洪水被害の軽減や地下水保全に効果がある『雨庭』が県内でも〈浸透〉しつつあります。『雨庭』づくりに取り組む人々を通してその魅力に迫ります。

【くまもと雨庭パートナーシップ 島谷 幸宏 共同代表】
「洪水も防ぎ、地下水も増やす。両方を一緒にできるのが『雨庭』の魅力」

『雨庭』は、屋根などに降った雨を水路に直接流さず浅いくぼ地に一時的にため、
地中に浸透させる植栽空間です。

〈雨水をためる〉ことで、降った雨が河川に一気に流れ込むのを抑え洪水被害を軽減させるほか、〈地中に浸透させる〉ことで地下水保全にも効果があります。

県内では、2020年の7月豪雨をきっかけに、熊本県立大学や肥後銀行など産学官でつくる『くまもと雨庭パートナーシップ』が普及に取り組んでいます。

※県立南稜高校 ※人吉温泉しらさぎ荘 ※菊陽町役場

【くまもと雨庭パートナーシップ 島谷 幸宏 共同代表】
「すごく広がってきたなという感じがする。特に市民の活動とかが本格化してきている」

去年からは優れた『雨庭』を顕彰する表彰制度もスタート。

ことしは、10の個人・企業・団体に表彰状などが贈られ、熊本市東区の県営団地に
『雨庭』を整備した市民グループが『大賞』に輝きました。

【大賞を受賞・小山幸代さん】
「本当にうれしい。(『雨庭』は)地球にやさしい循環の形。少しでも自然にお返しができる活動かなと思って楽しくやっている」

【東本町団地の雨庭へ】

代表の小山 幸代さんに現地を案内してもらいました。

熊本市東区役所の隣、県営東本町団地の一角に整備された『雨庭』。

アジサイが見頃を迎えていました。

【小山 幸代さん】
「(集会所の)屋根に降った雨を雨どいから雨庭のくぼ地に流してためます」

熊本市の『緑のマイスター』として地域の緑化活動に取り組む小山さん。
おととし夏、団地の自治会の許可を得て、仲間と共に集会所の敷地への『雨庭』づくりに着手しました。

草地を数十センチ掘って、くぼ地をつくり、そこに雨水が流れ込むよう雨どいを改良。周りには様々な植物の種を植えました。

【小山 幸代さん】
「ただガーデニングを楽しむだけじゃなくて、『環境にもいいことをしたいね』ということで、雨庭とガーデニングを組み合わせて造った」

また、落ち葉を堆肥にするコンポストも設置し、資源を再利用する循環型の『雨庭』となっています。

【くまもと雨庭パートナーシップ 島谷 幸宏 共同代表】
「団地に造るのが一つの大きな目標だった。そこを核として皆さんが活動したり、
また次の場所のために苗を作ったり、土を作ったりする拠点になろうとしている点が
高く評価された」

小山さんは、市民目線で『雨庭』の魅力を発信していきたいとしています。

【小山 幸代さん】
「『雨庭』を造ったから終わり、じゃなくて、みんなで育てていく。今後、造られる『雨庭』のために次につなげるために、この場所が使えたらいいかなと」

県内各地に〈浸透〉しつつある『雨庭』。

熊本大学でも現在、キャンパス内に『雨庭』の整備が進められています。

【熊本大学大学院 土木建築学専攻の学生】
「こだわりはデザイン性の高い『雨庭』。ここでお弁当を食べたり、おしゃべりしたりできる小休憩の場所になればいいなと」

工学部の講義棟の横に『雨庭』を含む憩いの広場を造る計画で、土木と建築の四つの研究室が合同で作業に当たっています。

【熊本大学大学院先端科学研究部 皆川 朋子教授】
「空間の中の一部としての『雨庭』づくりということで、デザインの一つにレンガを使う」

熊本大学のシンボル、赤レンガを使ったデザインを採用。

ことし8月のオープンキャンパスまでに完成させる予定です。

【くまもと雨庭パートナーシップ 島谷 幸宏 共同代表】
「熊本の場合は昨年も洪水があったので、〈洪水を防ぐ〉という意味でも、また、〈地下水を保全する〉という意味でもグリーンインフラの一つとして非常に重要な要素が
『雨庭』だろうと思っている」

洪水を防ぎ、地下水を守る熊本の『雨庭』。地中に雨水が染み込むようにゆっくりと、でも確実に広がりを見せています。

テレビ熊本
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