FIFAワールドカップ2026グループF第1戦、日本対オランダがアメリカ・ダラスで行われた。FIFAランキング18位の日本に対し、相手は8位のオランダ。試合は日本時間の午前5時に始まり、2対2の引き分け。格上相手に貴重な勝ち点1を手にしたこの激闘を、石川県内でも多くのサポーターが早朝から固唾をのんで見守った。
田中碧と能登職人をつなぐW杯の絆、日本はオランダと2対2

金沢市内のスポーツバーには、早朝から約70人ものサポーターが集まった。仕事終わりに上司2人と駆けつけた人、試合のためだけに早起きをした人など、その熱量は様々だ。
ある男性サポーターはこう語った。
「きょう起きたのは午前3時半です。朝の9時半から仕事です。みんなで心を一つにして応援したいと思っています。」
午前3時半起床、試合後そのまま仕事へ向かうというその姿勢に、日本代表への思いの深さがにじんだ。

今回の試合に、特別な思いを胸に応援した人物がいる。輪島で200年以上続く「田谷漆器店」の代表、田谷昂大さんだ。
「きのうは午後9時くらいには寝たので、それくらい楽しみにしていました。」
田谷さんが日本代表をこれほど強く応援するのには、深い縁がある。代表メンバーの1人、田中碧選手は、能登半島地震が発生したおととしから2度にわたって輪島市を訪れ、地元の人々と交流を深めてきた。

田谷さん自身も去年、田中選手に商品の運び出しを手伝ってもらったという。
「たくさんの方が能登半島に来てくれて、田中碧選手も僕らのサポートをしてくれたので、一生懸命応援したいなと思っています
その縁から田谷さんは、輪島塗職人が作ったレガーズを田中選手に贈った。
「輪島塗をアメリカまで持って行ってくださったので、僕らもしっかり応援したいなと思っています」

輪島では、レガーズを作った職人とその家族も集まり、日本代表へ声援を送った。レガーズを製作した職人の山之下昭裕さんはこう語る。
「これからまだ出る機会があると思うので、そのときは一生懸命応援しようと思います」

「ファーサイド、ヘディング!これが決まってしまった」——激動の後半、2度追いついた日本
試合は序盤からオランダの猛攻に日本が耐える展開となった。鈴木彩艶のスーパーセーブや谷口の好対応など、守備陣が踏ん張り、前半終了間際には中村がシュートを放つ場面もあったが、互いに得点を奪えず0対0で折り返した。

「いやぁ、どっちが勝つかわからない試合ですね」
「いい試合ですね。ピンチがありましたけど、キーパーが頑張って止めているので後半も期待したいですね」
スポーツバーで観戦したサポーターたちもハーフタイムにそう口々に語った。
しかし後半、試合は大きく動く。後半5分、右からのクロスを頭で合わせられ、オランダに先制を許した。それでも日本は後半12分、中村敬斗がワールドカップ初ゴールを決め同点に追いつく。だが後半19分、サマーフィルの左足シュートで再びオランダにリードを許した。
その後も菅原らが果敢にゴールを狙ったが相手ゴールを割ることができず、オランダリードのまま試合終盤へ。

試合終了間際、日本がコーナーキックを獲得すると、小川航基のヘディングが鎌田に当たりそのままゴールへ。再び同点に追いついたニッポン。スポーツバーは歓声に包まれ、実況の声も興奮に震えた。
「日本同点!会場も湧き上がっています!」
試合はそのまま2対2で終了。日本は格上のオランダ相手に貴重な勝ち点1を手にした。

次戦チュニジア戦への期待と、輪島から届けたい思い
試合終了後、サポーターたちの表情には安堵と興奮が入り混じっていた。
「届いたと思います。ぜひ予選リーグを突破して決勝トーナメントに進出してほしいと思います」
「きょうはもうテンション上がりながら仕事をすると思います」
「ちゃんと決め切るところは決めて、勝ち点1をとれたところはでかいかなと思います」

一方で、田中碧選手はこの試合を通じて出場機会がなかった。田谷さんは残念さをにじませながらも、前向きに語った。
「田中選手には出てほしかったですけど、今回の引き分けが日本が長くプレーできることに繋がったと思うので、田中選手が出る機会が増えたのかなと思います。なのでぜひ、輪島塗職人が作ったレガーズでピッチに立ってほしいと思います」

レガーズを製作した職人の上巻美津男さんも、この試合を見て力をもらったと話した。
「こういう試合を見ると、やっぱり自分らの力になりますし、勇気を与えてもらえますね。(次の試合は)勝ち点3を取ってほしいですよね。できれば田中選手に出ていただいて……」

優勝を目指す日本代表の次戦は、日本時間の今月21日、チュニジアとの対戦だ。能登の職人たちの思いを乗せたレガーズが、いつかピッチの上で輝く日を、輪島は待ち続けている。

(石川テレビ)
