6月6、7日の両日、東京・代々木公園で「東京プライド2026」が開催された。
性的マイノリティを含むあらゆる人が差別や偏見を感じない社会をめざして毎年開催されている国内最大級の多様性イベントだ。
今年のテーマは「多様性と平等がひらく未来」だ。
多様性を表す虹色があちこちに
LGBTQ+の当事者やアライ(支援者)・企業・行政・大使館関係者に加え、一般来場者も合わせると約27万人(主催者発表)が参加した。協賛団体数は256にもおよび、多様性を表す虹色バージョンのロゴなどを掲げた企業ブースが所せましと並んでいた。

ブースではスナップ写真が撮れたり、簡単なアンケートに答えるとオリジナルグッズがもらえたりと、どこも多くの人でにぎわっている。対応してくれる企業の社員が皆、生き生きとしているのも特徴だ。

ここではだれもが平等で、違いを認めてもらえると感じられる空気が漂っている。

同性パートナーが肩を抱き合って堂々と歩く姿や、思い思いのファッションに身を包んだ人たちの顔には、笑顔があふれていた。
クアラルンプール・とき子さん
企業だけではない。会場の一角には大学のブースも。
確認できたもので、お茶の水女子大学、法政大学、龍谷大学、早稲田大学、中央大学ダイバーシティセンター、上智大学有志、筑波大学、テンプル大学、東京大学多様性包摂共創センター、大学ダイバーシティアライアンスと全部で10ものブースがあった。
その中でも目にとまったのは上智大学有志のブース。
ひときわ目を引くのは、ブースの入り口にあるドラァグクイーンのパネル。「クアラルンプール・とき子」とある。
クアラルンプール・とき子さんは、総合グローバル学部の学生で、その名の通りマレーシアのクアラルンプール出身。
幼少期をタイで過ごし、性別にとらわれない表現に自然と惹かれていったという。

大学でのミュージカルサークルをきっかけに女装を始め、2024年8月にドラァグクイーンとしてデビューしたそうだ。
「ソフィアンズコンテスト」でグランプリ
そんな「クアラルンプール・とき子さん」は、2025年の「ソフィアンズコンテスト」でグランプリに輝いた。
ソフィアンズコンテストとは、挑戦する精神(アントレプレナーシップ)に着目し、社会への影響力を評価するコンテストだという。長年続いていた、見た目に重きを置いたいわゆるルッキズム的なミスコン「ミス・ミスターソフィアコンテスト」を廃止し、2020年度から新設されたそうだ。
「 一人一人の強みや関心を軸に、⾃分なりの形で社会と向き合い、発信する、『開かれたコンテスト』の開催」を目指しているとしている。
男女の固定された価値観から脱却し、平等に評価するという姿勢だ。
とき子さんのプロフィールにも、「美貌と度胸で、予定調和をぶっ壊しにいきます」と記載されていて、なんとも威勢がいい。
なぜ今大学が多様性を重視するのか
上智学院ダイバーシティ・サステナビリティ推進室の藤野 圭さんは、「上智大学はもともと国際性豊かな大学であり、異なる文化的・社会的背景を持つ構成員が共存する環境の中で、多様性への取組みは比較的自然に発展してきました」と話す。
上智学院ダイバーシティ・サステナビリティ推進室 藤野圭さん:
「例えば、2016年にはムスリムの学生への配慮としてハラル料理専門の学食を開設し、毎年秋に学生と教職員が協働して多様性に関する企画を行う『ソフィア・ダイバーシティウィーク』は今年で10年目を迎えます。
2025年には、これまでの取組みや大学としての姿勢を学内外に対して可視化・共有することを目的として『上智大学DEI&B推進宣言』を公表し、すべての構成員が活躍の機会を得ることができ、互いを尊重しながら共に生きる社会の実現に向けて行動していく方針を明確化しました。
ソフィアンズコンテストは学生主導で実施されているイベントであり、大学が直接主催するものではないのですが、学生の間でファンも多いクアラルンプール・とき子さんがグランプリを受賞したことは、上智大学における多様性のあり方を象徴する出来事の一つと感じています」
クアラルンプール・とき子さんはまさに上智大学の‟多様性の象徴”のような人だったのだ。
こうした大学生の価値観が広がることが、これからの社会を変える一歩になるような気がした。
同性婚のアピールも
今年の「東京プライド」は婚姻の平等に関するアピールも多くみられた。
G7の中で同性婚を法的に認めていないのは日本だけだ。
2024~2025年にかけて出された6件の高裁判決のうち5件が、同性婚を認めないことは「違憲」と判断。しかし、2025年11月の東京高裁は「合憲」と判断したことで、議論が大きく揺れている。
同性婚をめぐる最高裁判決は早ければ今年中に出るとも言われている。
世界的なプライド月間(Pride Month)に合わせて開催された今回の「東京プライド2026」は、こうした背景もあってか、これまで以上に平等への熱い思いがみなぎっていた。
【執筆:フジ・メディア・ホールディングス サステナビリティ推進局局次長 木幡美子】
