福岡県議会で、議長と副議長を務めた県議2人が、就任前に自民党県議団の幹部の要求に応じ、多額の現金を支払ったと証言した問題。県議の1人が、記者会見を開き、警察にも証言したことを明らかにした。

県議「カツアゲされたようなもの…」

7月7日午前、福岡県議会の議会棟へ足早に入って行く自民党の県議たち。この日、開かれたのは緊急役員会だ。

この記事の画像(25枚)

協議されたのは、7月4日に現職の県議が、テレビ西日本報道部に証言した驚きの告発についてだった。

告発したのは、吉松源昭県議(58・糟屋郡選出 当選7回)。

吉松県議は「カツアゲされたようなもの。私がちょうど2千万円くらい。実際には、それ以外にも小さな飯代、飲み代というのがあったかと思うので2千万円は超えたと思う」と証言した。

自民党に所属していた2020年の自身の議長就任に際し、自民の幹部らに多額の現金を求められたと話す吉松県議。

その金額は“議長就任への根回し”をするためのゴルフ代名目で1千万円。

高級料亭での自民党幹部5人との食事代49万円。更に『お車代』として1人50万円などだ。

副議長と思われる人物との生々しいやりとり

吉松県議は、幹部の1人である中尾正幸・現副議長(61 北九州市若松区選出 当選6回)から『現金の受け渡しを指示された』というやりとりを録音していた。

スマホの音声データには生々しいやり取りが残されている。

「あした、松本会長が『荷物』は預かります」(中尾副議長と思われる音声)

「そうなんですか」(吉松県議)

「預かります。責任持ってちゃんと立ち会いますから」(中尾副議長?)

「お願いします」(吉松県議)

「ちょっとね、大金やけん、ね管理しとかんと」(中尾副議長?)

当時、副議長に就任した自民の江藤秀之県議(66 飯塚市・嘉穂郡選出 当選6回)もテレビ西日本の取材に対し「中尾県議に500万円を手渡した」と話している。

両議員が支払った金額は2750万円に上るという。

音声データ「よく似ているが…」

これに対し渦中の中尾副議長は、7月6日に会見を開き『事実無根』とした上で「金銭は吉松県議が持ちかけてきた」と正反対の主張を展開した。

「私が(当時)幹事長になっていましたから、吉松さんの方から『やっぱりお金が要るんでしょ』と、こう持ちかけられまして1千万円の話も出た。松本会長と私は丁寧にお断りした」と記者の質問に応える中尾副議長。

吉松県議が持つ音声データを聞かせると「よく似てるんですけれども、記憶にないので、6年前で―」

「-そもそも、お金を受け取っていないので」と金銭の受け取りを否定した。

副議長「“男気”でごちそうしたり…」

その一方で、こんな発言も―。

「委員会とかですね、そういうところでちょっと“男気”出したりしないといけないところがあったりしたら…」(中尾副議長)

「(記者=“男気”とは?)いや、ちょっと、こう頑張って、こう、お金を、なんていうんですかね。ご馳走したりとか、そういう話です」(中尾副議長)

「(記者=その“ご馳走”とは?)えーと、食事とか、いや、何か、そこにいるメンバーの食事代。そうですね。済みません。男気…、ちょっとごめんなさい」(中尾副議長)

何とも歯切れの悪い記者会見となった。

スマホに残る音声データを声紋分析

他の幹部らも疑惑を否定するなか、7月7日の午後、吉松県議が反論の会見を開いた。

「まず率直に事実でないことの繰り返しということで大変驚き、また残念に思っております」。

開口一番、吉松県議は中尾副議長の記者会見へ疑問を呈した。

▼吉松県議「最初に音声データについてであります。誰が聞いてもですね、中尾副議長を知っている方であれば『これは中尾副議長の声だよね』ということだった思います―」

「―専門機関に声紋分析を依頼して、後ほど、その結果について公表させて頂きたいと思っております」

自分からの金の話しは「事実無根」

また高級料亭で食事代49万円などを支払ったことについては、領収書を記者に提示しながら―。

▼吉松県議「ここにありますように、私の方に、私宛に請求書がきております。これは私がお支払いしております。ちなみにですね、この老松は、1月24日にも(国会議員を含めた)自民党の幹部の方々で新年会を行っております。私の記憶では90万円前後の飲食料、これも私に請求されております」

「『吉松県議側からお金の話がありました』と(中尾副議長は)仰っていたんですが?」と記者が、中尾副議長のコメントを紹介しながら質問すると―。

▼吉松県議「全くの事実無根です。ただ、私がその時期に議長を目指して、立候補の意思があるというようなことを発言した、申し入れた記憶はあります。但し、そこでお金の話だとかいうことをしたことは全くありません」

『海外視察を巡る問題』に捜査協力

また吉松県議は、7月2日に『海外視察を巡る問題』で、警察から捜査協力を求められたことを明らかにし、そこで全てを話したと証言した。

▼吉松県議「『海外視察だけじゃなく、その他のことについても知っていることがあれば、ぜひとも教えて欲しい』というような話がありました。それを聞いて私は、私の知っていることを全て話そうという決意をその際にしたところでございます。自民会派内で、なかなか上司に逆らえないという人の弱みにつけこんだ“カツアゲ”、或るいは“みかじめ料”的な要求であったと私は理解しております」

今回の疑惑を巡っては、自民党本部の萩生田光一幹事長代行も「福岡県連において、しっかり事実関係を確認することが大事だと思うので、その上で党本部として対応すべきことがあれば考えていきたい」と言及した。

双方の主張が、真っ二つに分かれる県議会の議長ポストを巡る『政治とカネの問題』。今後、事態がどう動いていくのか、注目される。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。