八代市の庁舎建設をめぐる汚職事件の発覚から約1カ月半。6000万円もの賄賂を受け取ったとして現職の市議が起訴されるなど、波紋が広がっています。関係者の証言などから事件の背景に迫ります。

あっせん収賄罪で起訴された成松被告

事件の発端となったのは八代市役所の新庁舎建設工事。熊本地震で被災した庁舎が2022年に新しく建て替えられた。

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この工事をめぐり、「業者の契約手続きは適切だったのか」「事業費は妥当だったのか」などとインターネット上や週刊誌の報道から疑惑が浮上。市議会ではいわゆる『百条委員会』が立ち上がり調査が進められる中2026年2月には警視庁と熊本県警の合同捜査本部が設置された。

それから3カ月後の5月7日、捜査本部が動いた。警察は、庁舎建設をめぐり、便宜を図った見返りにゼネコンから現金6000万円を受け取った疑いで、成松市議ら3人を逮捕した。

3人は「不当逮捕だ」などと事件への関与を真っ向から否定。さらに5月28日、警察は逮捕された3人を含む6人を賄賂のうち2000万円をマネーロンダリングした疑いで逮捕した。面会した弁護士によると、6人は逮捕後、容疑を否認していたという。

新たな音声データに元職員の証言も

2005年から6期にわたって八代市議会議員を務める成松被告とはどのような人物だったのか。

八代市の元職員は「見た目や声、相当な迫力があり、なかなか反発したり、意見を言ったりするのは難しい。私の印象としては、副議長になったころから少しずつ変わってきた」と語る。

TKUは、成松被告が副議長だった当時の2020年9月に録音されたとみられる音声データを新たに入手した。新庁舎建設工事の落札から1年ほど後のこの日、建設工事の発注に関して説明する市の幹部に対し、成松被告が高圧的に話す様子が残っていた。

音声データには市職員が「合わせて大体3億弱くらいのオーダーの追加、今度、当初で上げようと」と話すと、成松被告が「そこら辺の金額はね、見ないといけないし、結局、遅れた分で生じているからあんまりゴリ押しして〈請け負いません〉とすると、地場の下請け、孫請けさんたちが泣くでしょう。そこを言っている」と語気を強く注意する。

それに対して職員は「それはちゃんと言ってこられた分についても、なんかしようかとは思っています。対応は」と話すと、「やっぱり『シンボルタワー』と言われるような意味合いで建てないと、〈トラウマタワー〉のようになるといけない。口酸っぱく言っているでしょう?だから孫請け、下請けが泣かないようにするためにはやっぱり、ある程度の適正価格でいかないと。『そういうのは請け負けだね』ぐらいの横柄な態度でいくと、やり損うよ」と話していた。

成松被告は自身が経営するちゃんこ料理屋などに職員を呼び出しては、たびたび無茶な要望をしていたという。生来の押しの強さに加えて、議員として年々、力をつけてきた成松被告は、市庁舎の建設工事に絡む一連の事件の中心人物となった。

八代市の元職員は「ここ20年近く、八代市役所はあの人を中心に回っていたところがあった。逆らったり反対の意見を言うのは非常に勇気がいる」と話す。

八代市新庁舎汚職事件の経緯まとめ

事件を取材している県警キャップの前田記者と共に、まずは事件の経緯についてこれまでの取材をもとに時系列で整理します。

賄賂を受け取った疑いで5月7日に逮捕されたのが3人で、ゼネコンに成松被告を『有力議員』として紹介したのが園川容疑者。その後、松浦容疑者の自宅で現金の受け渡しが行われたとみられています。成松被告は起訴され、残りの2人は処分保留となっています。

そして、賄賂のうち2000万円をマネーロンダリングした疑いで、この3人を含めた6人が逮捕されています。住所・職業いずれも不詳の伊藤卓也容疑者ら3人が新たに逮捕されました。成松被告と松浦容疑者が新幹線で上京し、伊藤容疑者・渡邊容疑者に現金を手渡したとみられています。

また、園川容疑者と中村容疑者はその際に成松被告と連絡を取り合っていたということです。さらに、伊藤容疑者については成松被告から依頼され、偽名を使いジャーナリストをかたって市の職員など関係者に接触し、情報収集していたとみられることも分かっています。

フジ平松秀敏解説副委員長の見立ては

フジテレビ報道局で社会部デスクなどを歴任し、数々の汚職事件を取材してきたフジテレビの平松秀敏解説副委員長に今回の一連の事件について見解を聞きました。

フジテレビ平松秀敏解説副委員長は「地方政治を舞台にした汚職事件で、6000万円の賄賂は聞いたことがない。国政レベルでもほとんどないので、『異例中の異例』と言ってもいいと思う。(熊本地震)復興プロジェクトのお金を食い物にしている点で非常に罪深いと思う」と話します。

また、マネーロンダリングの容疑で逮捕されたことについては「収賄容疑の一環として捉えられて犯罪行為としては(通常)立件していない。ところが、今回は賄賂を隠した行為まで事件化している。『捜査逃れ』が見られたのであえて『賄賂隠し』も事件化したのだろう。賄賂金のその後の流れも悪質と判断したのだと思う」と分析します。

また、平松秀敏解説副委員長は「どういうお金の流れがあるのか、どういう人物が関与しているのか、まだまだ分かっていない段階なので、捜査は続いていくと思う。場合によっては、大展開を見せる可能性もゼロじゃない。〈第2幕〉に行く可能性もゼロではない、というのが私の予想」と話しました。

(テレビ熊本)

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