JR札幌駅の改札の外にあるトイレが3年後になくなるという。
JRは周辺の施設でトイレを利用するよう呼びかけることにしているが、駅の利用者は首をかしげている。
「お客さまにとって優しいイメージや未来志向のイメージが持てるような駅にしていきたい」(JR北海道 綿貫泰之社長)

JR北海道の綿貫社長が5月20日に発表したのは、札幌駅のリニューアル後のイメージ図。
新しい駅舎は出会いや交流を大切にした空間になるという。

西コンコースは歴史や文化を感じる空間に。

東コンコースは未来を感じる空間にするということだ。
線路が高い場所に移されてから35年が経ち、雨漏りが発生するなど老朽化が目立つ現在の札幌駅。
新しく生まれ変わる半面、なくなってしまうものがある。

「札幌駅のリニューアルで駅の改札の外にあるトイレが2029年度をめどに廃止されます」(関根弘貴記者)

JRが公開した札幌駅のコンコースのイメージ図。
現在は改札の外の東西2か所にトイレがある。
ところが、リニューアル後はこれらのトイレがなくなってしまうのだ。
一体なぜなのか。
「設備の配置の見直しです。改札外トイレを廃止し、商業施設の拡大やコンコースの混雑緩和を図ります。トイレの維持管理費や安全面の観点もあります」(JR北海道のコメント)

トイレの維持管理には光熱費のほか、清掃や巡回のための人件費が必要で、赤字が続くJRにとっては見直したいのが本音だ。
とはいえ、利用者の多くは納得がいかない。

「(列車に)乗らない人が困るでしょ。みんながみんな駅に来た人が列車に乗ってどこかに行くわけではない」
「けっこう困る。女性は化粧直しとか、トイレは用を足すだけじゃない」(いずれも利用者)
札幌駅の乗車人員は1日約8万6000人。1年で3100万人にも及ぶ「北海道の陸の玄関口」だ。
これに歩いて通る人や買い物客なども含めると、膨大な数の人が利用していることになる。

「私どもは札幌駅の近くで商業施設もやっているのでそちらのトイレを案内する」(JR北海道 綿貫社長)
JRは札幌駅直結のステラプレイスやJRタワーのほか、駅周辺の商業施設のトイレを利用するよう呼びかけることにしているが…
「(荷物が)重いんでちょっと大変。商業施設の中ではなく、駅の1階など改札の外にもトイレがあるということが一番大切だ」
「(商業施設の)営業時間外は使えなくなる。(改札外にもトイレが)あった方がいい」(いずれも 利用者)

札幌駅周辺の商業施設は夜8時に閉館する所が増えてきたほか、正月に休む店舗も多くなってきている。
JRの計画を知った商業施設のひとつは…
「トイレの利用者だけ増えても困る。実際にどうなるか見当もつかず、施設内のトイレをすぐに増やすことはできない」(周辺の商業施設のコメント)
2026年1月の大雪で運休が相次いだときには、改札の外が大勢の人でごった返した。

「(災害時は)周りの商業施設も含めて(トイレを)案内することになる」(JR北海道 綿貫社長)
JRは「ご利用になるお客さまの意見を聞きながら対応していく」としているが、利用者の声に応じて計画が変更になるかは不透明だ。
列車に乗る人だけでなく、買い物に来る人も大勢いる札幌駅。もはや単なる駅ではない。
改札の外のトイレが無くなることに問題はないのか、鉄道インフラに詳しい北海道教育大学の武田泉准教授に聞いた。

・札幌駅は「公共施設」
・効果的な便利性の提供にはほど遠く、計画を再考すべき
・商業化の波に流されてしまっているのでは
武田准教授は「北海道に限らず全国のJRで待合室など無料の施設が減ってきている。駅の公共性を今一度考えるべきだ」と話す。
JR北海道は、札幌駅のリニューアルを2029年度にも終える予定だ。
