プレスリリース配信元:ジャパンシステム株式会社
「社会福祉施設等への指導監査実施率16.5%の現実」業務の各プロセスにおいて複合的・構造的な課題を確認
ジャパンシステム株式会社(本社:東京都渋谷区、代表執行役社長:松野 克哉、以下ジャパンシステム)は、15自治体を対象とした「社会福祉施設等に対する指導監査業務の実態と課題に関する調査」を実施し、その結果を公開いたしました。今回の調査により、指導監査業務の逼迫は一過性の問題ではなく、対象事業所数の増加や制度強化の流れ、限られた人員・予算などにより、構造的かつ継続的に深刻化していく課題であることが確認されました。

厚生労働省 社会保障審議会 障害者部会(第146回)参考資料1を参考に作成
■調査の背景
2026年3月、大阪市の「絆ホールディングス」による大規模な給付金不正受給をめぐり、約110億円の返還請求を伴う行政処分が行われました。2022年に名古屋市の「恵」で発覚した不正受給事案以降、国は監査の厳格化を進めています。一方で自治体の現場では、対象施設数の増加やアナログな業務運用、人員不足などにより、指導監査の実施が難しい状況が続いています。
特に、障害福祉分野の監査実施率は16.5%(※)にとどまっており、国が求める運用強化と自治体現場の実態には大きな乖離があります。不正受給の再発防止に向けて、指導監査の実効性をいかに高めるかが喫緊の課題であると考えます。
当社は2025年に宮崎県と実施した「社会福祉施設等の指導監査計画・管理の一元化」に関する実証事業の結果から、他団体においても同様の課題があると考え、このたび15自治体を対象に独自調査を実施しました。
- 参考:ジャパンシステム、宮崎県庁との指導監査システムの実証を完了、約2,050時間の業務削減を確認:https://public.japan-systems.co.jp/wp-content/uploads/2025/05/JS2025-09.pdf
- ※:厚生労働省 社会保障審議会 障害者部会(第146回)参考資料1 障害福祉分野における運営指導・監査の強化について
本調査結果では、指導監査業務が逼迫する構造的要因を整理するとともに、宮崎県で確認された約2,050時間の業務削減効果をもとに、改善の方向性を解説しています。
■調査概要
目的:
・社会福祉施設等への指導監査業務において、現場(原課)の視点に立ち、「業務の現状」と「共通化に対する期待・懸念」を把握する
・自治体ごとに異なる実態を整理し、「何が共通化に適し、何が個別事情として残るべきか」を明確にする
対象自治体:
指導監査業務の実施主体や規模が異なる自治体を幅広く対象とし、合計15団体に対して実施。
・都道府県:6団体
・政令指定都市:7団体
・中核市:1団体
・その他市町村:1団体
実施期間:2025年12月1日~2026年4月30日
実施方法:
・指導監査業務を担当する課への直接訪問による対面ヒアリング
・各1時間30分~2時間
■調査結果サマリー・現場の声(抜粋)
15自治体へのヒアリングを通じて、指導監査業務の各プロセスである1.事前準備、2.現地監査、3.調書作成・記録、4.職員間での情報連携・管理、5.知見の蓄積・共有環境、6.体制・リソース、7.システム導入に向けた制約、これらの領域において、複合的かつ構造的な課題が確認されました。
1.事前準備
・施設情報・指導監査情報の収集及びデータ突合の負荷が高い
2.現地監査
・事業者負担の低減が求められる一方、毎年監査項目は増え、事業者への確認作業も減らず双方の負担が増加
3.調書作成・記録
・現地メモを元に帰庁後に調書作成やExcel入力を行っているが、転記作業が多く、ミスも発生しやすいため非効率
4.職員間での情報連携・管理
・情報があらゆる場所に分散しており、各担当者でなければ進捗や内容把握が困難
5.知見の蓄積・共有環境
・知見を蓄積・共有できる仕組みがなく、判断基準の品質や指導監査の徹底度合いは経験者に依存
6.体制・リソース
・事務受託法人を活用した運営指導が進むのは予算が比較的潤沢にある大規模自治体のみ
7.システム導入に向けた制約
システムを活用して業務効率化を図りたいが予算がなく実現しづらい
現場の声(抜粋)※
1.事前調査
・監査対象施設のリストを作成する際、施設情報は各課が個別管理している異なる様式のExcelを取得し、監査情報と突合している。各課の様式が異なっており、内容が最新なのか確認することも多い(都道府県庁)
2.現地監査
・PC操作やメールのやり取りに慣れていない事業者も多い。特に小規模や家族経営でやっている事業者。メールで催促の通知や連絡があったとしても見ないと思う。過去メールでやり取りをしていたが郵送や電話に戻した過去がある(都道府県庁、政令市)
3.調書作成・記録
・現地で手書きメモを取り、帰庁後正式通知に書き換えた上で、Excel台帳に転記しているが、同じ内容を複数箇所に入力しており転記ミスが多い(都道府県庁)
4.職員間での情報連携・管理
・施設とのやり取りが電話、メール、FAXなど複数チャネルに分散しており、日程調整や事前提出資料の提出進捗及び、資料の保管場所の把握がしづらい。各課で共有フォルダを作成して資料を共有しているが、フォルダの階層が多く、該当資料が保管されているのか、どこにあるのか把握するのが大変(都道府県庁)
5.知見の蓄積・共有環境
・体系的なマニュアルは存在せず、引き継ぎは前任者のメモに依存しており、過去事例を参照して対応するケースが多い。過程が記録されておらず、結果だけが残るため、業務の背景や判断理由が分からず現場で苦労している(都道府県庁)
6.体制・リソース
・過去検討したがコストの観点で外部委託は断念。事務受託法人という仕組みの活用は考えたことがなかった。事例があるのであれば実施団体に問い合わせを行い聞いてみたい。どこまでの業務範囲を委託できるのか知りたい(政令市)
7.システム導入に向けた制約
・東京都は 2023年頃(令和5年度)に独自で監査システムを構築し、その内容を研修で説明していた。その研修に参加していた他の自治体の職員からは、「東京都だからできる」「財源が違う」「規模が違う」という意見が多く出ていた(政令市)
※各課題に関するコメントは複数あり、一覧は調査資料に記載
調査資料(全文)では、論点ごとの課題とコメントの詳細を掲載しています。
調査資料は当社Webサイトよりご確認いただけます。
資料名:社会福祉施設等に対する指導監査業務の実態と課題に関する調査研究結果
URL:https://public.japan-systems.co.jp/resources/survey_welfare_audit_202605/?post_id=3175
■今後の改善の方向性についての考察(ジャパンシステム株式会社 JS総合研究所 指導監査調査室フェロー 樋口航大)
指導監査の実施率向上は重要な指標であり、一定の水準を確保することは不可欠です。一方で現場では、法令改正対応、情報の分散やアナログ運用、属人的な判断に依存する構造により、準備や事務処理に多くの時間を取られ、本来重視すべき「実態把握」や改善指導に十分なリソースを割けていない実態があります。その結果、実施率を追うほど一件あたりの密度が薄まり、指導監査の本来目的である適切な施設運営の確保や不正抑止に十分に向き合えないジレンマが生じています。今求められるのは、実施率と実効性の優先順位を見極め、両立できる業務構造への転換であると考えます。
■ジャパンシステムの事業について
ジャパンシステム株式会社は、自治体・民間企業向けにシステム開発・DX支援を提供するシステムインテグレーターです。約300団体の自治体との取引実績を持ち、行政内部業務から市民・事業者とのやりとりまで、業務効率化・デジタル化を幅広く支援しています。自治体業務への深い知見を背景に、国・省庁へのヒアリングや実地調査、業界団体を通じた政策提言も積極的に行っており、システム開発にとどまらず顧客課題の根本的な解決を推進しています。
■ジャパンシステム株式会社について(https://www.japan-systems.co.jp/)
本社:〒151-8404 東京都渋谷区代々木1-22-1 JRE代々木一丁目ビル
設立:2020年7月(創立 1969年6月)
代表者:代表執行役社長 松野 克哉
事業内容:コンサルティング/AI導入・アプリ開発/クラウド・BI/自社パッケージ・システム開発/インフラ構築、他
<サービスに関するお問い合わせ>
ジャパンシステム株式会社
お問い合わせフォーム:https://www.japan-systems.co.jp/inquiry/
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