2024年4月、北海道旭川市の神居古潭で女子高校生が橋から転落し、殺害された事件。

 主犯格とされる内田梨瑚被告(23)の5回目の裁判が5月29日、旭川地裁で開かれた。

 この日は証人尋問と被告人質問が行われ、内田被告は4日ぶりに証言台に立った。


■事件の発端となった“SNSトラブル”を知る少女が証言

 白い半袖シャツに黒いズボン、マスク姿で法廷に現れた内田被告。この日も深く一礼して入廷した。

 証人としてリモート出廷したのは、事件の発端となったSNSトラブルに関わった少女だった。

 被害にあった女子高校生は、2024年4月18日午後8時31分ごろ、内田被告が写った写真をSNSに投稿した。

 女子高校生とSNSでつながっていた少女は、その写真が自分が撮影したものだと気づき、すぐに内田被告へ報告したという。

 Q なぜ内田被告に写真のことを報告した?

 「私が見た写真が上がっていたので、梨瑚さんに知り合いかどうか確認するために見せました」

 Q どんな返事が返ってくると思った?

 「知り合いか、知り合いじゃないか、その返事がくると思いました」

 しかし、少女の予想に反し、内田被告は激怒。

 女子高校生に電話をかけ、2人は留萌市の道の駅で初めて対面することになった。

 内田被告は少女に対し、「女子高校生が直接謝りたいって言ってるから、寝ないで待っててね」などと電話で伝えていたという。

 合流後、内田被告は女子高校生に土下座を強いた。

 なぜ止めなかったのか問われると、少女はこう説明した。

 「梨瑚さんとの上下関係がある中で、梨瑚さんが謝らせている時に止めたら、梨瑚さんの顔が立たなくなって、また怒るかもしれないと思ったからです」

 誰も止められないまま、内田被告の行動はさらにエスカレートしていった。


■被告人質問で内田被告が語り始めたこと

 「続いて被告人質問に移ります」

 裁判長の声に、内田被告は背筋を伸ばした。

 注目の被告人質問。内田被告の証言を聞こうと、朝から雨がぱらつく中、187人が傍聴券を求めて列を作っていた。

 一日を通して資料に目を通す場面が多く見られた内田被告。

 午後に入ると、弁護士から紙とペンを借り、何かを書き留めて確認する様子も見せた。

 マスクを外し、口元をハンカチで拭うと、ゆっくりと証言台へ向かった。

 口をぎゅっと結び、遺族に深く一礼したあと、証言台でも一礼して着席。

 緊張しているようにも、意気込んでいるようにも見えた。

 弁護士が「それでは話を伺います」と声をかけると、内田被告は「よろしくお願いします」とはっきりした声で返答し、被告人質問が始まった。


■女子高校生を”試した”「本当に死にたいなら服を脱ぐことも平気だと思った」

 Q なぜ神居古潭に行ったんですか

 「もう一度、女子高校生と話したかったのと、私自身も落ち着きたかったからです」

 内田被告によれば、神居古潭に着くと、女子高校生は「死にます」「死にたい」と繰り返し口にするようになったという。

 その言葉を聞き、内田被告は…

 「女子高校生が死にたいと言っているのが、本当かどうか確かめたいと思いました」

 さらに、服を脱がせた理由については…

 「本当に死にたいと思っている人なら、服を脱ぐことも平気なのではないかと思いました」などと話した。

 その後、内田被告と、”舎弟”と呼ばれていた共犯の女が、女子高校生を欄干の上に座らせた。

 内田被告は「死にたい」と言っていた女子高校生を試したかったと説明した。


■一度落ちて「自力で戻ってきた」

 内田被告によると、女子高校生を欄干に座らせたのは2回。

 1回目は足を内側に向けた状態。2回目は欄干をまたぐ状態だったという。

 そして、内田被告が女子高校生の体を押すと、

 「欄干の外側に落ちていきました」と自ら証言。さらに、

 「女子高校生は橋の外側についているロープにつかまり、体は上向きで、足を柱に絡ませて落ちないよう耐えていました」と説明した。

 その後、女子高校生は自力で橋の上に戻ってきたという。

 しかし、この話は、共犯の女の証言では、全く触れられていない。


■「梨瑚さんが押した」「置いてきた」 現場にいた2人の証言の食い違い

 橋の欄干から落ちそうになっていた女子高校生。

 事件の核心となるこの場面について、内田被告と共犯の女の証言は大きく食い違っている。

 【共犯の女】
 「梨瑚さんが女子高校生の肩甲骨のあたりを押しました。私の前から一瞬で消えました」

 【内田被告】
 「うちら帰るからと言って、ケータイと最初に渡された4000円を置いて、共犯の女と車に戻りました」

 ただ、2人とも「キャー」「バン」という音を聞いたとする点だけは共通していた。

 その音について内田被告は…

 「橋から落ちたのかどうかを私は見ていないので、どのような状態だったか分からなかった」

 Q 警察や消防に通報しようとは思わなかった?

 「考えはしました」

 Q 悪いことをしたという気持ちは?

 「ありました」

 Q 捕まるまでどのような気持ちで過ごしていましたか?

 「この先どうなるのだろうと思っていました」


 共通する内容もある一方、核心部分では大きく食い違う2人の証言。

 退廷時、内田被告は誰もいない遺族席に向かって深く一礼し、5日間の裁判を終えた。

 6月3日には、再び内田被告に対する被告人質問が行われる。

 今後、新たにどのような証言が出てくるのか注目される。

北海道文化放送
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