まだ夜明け前の新潟市。午前4時41分、防犯カメラが捉えたマイクロバスの姿は、センターラインを大きくまたいで反対車線にはみ出しながら走行していました。

この映像が記録されたのは、5月6日。

福島県の磐越道で北越高校ソフトテニス部の生徒を乗せたマイクロバスがガードレールに突っ込み、高校生1人が死亡、20人が重軽傷を負う事故が起きた当日のことです。

容疑者が運転していたとみられるマイクロバスは、出発の約50分前に危うい運転をしていたことが分かります。

関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」には交通問題評論家の加茂隆康氏が出演。

「居眠り運転か、もしくはスピード違反かと思う」と事故について解説しました。

■「居眠りかスピード違反か」専門家が映像を分析

交通問題評論家の加茂隆康氏は、防犯カメラの映像についてこう語りました。

【加茂隆康氏】「これは居眠り運転か、もしくはスピード違反かなと思いました。実際、容疑者の供述によると『スピードを出しすぎていた』とおっしゃっているようですので、スピード違反というのが原因なんじゃなかろうかと推測しています」

過失運転致死傷の疑いで逮捕された若山哲夫容疑者(68)は、調べに対して「体調に不安はなかった」と話していたことも新たに判明しています。

呼気検査でアルコールは検出されていなかったということです。

■「足腰が悪く杖をついて歩いていた」周囲が語る異変

しかし、若山容疑者の周辺を取材すると、異なる実像が浮かび上がります。

容疑者がよく通っていたという飲食店の店主は、「3月ごろから傘で杖をつきながら歩いていた」と証言しました。

足腰の悪化は約2カ月前から確認されており、同じ時期に複数回の事故も起こしていたといいます。

保険会社からは「これ以上は契約を更新できない」と通告されていたということです。

さらに、事故のわずか3日前には飲食店の店主に「68歳になったから免許を返納する」と話していたとされます。

若山容疑者は約1週間で3回の事故を起こしていたということです。

■「2種免許なし」で運転 保険もおりないリスク

加茂氏が特に重大な問題として指摘するのが、若山容疑者が有償で客を運ぶための「第二種運転免許」を持っていなかった点です。

【加茂隆康氏】「第二種免許を持たずにマイクロバスを運転していたとなると、道路交通法違反、つまり『無免許』の罪にも問われる可能性がある。そしてもう1つ重大なのは、この車につけられていた任意保険。無免許運転とみなされて支給されないというリスクがある」

ただし、自賠責保険はおりると加茂さんは補足しました。

補償の観点では、ドライバー本人・レンタカー会社・バス会社・学校の4者が連帯して、生徒や保護者に補償しなければならない仕組みになるということです。

■現場に残された”手当”の封筒 浮かび上がる”白バス行為”

10日に行われた北越高校の2回目の会見では、新たな事実が明らかになりました。

事故現場に若山容疑者に渡したとみられる封筒が落ちており、表には「手当・ガソリン」などと記載され、現金3万3000円が入っていたということです。

さらに、学校がこれまでの請求書を精査したところ、昨年1年間で12回の遠征依頼のうち、5回は「貸切バス」と記載されていたのに対し、3回は「レンタカー代・人件費」、4回は「レンタカー代」と記載されていたことが判明しました。

これについて学校側は「項目を確認せずに、支払い担当者に渡してしまっていた」と説明しています。

■“白バス”疑惑にバス会社「『お手伝いをした』認識」

”白バス行為”とは何か。

緑ナンバーは有償で人や荷物を運ぶ際に必要なもので、白ナンバーの車が金銭のやり取りを伴って旅客輸送を行った場合、“道路運送法違反”となります。

バス会社の社長は「レンタカーの契約・ドライバーの紹介について、会社として手数料を受け取っておらず、協力依頼があったので、『お手伝いをした』という認識、ボランティアだった」と主張。

一方、学校側は「レンタカーの手配も運転手の紹介も依頼したことはない。蒲原鉄道に運行を依頼し、同社のバス・運転手であるという認識だった」と真っ向から否定しています。

■「違法性の認識が薄かったのでは」

加茂氏はこの対立する主張についてこう見ています。

【加茂隆康氏】「バス会社の方は、あくまでもサービスでお手伝いをしただけだという会見をしておられました。ただ、たびたびレンタカーを貸して代金を請求していたということになりますと、今回も”白バス行為”をずっとやっていた、その1つの一環ではないかと。白バス行為に対する違法性の認識が薄かったのではないか」

3万3000円という金額についても、「学校側からバス会社に払う報酬という観点から見ると安い。バス会社が運転手に払う日当的な意味として、封筒に入れたと推測しますが、有償行為であることは間違いなく、”白バス行為”を裏付ける証拠には十分なり得る」と指摘しました。

■学校の”落ち度”と法的責任の行方

請求書の記載内容を確認していなかった学校側の対応について、加茂氏は「重大な落ち度がある」としながらも、刑事責任を問うことの難しさも指摘します。

【加茂隆康氏】「”白バス行為”という道路運送法の規定は故意犯で、過失によって白バス行為をやってしまったということは、犯罪としては成立しない。落ち度は落ち度なので民事上の賠償責任は生じると思いますが、刑事責任を学校側に問うというのは、今の状況では難しい」

警察はバス会社からパソコンのデータや書類などを押収し、事故の実態解明を進めている。

(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2026年5月11日放送)

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