高齢化に伴い増加が著しく、国内で1590万人にのぼるとされる骨粗しょう症。原因や対策を福井大学病院整形外科の渡邉裕美子医師に聞きました。
渡邉医師は骨粗しょう症について「骨量が低下し、質も落ちて骨の強度が落ちるとつまずいて転んだり、荷物を持ち上げるとか、軽微なきっかけで骨折するような病態」と説明します。
主な原因は、加齢と女性ホルモンの減少です。特に閉経後の女性に多く、女性ホルモンの低下により骨を作る働きが弱まり、骨量が減少してもろくなります。
また、カルシウムや栄養の不足、酒、たばこの大量摂取など様々な要因で発症する可能性があります。
骨粗しょう症で特に折れやすい体の部位は脚の付け根の大腿骨近位部と背骨、手首または腕の付け根です。
福大病院では、大腿骨の骨折手術だけで年間100件を超えるといいます。渡邉医師によると「大腿骨の骨折での生存率は5年以内が50%という報告がある」といいます。
骨折から、寝たきりとなり体力が急速に衰えるケースが半数を占めています。
対策としては、高齢になってからではなく、子供のころから意識する必要があるといいます。
「骨量は成長期に一気に上がり最大のピークに達するのが男女ともに20歳前後で、後はキープされて加齢とともに下がっていく。女性は閉経すると骨量が下がりやすくなるので、ピーク時に栄養不足や運動不足で骨に刺激がいかないと骨量が増えない。成長期からバランスよく食べて運動することが大事」(渡邉医師)
20代前後での過度なダイエットは骨の成長も妨げとなるのです。骨の成長に必要な栄養素はカルシウムとビタミンD、ビタミンKの3つ。カルシウムは牛乳や豆腐など、ビタミンDは鮭やシイタケなど、ビタミンKは納豆や小松菜などに含まれていて、これらを合わせて摂取することでカルシウムの吸収を促します。
そして紫外線も重要なポイントです。実は、ビタミンDは紫外線に当たることで皮膚で作られることから、日照時間の少ない梅雨の時期にも不足して悪化しやすいのです。
渡邉医師は「晴れ間にチャンスと思って日光浴をしてもらえたら」とします。「本来なら日焼け止めを塗らずに手の甲や顔に15分ほど当たるのがいい」そうですが「紫外線の当たりすぎは良くないし日焼けも気になるので、手のひらを15分ほど日に当てること」を勧めます。日陰でもよいということです。
そして、骨粗しょう症は自覚症状がないことから「骨折して初めて運ばれ、病院で調べて分かる場合が多い。痛みがない分、背骨の圧迫骨折だと身長が縮んできたり背骨が曲がってきたりすることで気づく人もいる」と渡邉医師。
自分で気づくことが難しい骨粗しょう症ですが、検診の受診率は全国平均で5.9%と低く、福井県では4%未満とさらに下回っています。
渡邉医師は「遺伝も関わるので女性で、母親や祖母が圧迫骨折をしていたり、太ももの骨折で手術をしたりしている方は一度調べてみたほうがいい」とします。
また、日常生活での転倒予防に努めることも重要です。渡邉医師によりますと「脚の付け根(大腿骨)の骨折は家の中で起きることが多い」といい、高齢者は転ばない環境づくりや体力づくりが重要です。
