水筒が「凶器」に?消費者庁が注意喚起

熱中症対策の必需品として子どもたちが毎日持ち歩く水筒。
しかし、その水筒がお腹に直撃することで「小腸が破裂」、「臓器を摘出」という深刻な事故につながるケースがあることをご存じだろうか。
日本小児科学会などはすでに国へ要望を行っており、消費者庁も注意を呼びかけている。

ランドセルに入りきらず…“ななめがけ”が引き起こす思わぬ事故

暑い季節、子どもに水筒を持たせる家庭は多い。
大人であれば鞄に収めるのが一般的だが、子どもの場合はランドセルやリュックに入りきらず、肩から斜めに掛けて登下校する姿をよく見かける。
実は、この“ななめがけ”が、思いもよらない事故につながるケースがある。

日本小児科学会などは2年前、水筒がお腹の前にある状態で子どもが転倒した場合の危険性について注意喚起を行い、国にも要望を提出した。

報告によると、2024年までの約40年間に、転倒した際に水筒で腹部を強く打つ事故が14件以上確認されており、5歳から11歳の子どもがけがをしている。

なかには小腸が破裂して腹膜炎となり緊急手術に至ったケースや、内臓が損傷して臓器を摘出したケースもあったという。

転倒し水筒で腹部を強打…重傷を負うケースも
転倒し水筒で腹部を強打…重傷を負うケースも
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「筋肉も弱く臓器に衝撃が加わりやすい」医師が解説 子どもの体の特性

なぜ子どもはこうした事故のリスクが高いのか。

木村あおぞらクリニックの木村隆誉院長は「そもそも子どもの皮膚がやわらかいし筋肉も弱いので、硬いものがお腹に当たるとお腹の中の臓器に衝撃が加わりやすい」と説明する。
さらに、子どもは転倒しやすい上に、転んだ際にとっさに手をつくことも難しいため、水筒の衝撃が直接内臓に伝わってしまうことがあるという。

もし水筒がお腹に強く当たってしまった場合、どう対処すればよいのか。
木村院長は「(水筒が)お腹にぶつかったという話を聞いたら、大丈夫かなとか吐いていないかなというのを見ていただいて、もし症状が少しでもあったら病院を受診してもらったほうがいい」とアドバイスする。

子どもが自覚症状をうまく伝えられないからこそ、保護者が変化を見逃さないことが重要だ。

木村あおぞらクリニック・木村隆誉院長
木村あおぞらクリニック・木村隆誉院長

消費者庁が呼びかけ ストラップが首に絡む危険も

水筒にまつわる事故はお腹への衝撃だけではない。
ストラップが首に絡みつくという事故につながるケースもある。

こうした事故を防ぐため、消費者庁は「水筒をなるべくリュックサックなどに入れる」、「水筒を首や肩に掛けているときには走らない」、「遊具などで遊ぶ場合は水筒を置いてから遊ぶ」など注意を呼びかけている。

転倒した際に水筒で腹部を強く打つ事故が約40年間で14件以上発生
転倒した際に水筒で腹部を強く打つ事故が約40年間で14件以上発生

水筒事故防止へ 収納型ランドセルなど対策グッズ登場

「走らないで」と言い聞かせても、なかなか言うことを聞かないのが子どもというもの。
そうした現実を踏まえ、近年は事故を未然に防ぐためのグッズも登場している。

日吉津村のショッピングモール・イオン日吉津店のランドセル売り場では、水筒をしっかりランドセル内に収納できる商品を取り扱っている。

同店の本村努店長は「みらいポケットは拡大するのでたくさん入ります。ですので、お子さんが手ぶらで安心安全で学校に行っていただけると思います」と話す。

マチが最大21.5センチまで拡張できるこのランドセルは、教科書やノート、筆箱に加え、水筒もしっかり収まる容量を確保している。
また、ランドセルに取り付けられる補助バッグも取り扱っており、二つある収納ポケットには、それぞれ1リットルサイズの水筒を収容できる。

収納が拡大できるランドセル 水筒も難なく入れられる
収納が拡大できるランドセル 水筒も難なく入れられる

“転ばぬ先の杖”…母親の危機感から誕生した「安心水筒ホルダー」

ネット通販でも対策グッズを入手できる。
福島県の「マザーソリューション」が販売する「安心水筒ホルダー」は、ベルトで水筒の肩ひも同士を固定し、水筒を体の前ではなく背中側にキープする仕組みだ。ランドセルやリュックへの取り付けにも対応している。

この商品を開発したのは、子育て中の母親が起業した会社だ。代表の齋藤祐子さんは開発のきっかけを「たまたまニュースを見ていて、水筒のななめがけは危ないよというのを医師のかたが発信しているのを見たけど、(自分の子どもに)通学時に水筒を持たせないという選択肢はないから困ったなというのがきっかけ」と振り返る。

母親の視点から子育ての悩みを解消するグッズを開発・販売するというコンセプトのもと、2年前から商品の開発・販売を開始。
これまでにネットショップを中心に8000個以上を販売してきた。

「何かが起きてしまってからではやはり後悔してもしきれないと思うので、転ばぬ先の杖じゃないですけれども、備えてあげられることは備えてあげると安心して子どもを毎朝送り出すことができるのかなと思います」という齋藤さんの言葉には、同じ母親として同様の不安を抱える保護者たちへの共感が込められている。

予想もつかない動きをする子どもたちにとって、日常の中に潜む危険は決して他人事ではない。
熱中症対策として毎日持ち歩く水筒にもリスクがあることを知り、グッズの活用や声かけなど、できる備えを積み重ねていきたい。

福島県の「マザーソリューション」子育て中の女性目線で商品を製作・販売
福島県の「マザーソリューション」子育て中の女性目線で商品を製作・販売
TSKさんいん中央テレビ
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