長く楽しめる枯れない花を紹介します。その名も「キノハナ」。山あいの長野県北相木村で生まれ人気が広がっています。どんな魅力があるのか、長野放送の汾陽アナウンサーが生産地を訪ねました。
■「かんなくず」で作った枯れない花
色とりどりに並ぶ花「キノハナ」。その名の通り、木で作られた枯れない造花です。
山あいにある北相木村の工房を訪ねました。
汾陽美樹アナウンサー:
「皆さん、こんにちは。今、何を作っているんですか?」
キノハナkinano・坂本皓太代表:
「かんなくずを使ってキノハナを作っています」
花びらを形作っていたのは、家具や建具の製作で木材を加工する際に出る「かんなくず」でした。
■9割が森林 資源の有効活用を
人口わずか約620人の北相木村は、面積の9割以上が森林です。
キノハナkinano・坂本皓太代表:
「(北相木村は)日本で一番いい品質のカラマツがあると言われている。すごく寒い地域なので、木目がすごく細かいんです。木の種類によって、色や木目の模様などが全て違うので、それを表現して作るのが楽しいところでもあります」
ピンクの花は「カラマツ」で作られました。
野球のバットに使う「タモ」で作られた花もあります。
2018年に発足した団体「キノハナkinano」。代表の坂本皓太さんは、もとは役場職員です。
森林資源の有効活用を探るなか、木工所で捨てられていた「かんなくず」に出会いました。
今、活動するのは40代〜80代の女性7人。
■初心者でも簡単、カーネーション
実はカーネーションは、初心者でも作りやすいそうです。
アカマツのかんなくずで体験させてもらいました。
中沢美子さん:
「ぐるぐる巻いてもらっていいですか」
汾陽アナウンサー:
「台紙に巻きつけていくんですね。優しい木の香りに包まれていて、ここにいるだけでリラックス効果が」
束ねたかんなくずを結束バンドで縛り、枝になる針金をさしてテープで巻くと―
汾陽アナウンサー:
「“がく”っぽくなってきましたね」
最後に、ハサミで形を整えます。
中沢美子さん:
「まわしながらカットしていく」
汾陽アナウンサー:
「丸く丸くと考えながら」
ドーム型にカット。
汾陽アナウンサー:
「お花の形はどうですか?」
中沢美子さん:
「大丈夫です。いいです」
汾陽アナウンサー:
「カーネーション完成しました!」
■繊細な作業で再び命を吹き込む
一方、バラの花はヒバを使って作ります。
中沢美子さん:
「(かんなくずを)畳んで、花びらの形に切る。これが一枚の花びらになります」
針金の先に丸く粘土をつけ、かんなくずを巻いた土台に1枚ずつつけます。
中沢美子さん:
「ずれるように、半分重ねながら。水をつけたり、霧吹きすると割れない」
薄い木はとても繊細。力を入れすぎると裂けてしまいます。
花びらを反らせたり、バランスを整えながら重ねていくと―
汾陽アナウンサー:
「おー、バラですね。木でできているはずなのに、すごく柔らかさがあるのが不思議ですね」
中沢美子さん:
「(時間がたてば)色も変わってくる。(作業は)3~4時間くらい。皆で和気あいあい、楽しくやっています。(身近に)木の魅力を伝えていけたら」
捨てられるはずだったカラマツやヒノキなど約10種類のかんなくず。
バラやヒマワリ、カーネーションなど7種類の花として再び命を吹き込まれました。
■ブルーベリーで染めて優しい色に
色をつけるのは草木染め。地元の農家から譲り受けたブルーベリーを使って、深みのある優しい赤紫に仕上がりました。
汾陽アナウンサー:
「本物のお花のように見えますね」
■「木と気づく客は少ない」
5月10日の「母の日」を前に、長野駅ビルにある花店では―
汾陽アナウンサー:
「赤や黄色、ピンクなど色鮮やかな花が並んでいます。そして、ありました。キノハナも並んでいますよ」
客:
「削りたての木のような香りがしますね。パッと見、本物と遜色ないくらいきれい」
ヌボー・ラルブル 柳沢友菜さん:
「これが木と気づくお客さんも少なくて、ずっと形に残るギフトとして楽しんでもらえたりするので、ずっと楽しめるものがいいという方に手に取ってもらっています」
■売上20倍も、担い手の育成が課題
卒業シーズンの3月から、5月の「母の日」までは最も注文が多い時期。
2025年は全国に700個を販売し、この8年で売り上げは20倍以上に伸びています。
人気が広がる一方、最近はメンバーの高齢化で新たな担い手作りが課題となっています。
2025年からは「マイスター制度」による技術指導もスタート。
これまでに長野県内外で15人のマイスターが生まれ、活動を始めています。
■森の恵みを「日々の生活で感じて」
2025年は学校などでワークショップも30回行いました。
「木育」としても関心が高まっています。
キノハナKinano・坂本皓太代表:
「木ってこんな香りがするんだ、こういう触り心地なんだ、子どもたちが興味を持つきっかけになっている。木があることによって恩恵を受けていることを(キノハナに触れ)日々の生活で感じてもらえたら」
感謝の思いを長く残せる枯れないキノハナ。
温もりと森の恵みがたっぷり詰まった贈り物です。