札幌市の地下歩行空間直結のパン屋に、スマートフォンを手にした客が訪れた。

事前に袋詰めされた商品を、従業員が1つ1つ説明して手渡す。

1つ400円以上するパンが3~4個入って、1袋1080円で買えるアプリとは?
1つ400円以上するパンが3~4個入って、1袋1080円で買えるアプリとは?
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「賞味期限は翌日までです。保存料を一切使っていないので、食べきれない分は冷凍保存をお願いします」(パン店の従業員)

全国で20店舗を展開するパンの専門店「ブールアンジュ」。中には1つ400円以上するパンもある。そんなパンが3~4個入って、1袋1080円で買えるアプリがある。

「店頭に並んでいる商品と比較すると、このクロワッサンは真ん中の部分の表面がはがれてしまっているので、本来は食品ロスになる」(ブールアンジュ 二俣 美有さん)

味には変わりがないが安く買える「ハネ物」
味には変わりがないが安く買える「ハネ物」

袋の中身は「ハネ物」と呼ばれる、形状や見た目が店の販売基準を満たさない商品だ。味に変わりはない。

「このクイニーアマンは真ん中の焼き色が少し薄いので食品ロスになってしまう。色もちょっとまばらなので『TABETE』に出品している」(二俣さん)

スマホアプリ「TABETE」は、このような「ハネ物」など、おいしく食べられるのに捨てられてしまう食品を格安で販売するというもの。助けを待っている食品を「レスキュー」する仕組みだ。

助けを待っている食品を「レスキュー」できるスマホアプリ「TABETE」
助けを待っている食品を「レスキュー」できるスマホアプリ「TABETE」

「店の近くにいたら、レスキューの依頼がきていた。パンは冷凍できるのでレスキューに行きやすい」

「1080円でこれだけ食べられるので十分。普段たくさん買うと値段が結構するのに、これだとお得」(いずれもTABETE利用者)

この仕組みは、学生時代からアルバイトで外食産業に携わってきた川越一磨さんが2018年にスタートさせたものだ。

「食品ロスをいかに減らすかが重要」と語るコークッキング 川越一磨 代表
「食品ロスをいかに減らすかが重要」と語るコークッキング 川越一磨 代表

「毎日、食べ物をごみ箱に捨てるという経験をしていたので、これを何とかできないかと。食品ロスをいかに減らしていくかが重要。今は物価高なので少しでもお得に買えるのがユーザーの力になればいいし、おいしく食べてもらえたらいい」(コークッキング 川越 一磨 代表)

北海道内では札幌市を中心に、大手洋菓子メーカーや和菓子店など45の店舗が参加している。

JR札幌駅前の「ホテルグレイスリー札幌」で、訪れた客が受け取った紙袋の中身は弁当だ。から揚げにジンギスカン、焼き魚はサケとサバ。アスパラガスやブロッコリーなど野菜もたっぷり入って、価格はなんと450円。

ホテルのビュッフェの食材を使った弁当、なんと450円!
ホテルのビュッフェの食材を使った弁当、なんと450円!

「ビュッフェという性格上フルラインナップで用意するので、廃棄食材は避けられない問題。『TABETE』に出すことにより捨ててしまうものをレスキューしてもらい、弁当として食べてもらっている」(ホテルグレイスリー札幌 鈴木 雅明さん)

朝食のビュッフェで消費されなかった食材を使った弁当だ。4年前から「TABETE」に参加し、食品ロス削減に努めている。

「多い時は300人くらいが朝食ビュッフェを利用するので、残念ながら余るものも増えてしまう。最近は1か月で約13キロの食品ロス削減になっている」(鈴木さん)

ホテルクオリティの料理が450円の弁当に。ただ、その日によりできる数に限りがあり、この日はわずか3個だった。

「TABETE」を利用することで1か月で約13キロの食品ロス削減に
「TABETE」を利用することで1か月で約13キロの食品ロス削減に

「この値段で、このクオリティ。取り合いというか、人気なので買えるかどうか分からない。毎週3~4回はチャレンジしている」(TABETE利用者)

「出したとたんに即完売で、心待ちにしている人もいる。あくまでも用意した中での提供なので、理解してもらいたい」(鈴木さん)

食品ロス削減と、お得に物価高を乗り切るという、一石二鳥の新しい取り組みが広がっている。

北海道文化放送
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