全国屈指の強豪・東海大学を支えた4番打者 大学ラストイヤーへ

全国制覇7回の実績を誇る大学野球の名門、東海大学。
150人を超える部員の中で4番を任されてきた島根県浜田市出身の笹田海風(ささだ しせ)選手が、大学生活最後の年を迎えた。

2025年の全日本大学野球選手権では首位打者に輝いた男が、春のリーグ戦で苦しんだ。
「自分の実力不足」と受け止め、すべてを秋にぶつける覚悟を語った。

「馬鹿にされても関係ない」 島根の誇り胸に成長

島根県浜田市で生まれ育った笹田選手、硬式野球クラブ「浜田ボーイズ」で野球の基礎を叩き込まれた。
中学3年間で21本のホームランを放ち、チームは全国大会にも出場。
両翼98メートルの球場でフェンスオーバーを連発する圧倒的な打力は、全国の強豪の目にも留まっていた。

その一人が、当時東海大相模の監督を務めていた門馬敬治さんだった。
甲子園春夏通算4度の優勝を誇る名将から直接声をかけられた笹田選手は、「びっくりしましたね」と驚きを隠せなかったという。

県内の高校への進学を考えていた15歳が、神奈川へと旅立った。
「初めて都会に出ることに怖さはあった」「田舎から都会に出たら、ちょっと馬鹿にされる、下に見られる部分はあると思うけど、全然そんなの関係なくて。強い信念を持って取り組んだら絶対いいことがある」と振り返り、臆する様子はなかった。

島根のプライドを胸にレギュラーを勝ち取り、高校通算27本塁打をマーク。
東海大学へ進学後も持ち前の打撃力を磨き続け、2年生でスタメンを任されると、3年生からはチームの4番に君臨した。

第74回全日本大学野球選手権大会で打率.533 首位打者賞を獲得
第74回全日本大学野球選手権大会で打率.533 首位打者賞を獲得
この記事の画像(5枚)

飛躍の裏側と島根発ブランドに託す原点

飛躍の舞台となったのが、2025年の全日本大学野球選手権だ。
大学日本代表補にも選出され、「大学屈指の好打者」の名をほしいままにした。

笹田選手は「第74回全日本大学野球選手権大会」で15打数8安打、打率.533で首位打者賞を獲得。その結果をふるさと浜田で直接報告している。

島根を離れて7年目となる今も、ふるさとへの思いは変わらない。
それを象徴するのが、グローブだ。

「島根県出身なので、島根県の道具を使いたかった。一番は、軽いですね。普通のグローブと比べて。でも皮が張っている」と使い心地を語る。
2022年に島根県で誕生したスポーツ用品ブランド「エスゴッズ」のグローブを使用している。

島根県初のグローブメーカーの製品を選ぶことで、自身のルーツを静かに、しかし確かに示している。

「島根県出身なので島根県の道具を使いたかった」 島根初のグローブブランド「エスゴッズ」のグローブを手にする笹田さん
「島根県出身なので島根県の道具を使いたかった」 島根初のグローブブランド「エスゴッズ」のグローブを手にする笹田さん

首位打者から一転…春のリーグ戦は打率1割台のスランプ 

しかし、大学ラストイヤーの春は、思い描いていたものとはかけ離れたものになった。

全日本大学選手権出場をかけた首都大学野球の春リーグ戦。
開幕から4番に座り、チームの勝利をけん引するはずだった。

だが、6試合を消化した時点で打率は.143。
状態は一向に上向かず、ある試合ではついに6番に。

笹田選手は「自分がしっかりやらないと、という気持ちが強く出てしまって。今回のリーグ戦は全然活躍することができなかった」悔しさをにじませながら振り返る。

全日程を終えた打率は.097。
チームも優勝を逃し、全日本大学選手権の出場権を掴むことができなかった。

そんな状況を、長谷川国利監督は「彼が万全ではないことは僕も良く知ってるし、彼と部屋で話したりしています。一生懸命、歯を食いしばって頑張ってますので、いいかたちで彼の背中を押してあげたい」と、近くで見守り続けていた。

笹田選手自身も、「結果を出さなかったら、試合では意味がないので、チームメイトには申し訳ないという気持ちがある」と言い訳はしなかった。

東海大学・長谷川国利監督
東海大学・長谷川国利監督

挫折を糧に秋リーグで巻き返しへ

「部員が150人以上いるので、その代表として試合に出るのは責任がありますし、自分がどうではなく、チームのことをもっと考えて」と、東海大学で4番を背負うことの重さは誰よりもわかっている。

春の不振をどう受け止めるか。
笹田さんの答えは「ただ単に自分の実力不足だと受け止めている。4番にいる以上はチームが勝つための役割を果たすために、チームが勝つことを意識して、秋、この春の悔しさをぶつけるために、しっかり練習していきたい」と、シンプルだった。

神宮大会出場を目指す秋のリーグ戦が、大学野球人生のラストチャンスとなる。
浜田から飛び出し、名門の4番を張るまでに成長した笹田海風さんが発した「どんな環境でも、自分の信念、持っているものをブラさずに」…その言葉を体現する時、ふるさと島根もきっと注目している。

秋の大会に全てをかける決意を語る
秋の大会に全てをかける決意を語る
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。