物価高が長引く中、「節約で工夫していることは?」と尋ねると、ある高齢男性は「もう寝ること」という返答が。物価高が続き「これ以上節約できない」という切実な声だ。
福井の消費者団体が県内の消費者が半年先の暮らしをどう見ているかを調査したところ、「悪くなる」と見る人が「良くなる」と見る人を大きく上回り、その指数は過去5番目に悪い水準となった。買い物のたびに値段を確認し、外食やデザートを控える—その積み重ねが、数字となって現れている。
買い物のたびに疲労感…節約には「もう寝る事や」
調査を行ったのは、民間の消費者団体「ふくい・くらしの研究所」。毎年春と秋の年2回、県民生協の組合員2500人を対象に実施し、669件の回答を得た。
その結果、今後半年の暮らし向きについて、「良い」と答えた人の割合から「悪い」と答えた人の割合を差し引いた指数は、前回より1.2ポイント悪化。リーマンショック、東日本大震災、消費税増税、コロナ禍、ウクライナ侵攻と、いずれも社会を揺るがす出来事に伴い暮らし向きの見方が大きく落ち込んだが、今回はそれらに次ぐ、過去5番目に悪い水準となった。
「買い物かごに“このくらい入ってたらいくら”って思ってたのが、とんでもない金額…えっ!?ていう感じで」と話す女性。思っていた金額の「2倍ぐらい」になるという。
高齢の夫婦は「安くておいしそうなのがあれば買うけど、そうでなかったら我慢すればいいわって感じ」と話し、買い物のたびに疲労感を覚えるという。さらに「これ以上節約できん。もう寝る事や」と諦めにも似た感情を口にする。
収入が上がっても…「消費に追いついていない」
今回の調査で、値上がりを実感する品目として最も多く挙げられたのはガソリン・灯油だった。次いで卵・コメと続く。暮らしに密接に関わるものほど、値上がりの痛みは大きい。

背景にあるのは、中東情勢などによる原油高と円安、そして電気・ガス料金への補助金終了だ。エネルギーコストの上昇は、移動や家庭の光熱費に直撃し、それが食料品など他の物価にも波及している。
赤ちゃんを抱えた若い夫婦は「おむつの値段が30パーセントぐらい上がるらしくて、上の子もまだおむつなんでちょっと大変かな」という声が聞かれた。日用品の値上がりが負担として重くのしかかっている。

「安い物にしか目がいかない」「今まで買っていた物でも高いと却下したりとか…」こうした消費行動の変化の背景になるのは「やっぱり給料が上がらないんでね。収入が増えてかない以上、もう支出をできるだけ抑えるしかない」という現実。中には、物価に合わせて「若干、収入は上がっているけど…消費に追いついていない」という人も。
日常生活での節約には限界…外食を抑える動きに
調査では、節約を意識している人が約9割に上ることも明らかになった。直近で節約しているものとして最も多かったのは「外食」で、51.6パーセントの人が「控えている」と答えた。
県内経済に詳しい仁愛大学の南保勝特任教授は、こう分析する。「実質賃金が上がっていることは評価できるが、県民は3年ほど前から続く物価高に対する不安感プラス、経済情勢に対する不安感をもっている」。
南保教授はさらに「日常生活の中での節約には限界があって、これから先、外食を抑えて出費を少なくするという動きは当然ある」と述べる。食費を削り、外食を諦め、それでも物価の上昇に追いつかないというのが現状だ。
2008年からの暮らし向き推移グラフを見ると、指数が大きく落ち込む節目には必ず、時代を揺るがす出来事があった。今回の落ち込みは、中東情勢などを背景にした物価高と、光熱費への補助金終了という政策変化が重なった影響が考えられる。
買い物のたびに値段を見る。外食やデザートを控える。節約にも限界を迎え「もう寝ること」…長引く物価高が生活に暗い影を落としている。
