スマホも地図も見ずに目的地にたどり着ける…それが実現しようとしている。

福井・鯖江市のIT企業「jig.jp」や眼鏡メーカーなどが、AR(拡張現実)を取り入れた最先端の眼鏡「SABERA」を開発した。地図アプリの情報や会話の文字起こし、多言語の同時通訳などをレンズ上にリアルタイムで表示できる。重さは約40グラム。一般的な眼鏡と変わらない見た目と軽さが最大の特徴だ。

 視線を変えず情報取得…ハンズフリー操作が可能

ARとは、実際の風景にデジタル情報を重ね合わせる技術。

普通の眼鏡のように見えるが…最先端の技術が詰まっている
普通の眼鏡のように見えるが…最先端の技術が詰まっている
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SABERAは一見すると普通の眼鏡だが、地図アプリや原稿の表示に加え、内蔵されたマイクで音声を拾いAIによる翻訳や文字起こしも可能だ。

同時通訳がレンズに表示される
同時通訳がレンズに表示される

視線を変えることなくハンズフリーで情報を得ることができる。

レンズに道案内が表示される
レンズに道案内が表示される

“普通の眼鏡”に見えるデザインの実現に大きく貢献したのが、眼鏡メーカー「ボストンクラブ」だ。同社は3年前、県と共同でマラソンランナー向けARグラスを開発した経験を持つ。

「眼鏡は比重が大切」と語る小松原代表
「眼鏡は比重が大切」と語る小松原代表

小松原一身代表は「眼鏡は比重が大事で、前が重すぎると顔に負担がかかる。形としては、誰が掛けても違和感のないウェリントン型にした」と語る。

体験会でも好評だった
体験会でも好評だった

ARグラスにありがちなゴーグル感を排したデザイン。5月に開かれた体験会でも、参加者から「未来感を感じた」「軽くてかけ心地がいい」といった好意的な声が相次いだ。

視力補正にも対応…先行販売では購入者の3分の1以上が注文

ARグラスの課題の一つである視力補正については、レンズの内側に度付きレンズを直接埋め込む一体型構造を採用した。4月からの先行販売では、購入者の3分の1以上が度付きレンズを注文していて、実用性の高さが注目されている。

SABERAには、ビジネス用途にとどまらない可能性もある。先日行われたミュージカル鑑賞の実証実験では、聴覚障害者から好評の声が寄せられた。

開発に携わったjig.jp
開発に携わったjig.jp

jig.jpの田中雄一郎 CFOは「相手を見ながら視線を変えずに発言内容をレンズに表示できるため、非常に相性がいい」と述べ、「絶対に製品化してくれという声をもらい、可能性を感じた」と語る。

外国人労働者を抱える企業からの問い合わせも増えているという。

 市場規模は2035年に今の5倍、約18兆円との試算も

現時点ではビジネス寄りの機能が中心だが、今後は料理中にレシピを表示するといった日常生活向けの用途にも広げていく方針だ。

ARグラスの市場規模
ARグラスの市場規模

ARグラスの世界市場規模は年々拡大。2035年には現在の5倍にあたる約18兆円に達するという試算もある。

ボストンクラブの小松原代表取締役は「ARグラスの黎明期を迎え、生活の一部の道具として多くの人に使われる時代になっていくのではないか」と期待を語る。

ARグラス「SABERA」
ARグラス「SABERA」

メガネ産地・鯖江が培ってきた技術とITを融合させたSABERA。その躍進が注目される。

福井テレビ
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