客引き撲滅に向け、仙台市が委託した警備会社による国分町などでの巡回業務の開始から1カ月が経ちました。市は「一定の効果が出ている」としていますが、客引きをする“キャッチ”に話を聞くと、悪質行為がなくならない実態や巡回の課題が見えてきました。

仙台市で客引き(男性・30代)
Q.客引きでどれくらい稼ぐことができている?
「本当にピンキリですけども、(1カ月で)良くて50(万円)悪ければ20(万円)ですかね。真っ当にやってだとそのぐらいが平均ぐらいになっちゃいますかね。」

取材に応じたのは、仙台市内で10年以上前から客引きを続けている、いわゆる“キャッチ”です。

仙台市の実態調査によりますと、客引き禁止区域での1日あたりの客引きの延べ人数は、去年、平均727人でコロナ禍以降増加しています。

国分町で36年スナックを営み、県社交飲食業組合の理事長、高橋さんです。
客引きによる客の横取りや国分町のイメージダウンによる経営不振などの影響で、今年に入って閉業した店は30店舗もあるといいます。

県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長
「あの店は今いっぱいだから入れませんよと、他の店行きませんか。すっかり安く、いいこいますよみたいな。要するに、来ようとするお客様を止めてしまうということがたくさんある」

さらに、悪質な店へと誘導する客引きも横行。県警によりますと、去年1年間に寄せられたぼったくり被害の相談は140件ほどで、被害額は8000万円に上っています。

仙台市で客引き(男性・30代)
「コロナ以降、県外の方々がそっちで稼げなくなったか、ぼったくり関係をやりすぎて目をつけられて仙台に流れてきたかの状況で、(地元のキャッチには)迷惑だけどもうこれは手遅れ」

郡和子仙台市長
「これまで培ってこられたノウハウをさらに生かしていただきながら、市民の皆さまが安全に、そして安心に訪れることのできるまちづくりのためにご尽力をいただきたい」

客引き撲滅へ、仙台市は新宿・歌舞伎町や六本木など、繁華街での警備実績がある都内の警備会社に巡回業務を委託。6月からパトロールが始まりました。

巡回にあたるのは、格闘技経験者や元アスリートなどの屈強なメンバーです。
委託費用は、2年10カ月の期間でおよそ2億4800万円。
火曜から土曜日の午後4時から午後11時までの間、仙台駅前から国分町の繁華街を12人態勢で巡回し、客引きを利用しないよう呼びかける一方、客引き行為に対して口頭注意を行います。

パトロール員
「通行の支障をきたすような。要は、居酒屋の人たちがここ陣取ってるじゃないですか。そういうのは基本的にNGですよという話です。ちゃんとお店の前でやってもらうか道路使用許可をとってチラシ配りするかのどっちかです」

巡回業務の開始から1カ月。仙台市の担当者は一定の効果が出ていると話します。

仙台市市民生活課 上岡渉課長
「通行者の方からは客引きが減ったという声をいただいておりますし、また民間事業者(巡回する警備員)の方で、客引きをしているところに、口頭指導を行い客引きを阻止したという報告もあります」

その一方で…

記者リポート
「午後8時半です。路上には客引きと思われる人の姿が多く見られます。」

仕事を終えた人などでにぎわった金曜日の夜。警備員が巡回する時間帯でも国分町周辺では客引きが目立ちました。

スナックを営む高橋さんは、より効果のある巡回業務を望んでいます。

県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長
「正直言いまして、早い時間キャッチが少し減ったかなというところです。キャッチもやっぱり頭いいですから、(警備員が)いる場所、いない場所というのは当然連携取ってるでしょうし」

警備員の巡回する範囲は仙台駅西口から国分町まで広いため、警備員がいない隙が多く、客引き行為ができてしまうということです。

仙台市で客引き(男性・30代)
「基本的にはローテーションで回って各十字路に常時いるでもなく、移動したら移動したで(警備員同士で)ちょっと会話するので、その期間十字路に誰も立たなくなるとかあるのでだからただの服着てる人が巡回なだけですから、あんまり意味というか必要性はわかんないですね」

こうした巡回の”穴”は仙台市も把握していて、月に一度の警備会社との会議で、改善策などを協議していく方針です。

仙台市市民生活課 上岡渉課長
「改めて実態を把握した上で、より効果的な手法を、探っていきたいと思います。」

条例の課題もあります。仙台市では客引き行為に対する勧告と命令を無視した場合、地方自治法に基づき最大5万円の過料が科されますが、客引き行為者の中には高い報酬ゆえに条例を軽視する人もいるということです。

仙台市で客引き(男性・30代)
「やっつけ店とかに(客を)入れていく方ですと、もはや1日で200~300万(稼ぐ)ですね。高額請求(ぼったくり)の会計額のパーセンテージが入る分やっぱり大きな金額が動くようで。ぼったくりやる方々からすると5万だけで何もないならまあ永遠にやると思います。」

仙台七夕まつりなどもあり、これから多くの観光客が訪れる繁華街。安心して楽しんでもらうためにも、実行性のある対策が求められます。

県社交飲食業生活衛生同業組合 高橋隆幸理事長
「(条例で摘発されても)また出てきて、また繰り返してといういたちごっこだと思うので、もうちょっと厳しくというか、やっていただければ非常にうれしいかなと」

証言にあったように、全国から仙台に客引きが流れ込み、犯罪の温床になっているとみて県警はキャッチの取り締まりを強めてきました。

去年の摘発件数は、過去5年で最も多い44件で、今年は6月末時点で11件。「引き続き取り締まりを強化していく」としています。

安心して訪れることができる繁華街づくりは、県内全体の治安を守るためにも、重要だと言えそうです。

仙台放送
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