福岡の文化のひとつともいえる「屋台」。
福岡市内には、2020年3月まで103軒の屋台があったが、新型コロナウイルスの影響もあってか、現在は1軒が廃業、6軒が休業している。
福岡にとっては貴重な観光資源ともいえる屋台の現状を取材した。

40年以上続く老舗も「前年の7割」

福岡市天神の街角。
鉄板を使った料理が売りの「博多っ子純情屋台 喜柳」は、この場所で40年以上続く老舗の屋台だ。

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そんな喜柳も2020年4月の緊急事態宣言を受けて、1カ月以上の休業を余儀なくされ、新型コロナの影響をまともに受ける形となった。

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
ことしは一番つらい。10月の前半くらいまでは全然、人がいなかった。街自体に人がいなかった。「GoToキャンペーン」とかが始まって、後半くらいから、ちょっとよくなっている

土曜のこの日は、午後6時の開店から30分もしないうちに店は客でいっぱいに。「GoToキャンペーン」の効果なのか、ほとんどどが県外からの観光客だ。

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
どこから来たと?

客:
神戸から来ました

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
しゃれてるね

屋台の大きな魅力のひとつが、店主とのやり取り。初めて福岡を訪れた客もアットホームな雰囲気を味わうことができる。

客:
明日の予定を全然決めてなくて

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
太宰府はどう?今、はやりの「鬼滅の刃」。「鬼滅の刃」が好きなら竈門神社という神社があるよ。急行で乗り換えたら、20分くらいで行けるよ

客:
じゃあ、太宰府行こうよ

――屋台はどうですか?

東京からの観光客の男性:
わくわくしますね

東京からの観光客の女性:
楽しい

東京からの観光客の男性:
なかなかこっちに来て、地元の人としゃべることないから

東京からの観光客の女性:
明日はラーメンがおいしいところも聞いたので、そこに行こうかと思います

午後9時すぎ、一段と賑わう屋台の外には客の行列ができていた。

入店の際の検温やアルコール消毒が既に日常の光景となり、一時期に比べると客足も回復したように見える。
しかし、平日・土日ともに、訪れる客は前年の7割にとどまっているという。

「GoTo」対応などの工夫も

喜柳では、少しでも多くの観光客を呼び込もうと、国の観光支援策「GoToトラベル」の地域共通クーポンも利用できるようにした。

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
(地域共通クーポンが)始まった当初はすごく来た。でも使えないからと。だから急いで登録した。わざわざ博多に来てもらっているのに、使えないってかわいそうじゃないですか

さらに喜柳は、屋台としては珍しく、グルメサイトからのネット予約にも対応し、1人最大1,000ポイントが貰える「GoToキャンペーン」にも対応している。

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
天神地区の屋台が使えると思ったら(客に)来てもらえる。そういうのが大事。コロナというのはすごいマイナスだったけど、それをプラスにしようと思って

――屋台はどうでした?

愛知からの観光客:
すごい楽しかったです

――何が一番おいしかった?

愛知からの観光客:
このもちもち餃子がおいしかった

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
そこは大将の笑顔でしょって。またゆっくり遊びに来て、どうもありがとうね

ようやく店が落ち着いたのは、日付が変わった午前0時半すぎ。この日訪れた客は30組を超えたが、それでも普段の平日並みだという。

博多っ子純情屋台 喜柳 店主・迎敬之さん:
今の北海道みたいに、12月に向けてまた増えたらというのは怖い。そこが本当に不安

コロナの嵐が吹き荒れる中、福岡ならではの文化を守っていくためにも、行政による実情に踏み込んだ支援が屋台には欠かせないといえる。

(テレビ西日本)