先月発表された東京商工リサーチのデータによると、創業から100年を超える老舗企業の倒産件数が、直近1年間でなんと「120社」にのぼりました。
日本最古の中華料理店として知られた横浜中華街の「聘珍樓(へいちんろう)」が倒産するなど、老舗が次々と幕を下ろすという厳しい時代に突入しています。
そんな厳しい時代の中、老舗が生き残りをかけて挑んでいるのが「コラボグルメ」。
神戸と京都の老舗の取り組みを西中蓮アナウンサーが徹底取材しました。
■神戸の老舗3社がタッグ!
西中アナがやってきたのは、現在の場所に移転してから来年で100周年を迎える老舗百貨店「大丸神戸店」。
出迎えてくれたバイヤーの松岡秀和さんが、驚きの老舗コラボグルメを教えてくれました。
【松岡さん】「老舗百貨店と、老舗の牧場を持つお弁当屋さん、老舗ベーカリーショップがコラボした商品」
2つではなく、3つの老舗がコラボ! コラボグルメがある地下フロアに案内してもらうと、輝く神戸ビーフがずらりと並んでいます。
この店は、先月1日にオープンしたばかりの「肉幸房 樹」。兵庫県西脇市で80年以上牧場を営んできた神戸ビーフの老舗「川岸牧場」の直営店です。
■ 1日50個限定「972円の神戸ビーフサンド」
そんな「肉幸房 樹」のコラボグルメが、クロワッサンで神戸ビーフを豪快に挟んだローストビーフサンド。
神戸で120年以上愛されてきた老舗ベーカリー「DONQ」のクロワッサンに、川岸牧場が育てた神戸ビーフをサンド。
この贅沢なコラボを企画したのが大丸神戸店という、まさにオール老舗の「1日50個限定」商品です。
一体なぜ、このようなコラボを企画したのでしょうか?
【松岡さん】「最近県外からのお客様も多いので、ご提供しやすいお値段で手に取りやすいものを開発しました」
ちなみに、サンドイッチなのにクロワッサンにしたのは、ローストビーフとの相性を考えてとのことです。
神戸らしく、オシャレに手軽に食べられるローストビーフサンドのお味は…?
【西中蓮アナウンサー】「おいしい! しっとりとしたクロワッサンの中に、旨みがぎゅっと詰まったローストビーフがぎっしり。そして、後から玉ねぎの食感とマヨネーズのソースも合わさって、口の中でマリアージュが起こっています!」
■1個の利益はたった100円…それでも貫く老舗の覚悟
驚くべきは、その値段。神戸ビーフを使っているのに、なんと1個972円!1000円を切っています。
【西中蓮アナウンサー】「利益ってどれくらい?」
【川岸牧場・川岸正樹取締役】「利益はあまり出てないです。大体1個100円ぐらいかなと」
【西中蓮アナウンサー】「100円ってことは50個限定ですよね。全部売り切っても5000円ぐらいしか出ないってことですか?かなり厳しくないですか?」
【川岸牧場・川岸正樹取締役】「厳しいことは厳しいですけども、神戸ビーフは海外に輸出したりだとか、日本人にとって遠くに感じる牛肉になってきているので。まずは神戸で、神戸のお客様に神戸ビーフを召し上がっていただきたいなと思います」
1日の最大利益がわずか5000円。それでも「地元の人に届けたい」という老舗の矜持が、このコラボを支えていました。
■京都の老舗和菓子店「亀屋良長」10年の赤字からV字回復
続いて向かったのは、京都市下京区。1803年創業、江戸時代から220年以上続く老舗和菓子店「亀屋良長(かめやよしなが)」です。
看板商品は「スライスようかん」。食パンに乗せて焼くだけで「小倉バタートースト」が簡単に作れるという画期的な商品です。
【西中蓮アナウンサー】「甘くておいしいですね。あんこの甘み、そして後からバターの甘みがさらに合わさって、甘党にはたまらない商品ですね」
「スライスようかん」は2018年の発売からわずか3年で売り上げ1億円を突破。
これまでにトータル75万食、4億円を超える売り上げに。
ほとんど売れなくなっていたという「昔ながらのようかん」が、1000倍以上の売り上げを叩き出す驚くべき商品に化けたのです。
【八代目・吉村良和さん】「このスライスようかんは、妻が考えた商品なんですよ。和菓子職人では考えもつかない。斬新なアイデアは妻が出してきます」
大学で栄養学を専攻し、パリでフランス料理を学んだ女将の由依子さんが、その経験を和菓子に落とし込み、次々とコラボグルメを生み出しています。
■サンリオ、ショコラティエ、上賀茂神社…コラボは100種類以上!
店内にはサンリオとコラボした和三盆のお菓子、京都のショコラティエとコラボしたカカオの実を使った「焼きカカオ」、さらには400年以上前に織田信長も食べたという「なんばん餅」を上賀茂神社と再現したものや、パリの2ツ星レストランのシェフパティシエとのコラボによるチーズケーキのような和菓子まで。
一見、和菓子とは思えないコラボグルメが9種類も並んでいます。
【西中蓮アナウンサー】「今までどのくらいコラボがあったんですか?」
【女将・由依子さん】「だいたい100種類以上」
【西中蓮アナウンサー】「そんなに多くあるんですか! きっかけって何かあるんですか?」
【女将・由依子さん】「お声がけいただくことが多いですね。来るもの拒まずという形でやってます」
■10年の赤字を救った「コラボの力」
歴史ある老舗でも、コラボに挑戦し続ける理由がありました。
【八代目・吉村良和さん】「実は10年ぐらい赤字が続いてたんですけど、コラボによってV字回復しましたね」
【西中蓮アナウンサー】「老舗でも赤字になるんですか?」
【八代目・吉村良和さん】「どんどん競合も増えていきますんで。お客さんも新しい層を取り入れなくてはダメですし、和菓子の良さとか、和菓子の楽しさを知っていただきたいですね」
伝統を守りながらも、新しい風を取り入れる。老舗だからこそできるコラボが、厳しい時代を切り拓く一手になっていました。
(関西テレビ「newsランナー」2026年5月14日放送)