福井の魅力を再発見する小旅では今回、敦賀市の山間にひっそりとたたずむ地蔵尊石割大岩地蔵を訪ねます。かつて、弘法大師・空海が爪で書いたと伝わる線彫りの菩薩像が最大の見どころです。
敦賀市の南部に位置する山地区の集落を超え、黒河川沿いの林道を進むこと約3分、ぽつりと現れる小さな駐車スペースの先に、目的地があります。
吉田圭吾アナウンサー:
「歩道がありますね。行ってみましょう」
林道沿いに整備された参道を歩くこと1分。小さな御堂が見えてきました。
「岩が祀られていて、建物で覆われていますね」
高さ約2・5メートル、横は3メートルを超える大きな岩。石割大岩地蔵です。
近くに住み、7年前からボランティアでこの場所を整備する長谷川寿(83)さんに案内してもらいました。
「こちらが、空海さんが爪で描いたといわれる地蔵です」(長谷川さん)
岩に浅く刻まれた約1メートルの立像。地元では、弘法大使・空海が修行でこの地域を訪れた際に爪で描いたと伝えられています。
かつて、この地域の子供が病に倒れたとき親が、この岩に祈りを捧げたところ回復したという逸話もあり、昭和に入ってから地元の有志によって岩を覆う屋根がつくられたそうです。
長谷川さんは「地蔵さんのおかげで体力があるので週に2、3回はお参りしている」石割大岩地蔵への長年の感謝の気持ちが、長谷川さんの丁寧な手入れにもつながっています。
さらに敷地内には、炭窯の跡が残されていて、昭和20年代、約80年前まで行われていた炭焼きの名残を感じることができます。
「みんなにこの場所のことを一人でも多く知ってもらい来てもらいたいと思っている」と長谷川さん。
清らかな黒河渓谷の自然に抱かれた、石割大岩地蔵はきょうも、山奥で訪れる人を静かに迎えながら穏やかな時を刻んでいます。
