7月2日は半夏生。福井県大野市では、夏のスタミナ源として丸ごと1本焼き上げた「焼きさば」を買い求める人たちで朝からにぎわいました。しかし今年は、サバの価格高騰と漁獲枠の制限により例年とは違った状況となっています。
香ばしい煙が立ち上る大野市から、田島嘉晃アナウンサーの中継です。
◆江戸末期に殿さまが夏バテ防止として奨励したのが始まり
<中継:田島嘉晃アナウンサー>
はい!こちら、大野市明倫町の「うおまさcafe」から生中継でお伝えします。きょう「半夏生」に奥越地域で欠かせないのが、丸ごと1本焼き上げた「焼きさば」、通称「はげっしょさば」です。
香ばしい匂いが食欲をそそります。「はげっしょさば」は、江戸時代の末期に大野の殿様が夏バテ防止に奨励したのが始まりとされ、2022年には文化庁の「100年フード」にも認定されました。
こちらのお店では、1日から週末までの5日間で約1000本のサバを準備するということで、きょう2日がまさにピークです。
日中、お店には開店前から多くの人が詰めかけ、熱心にサバが焼かれる様子を見つめていました。「これを食べないと夏が始まらない」といった声も聞かれ、大野市民の暮らしに深く根付いた、残していきたい夏の味となっています。
◆漁獲枠の制限でサバの価格が高騰
「うおまさcafe」の山本恭子社長にお話を聞きます。
Q.きょうは、何本ほどサバを焼かれたのですか?
「朝から3人で、400本から500本ほどを焼きました」
こうして地域に親しまれているサバですが、現在は以前のようには手に入りにくくなっている状況があるといいます。
主な理由の一つは、獲り過ぎを防ぐための漁獲枠の制限です。日本で多く食べられているノルウェー産のサバは漁獲枠が2021年の半分以下に制限され、今年は去年からさらに減り約7万9000トンとなる見込みです。
これに伴い、世界のサバの輸入単価は2年間で55パーセントアップ。1キロあたり338円だったものが、今年は523円に値上がりしています。
Q.山本社長も、仕入れには大変ご苦労されたそうですね。
「はい。本当に心配しましたが、なんとか今年の分は確保できて、まずは一安心というのが正直な思いです」
Q.価格も、大きいサイズで1800円から2000円というのがギリギリの選択だったのですよね?
「これまでは2000円を超えることはなかったのですが…サバの価格高騰の折、大変心苦しいのですが、ご理解いただければ」
◆店ごとに工夫がある「焼きさば」
サバの高騰に負けず、伝統を守る「うおまさcafe」。きょうは特別に、焼きたてを店内でいただきます!
皮はパリッと香ばしく、中は驚くほどジューシーです!こちらでは塩を振らずに生サバを焼いているので、おろし醤油のさっぱりとした辛みがサバの濃厚な脂の旨味を引き立て、ご飯が欲しくなるおいしさです。
この焼きさばには、串の差し方や身に入れる切れ目など、お店ごとの工夫もあるんです。こちらの店では、食べる人が串を抜く時に身が崩れないよう工夫されています。これにより、通常は20%ほどが串に身がついて残ってしまうのが、5%ほどに減ったということです。
「うおまさcafe」の焼きさばは、5日まで対面販売されています。厳しい国際情勢の中でも守り抜かれる伝統の味、ぜひ皆さんも味わってみてはいかがでしょうか。以上、大野市から中継でした。
半夏生にサバを食べるのは、実は奥越地域特有の文化です。全国に目を向けると、関西ではタコ、香川ではうどん、奈良や大阪では餅、長野では芋汁と、地域によって違ったユニークな伝統があります。
