FIFAワールドカップ2026は、いよいよ準々決勝を迎える。
決勝トーナメント2回戦を終えてリオネル・メッシ(アルゼンチン)が8点、キリアン・エムバペ(フランス)とアーリング・ハーランド(ノルウェー)がともに7点を挙げるなど、前評判が高かった各チームの絶対的エースが結果を出し、ハイレベルな得点王争いが繰り広げられている。
ワールドカップ過去3大会の得点王のゴール数を見ると、2014年ブラジル大会のハメス・ロドリゲス(コロンビア)、2018年ロシア大会のハリー・ケイン(イングランド)がともに6点、前回2022年カタール大会のエムバペが8点。今大会は出場チームが32から48になって試合数が増えたこともあり、1970年メキシコ大会で10点を挙げたゲルト・ミュラー(西ドイツ)以来となる二桁ゴールも視界に入ってきた。
「1大会13ゴール」ジュスト・フォンテーヌ
ミュラーの上を行く最多の「1大会13ゴール」でワールドカップの歴史に名を刻むのが、1958年スウェーデン大会のジュスト・フォンテーヌ(フランス)だ。
FIFA公式サイトによると、当時のフォンテーヌはすでにスタッド・ランスのエースストライカーとして確固たる地位を築いていたが、この大会では負傷した主力のタデー・チソフスキ、ルネ・ブリアールの代役として初戦のパラグアイ戦に挑んだ。
“負傷者の代役”で快挙
そのパラグアイ戦でいきなりハットトリックを達成。続きユーゴスラビア戦でも2得点を挙げた。グループステージではスコットランド戦の1ゴールも含め6得点。驚異的なペースでゴールを量産した。
さらに決勝トーナメントでも得点力を発揮し、北アイルランド戦で2得点。ブラジルとの準決勝では2-5で敗れたとはいえ1ゴールを決め、西ドイツとの3位決定戦では4得点を挙げて6-3で勝利し、当時ベスト8が最高だったフランスを3位に導いた。
フォンテーヌは最終的に大会6試合で13得点を記録。ワールドカップ出場はこの1大会のみだった。なお、この大会はペレらを擁するブラジルが初優勝を飾っている。
FIFA公式サイトによると、当時のフォンテーヌはゴールに直結したプレーに優れており、チャンスを確実に決める決定力、試合ごとに得点を積み重ねる安定性を備え、ストライカーとしての完成度の高さを示したという。
フォンテーヌの出現はフランスサッカーの発展において重要な転機となったのは間違いない。彼の活躍は国内外でフランス代表の評価を高め、ミシェル・プラティニやジネディーヌ・ジダン、ティエリ・アンリ、エムバペやウスマン・デンベレといった後のスター選手たちに道を開いたとされる。個人記録だけでなく、国のサッカー文化の成長にも寄与した点が大きな意義といえよう。
2023年に89歳で亡くなったフォンテーヌに対し、FIFAはその功績を改めてたたえた。
フォンテーヌの13ゴールから68年。今大会はメッシ、エムバペ、ハーランドに加え、歴代得点王のケインも6ゴールをマーク。いずれもベスト8まで勝ち上がっており、まだまだ得点の上積みが期待できる状況だ。
ハイレベルな争いでフォンテーヌの記録にどこまで迫れるか、あるいは新記録が生まれるのか。興味は尽きない。

