例えば、水が十分に使えない場合、普段通りの歯磨きは難しいでしょう。代わりに、ティッシュやガーゼ、タオルなどで歯や歯ぐきを拭き取るだけでも構いません。口の中の大きな汚れを取り除くだけでも、細菌の数を減らすことは可能です。

ちなみに、歯そのものの強さは、大人になってから大きく変えられません。乳歯はお母さんのお腹の中にいる段階でほぼ石灰化が終わっており、永久歯も離乳期の栄養状態の影響を受けます。そのため、骨は大人になってからカルシウムをたくさん摂ることで強くなりますが、歯そのものは強くならないのです。

そこで役立つのがフッ素です。フッ素は、「歯の表面」を強くしてむし歯になりにくくする働きがあります。

ぶくぶくうがいができる年齢の子どもであれば、1日1回程度、子ども用のフッ素入りマウスウォッシュを使用することも有効です。うがいをした後は30分ほど飲食を控え、フッ素を歯にしっかり定着させるようにしてください。

ぶくぶくうがいができる子にはフッ素入りマウスウォッシュが有効(イメージ)
ぶくぶくうがいができる子にはフッ素入りマウスウォッシュが有効(イメージ)

フッ素は、子どもの方が効果を得やすいことも分かっています。私は災害時の備えとしても、こうしたフッ素入り製品を準備しておく価値は高いと思っています。平時からフッ素入り歯磨き剤などで洗う習慣をつけておくのも効果的です。

実は大切な「噛む力」

子どもの口腔ケアというと、歯磨きばかりに目が向きがちですが、「しっかり噛むこと」も同じくらい大切です。

昨今は、子どもが噛まなくても食べられる柔らかい食事が増え、お弁当も一口サイズのものが多くなっています。もちろんこれらは便利なのですが、噛む回数は減ってしまい、噛まなくなることで、唾液の分泌量も減ります。

さらに噛む回数は、顎の発達にも影響します。子どもの歯は、前歯が生え、奥歯が生え、少しずつ噛む力を獲得するようにできており、離乳食も、本来は歯の発達に合わせて硬さを変えていくことが望ましいとされています。

噛む力を育むことも災害時の備えに(イメージ)
噛む力を育むことも災害時の備えに(イメージ)

つまり、「しっかり噛むこと」は口の機能を育てるだけでなく、唾液の分泌を促して口の中を清潔に保つことにもつながります。水が不足しやすい災害時だからこそ、日頃から噛む習慣を身につけておくことは、子どもの口腔ケアを支える大切な備えになるのです。

シュガーコントロールも大事

また、災害時はどうしても同じような食事になりがちです。支援物資として配られる食品は、炭水化物や糖分を多く含むものが少なくありません。そこで、意識していただきたいのが「シュガーコントロール」です。