原材料費の高騰や円安、中東情勢の影響を受け、2026年の夏は「値上げラッシュ」が加速しています。
食料品などの「モノ」だけではなく、映画館のチケットや地域の人気キャラクターのイベント派遣料金など、一見物価高とは無関係に思える「コト」にも値上げの波が及んでいます。
私たちの財布のヒモはいつになったらゆるめられるのか?出口の見えない“値上げの夏”を徹底取材しました。
■「毎月1日の恒例行事」 スーパーで相次ぐ値札の張り替え
7月1日、営業開始前の大阪市内のスーパー「フレッシュマーケットアオイ」では、店内のあちこちで宣伝用ポップの張り替えが行われていました。
同店の内田寿仁社長は、「毎月何かが上がっていますので、毎月1日の恒例行事みたいなかたちですね」と語ります。
【フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長】「メーカーが値上げするので、仕入れ価格が上がる以上は、売り値も上げざるを得ない」
帝国データバンクによると、7月に値上げを予定している食料品は合計2566品目にのぼります。
即席めんや缶詰など多岐にわたり、中東情勢の混乱の影響も加わって、6月の倍以上の品目数となっています。
■「カレーライス1食370円」 10年で4割増しの現実
具体的にどの程度値上がりしているのか。
一般的なカレーの具材で見てみると、ことし4月までの10年間で、にんじんは1.3倍、じゃがいもは1.7倍、コメに至っては2.2倍に値上がりしています。
取材班がカレーライス12食分の食材を実際に購入したところ、合計4450円、1食あたりおよそ370円という結果になりました。
帝国データバンクが毎月発表している「カレーライス物価」でも、ことし4月の平均は1食あたり364円で、この10年間で4割も上昇していました。
スーパーの利用客からは、「日を追うごとに20円とか30円とか普通に上がっている。きのうあれが安かったのに、すごい上がっていると思った」という声が聞かれました。
また別の利用客は、「朝からいっぱい新聞の広告を見て、あっちのスーパー、こっちのスーパー。生きていきにくくなったなぁ」とため息をつきました。
■「ひこにゃん」も値上げ 人気キャラクターのイベント料金が3万円上昇
値上げの影響は、食料品にとどまりません。
滋賀県彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」も、7月1日からイベントへの派遣料金が3万円値上がりしました。人件費の高騰がその理由です。
彦根市ひこにゃんブランド推進室の大西嘉雄室長は、「ひこにゃんの運営にかかる人件費ということでご理解をいただければ」と説明しています。
愛くるしいキャラクターでさえも、物価高の波から逃れることはできない状況です。
■映画館の一般料金も2200円に 「コト」消費にも値上げの波
エンターテインメントの分野にも、値上げは押し寄せています。
大手シネコンのTOHOシネマズでは、全国一律2000円だった一般料金が7月1日から都心部の劇場で最大2200円に値上げとなりました。
TOHOシネマズの担当者は、「従業員が使用する制服や文具の価格高騰、映写機などを使用する際の電気料金の高騰、映画館の家賃や人件費、円安の影響などから値上げしました」と説明しています。
映画館での値上げは近年相次いでいます。イオンシネマでは6月に200円値上げ、T・ジョイでも昨年200円値上げしており、館内で販売している食品の原価や電気料金の高騰がその要因とされています。
街の人からは、「気軽にパッと遊びに来るみたいなことは、ちょっと難しくなってきている」という声も聞かれています。
■「具なし焼きそば」が予想の10倍売れる 物価高が生んだ新たな商品
値上げが続く中、消費の現場では新たな動きも出てきました。
流通大手のイオンでは昨年から、キャベツなどの具材が入っていない焼きそばの販売を開始しています。1人前のおよそ3倍にあたる500グラムで提供しており、大容量でコストパフォーマンスが良い点が支持されています。
イオン大阪ドームシティ店のデリカマネージャー中島直也さんは、「大容量でコスパも良くて、非常に好評で販売しております」と話します。
売れ行きは予想の10倍ほどにのぼり、月に2〜3回購入する利用客もいるといいます。ある利用客は「斬新だなと思いました。2日に分けて食べたり、家族とシェアして食べたりしてます」と語っています。
こうした流れを受け、大手コンビニエンスストアでも「具なしラーメン」や「のりなしおにぎり」といった商品が相次いで登場しています。
ただ、こうした取り組みはあくまでも「対症療法」にすぎず、値上げの根本的な解決には至っていません。
■「年内後半から来年にかけて」 専門家が指摘する円安リスク
なぜ、これほどまでに値上げが続くのでしょうか。
帝国データバンク情報統括部の飯島大介さんは、「フィルムやトレーといった包装資材の価格が大幅に引き上げられている。特に昨月以降、その動きが顕著になってきたが、7月以降においても徐々に押し上げてきている」と分析しています。
原材料費や人件費の高騰といった値上げ要因が改善されない中、中東情勢の影響がさらに値上げを加速させているといいます。
飯島さんは、中東情勢による値上げのピークは「秋ごろ」と見通しつつも、およそ40年ぶりの水準となった円安の動向がカギを握ると指摘します。
「3〜4カ月この円安傾向が仮に続くとするのであれば、年内の後半もしくは来年にかけて、円安に起因した値上げというものが少しずつまた増えていく」と飯島さんは警戒感を示します。
出口の見えない「値上げラッシュ」は、まだ続きそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年7月2日放送)
