人口1万3000人のマチが支える高校野球部。廃部から復活の夏を見つめました。
北海道南部にある森町。
部員不足による廃部から2025年、4年ぶりに復活した森高校野球部。
4人だった部員は15人まで増え、この夏10年ぶりに単独チームで甲子園を目指します。
部員が増えた理由は…
「森高校が部員不足で野球部が廃部になっていると話を聞いて、ゼロから復活したら面白いと考えました」(吉田雄人監督)
森町出身の元プロ野球選手、吉田雄人さん。
北照高校では外野手として甲子園で活躍。
その後プロ入りし、2018年に引退しました。
吉田さんの指導を受けたいと転校生や新入生が加わったのです。
「粒ぞろいの能力のある選手が集まってくれた」(吉田監督)
エースは、2年生の上出蒼空さん。
中学では人間関係に悩み、一時不登校に。
自分を変えたいと森高校野球部にやってきました。
「中学校の時にあまり学校に行けてなかった自分を変えるためにここに来ました」(上出蒼空さん)
森高校ではエースとして頼られ、新しい自分にも出会いました。
春の大会では、強豪の私立高校を相手に、8回134球を投げ、4失点に抑える力投を見せました。
「9回を自分だけで投げ切って相手をゼロにしっかり抑えられるピッチャーになりたい」(上出さん)
キャプテンの渡部大河さん。
後志の喜茂別町から入学しました。
「吉田さんの指導であったりとか、この特徴的な環境から甲子園に行ったら絶対かっこいい」(渡部大河さん)
2人を含む多くの選手は寮生活を送っています。
マチの人もサポートしてくれます。
この大きな業務用の炊飯器は地元の企業からの寄付です。
「このレタスとかも寄付でいただいたものですし、牛乳とかも毎週寄付でもらっているもの。ありがたいです。本当にありがたいです」(上出蒼空さん)
さらに、こちらの室内練習場。
町内の建設会社で社長を務める岩島一男さんが冬や雨でも練習できるよう、2025年11月に整備しました。
費用は約150万円、過疎化が進むマチの活性化に繋がればと期待します。
「子どもたちがいろいろな学校と対等に戦い、一生懸命やれれば、森町のいい宝」(永昇建設 岩島一男社長)
キャプテンの渡部大河さん。
春の大会はケガで欠場し、復活を目指しますが、チームもまとめなくてはいけません。
「なべ!あんな表情して何になる?言い訳すんな」(吉田監督)
少ない部員で先輩がいない分、指導にも力が入ります。
「先輩もいないので、お手本もいないですし、彼自身もすごく悩みの中にいると思うんですけど、僕は彼にチームを引っ張ってほしい。少し口うるさいですけど日々伝えなきゃなと思っています」(吉田監督)
単独チームとして10年振りの夏が始まりました。森高校は初回、1・2番が連打で出塁。さらにタイムリーヒットで幸先よく1点を先制します。エースの上出蒼空さん、逆転を許すものの粘りのピッチングで完投。
しかし、追いつくことはできず、森高校の夏は初戦で終わりました。
「町全体で盛り上げていければ、町も元気になると思いますし、そういう存在であってほしいなと思います」(選手が訪れるラーメン店の店主)
「応援の声は届いてますし、だからこそ勝って喜んでいただきたかったんですが、そこに関しては申し訳ない。変わらず応援していただきたいなと思います」(吉田監督)
次こそ、マチの人とともに、1勝をつかみにいきます。
