環境には感謝しつつも、“ハーフパンツ接客”にはもう少し時間がかかりそう。
快適さを優先するのか、それとも従来のビジネスマナーを重視するのか。職場でのハーフパンツ論争はこの夏も続きそうだ。
(「イット!」7月9日放送より)

