宮城県内では相次いでクマが目撃され、箱わなの設置などが進められています。
クマによって環境が変わる中、大崎市の老舗旅館は、安心して旅行客に訪れてもらおうと、「ある決断」を下しました。
山々に囲まれた大崎市鳴子温泉。多彩な源泉が人々の疲れを癒やし、秋には、美しい紅葉が訪れた人たちを魅了します。
自然豊かな場所にあるからこそ直面しているのが、「クマ対策」です。
神奈川からの観光客
「こっちの地方は山間も多いし川もあるので危ないんじゃないかと思って準備はしてます。きょうの宿はクマ対策してますとホームページでうたってたから露天風呂あるけどいっちゃおうかなと」
東京からの観光客
「駅とかに気をつけてという警告は何度か目にしました。普通に穏やかに観光できたのでよかったです」
大崎市によりますと、今年5月、6月の鳴子温泉地域でのクマの目撃件数は22件で、去年の同じ時期と比べておよそ3倍となっています。(去年7件)
商店を営む男性
「秋はよく出るんですけれど、春先にこれだけ頻繁に出るというのは異常かな」
こちらの商店では、去年12月に販売を始めたクマよけの鈴が、想定を上回るペースで完売しました。
商店を営む男性
「1年以上売り切れるまでにかかると思ってたんですけれど、早かったです」
江戸時代から続く老舗旅館、「東多賀の湯」です。
東多賀の湯 女将 遊佐由起子さん
「クリを食べるくらいだったらいいんですけれど、去年はもち米を食べられてしまって」
旅館から車で5分ほどの場所にあり代々使われてきた作業小屋が、クマ被害に遭いました。クマは小屋に保管されていたコメを食べ、戸を破って小屋の機械を倒し、中を物色していたということです。
東多賀の湯 女将 遊佐由起子さん
「怖かったです。ものすごい執念、食べようという執念。今年もまた来るかと思うと怖いので」
小屋の近くにあるのは、40年ほど前から、大切にしてきたクリの木。この木から収穫された実を使って、秋の味覚・栗ご飯を客に提供してきました。
しかし、餌を求めるクマが、引き付けられることからやむなく伐採する決断をしました。
東多賀の湯 女将 遊佐由起子さん
「(猟友会から)去年は子グマだったけど来年は成獣になって来るよと言われまして、なるべくクマが寄らないように、まずクリの木とカキの木を切ろうと」
クマの出没増加を受け、伐採の依頼も増えているといいます。
伐採業者
「クリの木によくクマが来るので伐採しているところが多い。毎年ここにもクマが来ているということで秋の前に切るってことで」
旅館の歴史とともにあったクリの木…
東多賀の湯 女将 遊佐由起子さん
「もったいなかったなって切った跡を見て思いましたけれど。うちでクリを切ったからといって安心まではいかないと思う。鈴を持つとかラジオを鳴らすとか、(鳴子温泉に)いらっしゃる方はご自分で十分気をつけて歩いていただければ」
自然豊かな観光地は、クマ対策を講じながら人を呼び込むための変化を迫られています。
