「愛知県警の岡田です」

見知らぬ携帯番号からの着信。「もしもし?」と返すと、唐突に「なにキレてんだよぉ」と声を荒らげてきた。

その後も「なんだよ。●●ちゃん(注:筆者の下の名前)、なぁ●●ちゃん、●●ちゃーん」と連呼され、気持ち悪いことこの上ない。

どんな展開になるのか興味はあったが、あまりのレベルの低さに電話を切った。

かかってきたのが「080」からはじまる携帯番号だったので、「この番号の利用を止めれば、ほんの少しでも特殊詐欺被害が減るかな」と思い警察に連絡。地元警察署の刑事課の方と電話で話すことに。

事情を説明した後、「通話の録音と通話記録のスクショを送るので、この番号の利用を止められますか?」と問うと「記録に残しますので、あなたの名前と連絡先を教えて下さい」との返事。伝えた後で再度「利用を止められますか?」と聞いたが、「記録に残します」と言われ話が終わった。

最近の特殊詐欺は、警察や検察を名乗る手口が主流で、偽警察官からの電話を受けた人は多いはずだ。
それぞれが通報して番号をつぶしていけば、それなりに詐欺グループにダメージを与えられるのではないかと思ったが違うのか?

特殊詐欺やネット犯罪などの問題に詳しいITジャーナリストの三上洋氏に話を聞いた。

■番号を1つ潰しても意味がない…

【ITジャーナリスト 三上洋氏】
特殊詐欺犯の中には、携帯電話会社と契約したSIMカード、いわゆる普通の携帯番号を悪用している犯罪グループがあり、冒頭のケースはこれに該当します。

彼らは数百から数千という大量のSIMカードを持ち“使い捨て”にしています。

ですから警察からすれば「たった一つの番号を止めても犯罪抑止にならない」のです。

本来、SIMカードの取得には、法律で決められた本人確認やクレジットカードなどの支払い情報が必要です。

犯罪グループがどうやって大量に取得しているのかは分かりませんが、何かしらの違法な手段で大量取得し、少しでもまずいと思うと簡単に捨てているのです。

そもそも警察は立件してから携帯電話番号を凍結させるなどの手続きを行います。

なんらかの被害を受けて被害届を出さないと、相談だけではなかなか動かないのが現状です。

■海外からの電話は“詐称”できる

今、詐欺電話の多くは海外からのIP電話(インターネット電話)を利用しています。

厄介なのが、海外のIP電話の一部の業者は“電話番号の詐称”が出来てしまうのです。

例えば実在する県警の電話番号を表示させることもできます。仮に埼玉県警の電話番号(048-312-0110)を使うとすると、携帯電話の画面には「+1 48-8312-0110」と表示されます。

海外からのIP電話は、発信者番号の最初に国番号を占める「+1」とか「+2」といった数字がついています。
「+」がついた着信は、知り合いからだと明確に分かる場合以外は取らない方が良いと思います。

また「+81」は日本の国番号で、国内からかけている場合と、海外の通信業者を経由している場合があります。
こちらも知り合いからかどうか、しっかり確認してから取るようにしてください。

現状、詐欺電話は「+1(北米地域)」「+44(イギリス)」の表示が多いとされています。

また、末尾を「0110」として警察からだと思わせるケースも多いので、十分な注意が必要です。

■ニセ警察電話は「フルネームで呼びかけ」ビビらせる

ニセ警察電話には、共通する“2つの特徴”があります。

ひとつめは『フルネームや住所などを知っていることを強調する』。

電話がかかってきて、いきなり「●●に住む▲▲さんですね」などと個人情報を特定されるので、受けた人はびっくりして怖くなってしまいます。

しかしそれでは相手の思うつぼ。驚かせて正常な判断をしにくくするのです。

残念なことに様々な名簿が流出しているので、名前や住所を知られていることは十分あり得ます。

詐欺犯の目的はビビらせること。冷静さを失わないよう十分注意してください。

■遠隔地の警察を名乗りラインに誘導…

もうひとつの特徴は、『遠隔地の警察署を名乗る』こと。

例えば東京の人には北海道警や高知県警、大阪の人には鹿児島県警や秋田県警といった具合に、必ず地元から遠く離れた警察署を名乗って電話をかけてきます。

目的は、「ラインなどの動画通話に誘導」することです。

詐欺犯は、「すぐに出頭してください」と言ってきます。

しかし、遠隔地の警察だと行くのは難しい。すると、「わかりました。では特別にラインのビデオ通話で事情聴取します」と言いだします。

「通常はやらないことですが、今回だけ特別ですよ」と言われると、信じてしまう人がいるのです。

そしてビデオ通話で「逮捕状」や「警察手帳」を見せられたり、警察官らしき人が出てきて話したりすることで、騙される人が出てきてしまうのです。

警察は決してラインなどでのやり取りをしませんし、「今回だけ特別」もありません。

特殊詐欺の手口はどんどん巧妙化していていますが、まずは「海外からの見知らぬ番号には出ない」「名前や住所を言われてもビビらない」「遠隔地の警察を名乗る電話はニセ警察詐欺」ということを頭に入れ、十分に気をつけて頂ければと思います。
(ITジャーナリスト 三上洋氏)

関西テレビ
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