リゾート地としても知られる、アフリカ沖に位置するスペイン領のカナリア諸島・テネリフェ島が一隻のクルーズ船を巡り、揺れています。

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日本人1人を含む乗客乗員147人を乗せたクルーズ船「MVホンディウス号」船内で「ハンタウイルス」の集団感染が疑われ、これまでに6人の感染が確認され3人が死亡しています。

そうした中、日本時間10日、クルーズ船はテネリフェ島へ到着。

ヒト-ヒト感染がまれに起こることがあることから、乗客を移送させるための“作戦”は細心の注意を払って行われました。

今後、再び感染が広がることはあるのでしょうか?新型コロナウイルスの時のようなパンデミックへの警戒はするべきなのでしょうか?

『ノンストップ!』では、感染症の専門家・東邦大学の小林寅喆教授をゲストにお迎えし、今、世界中が揺れている「ハンタウイルスへの気になる疑問」を、徹底解説していただきました。

「ハンタウイルス」とは?感染力や変異は?

倉田大誠フジテレビアナウンサー:
テーマは大きく分けて3つ。

疑問①:ハンタウイルスとは一体どんなものなのか?
疑問②:水際対策はどうなっているのか?
疑問③:特効薬、ワクチンはあるのか?

倉田アナ:
まずは1つ目、 ハンタウイルスとは何なのか見ていきたいと思います 。

・潜伏期間…1から6週間(無症状者からの感染事例なし)
・症状…初期症状は、発熱、咳、嘔吐、下痢など
・感染経路…一般的に言われているのは、ネズミなどの排せつ物などに触れて、それが口の中に入ってしまうことで人間に感染をするということ。
・種類…2種類あり、発見されているのは「北南米型」(アンデス株含む)これの最大致死率が50%。この中のアンデス株は非常にまれに「ヒト-ヒト感染」を起こすといわれている。

東邦大学 小林寅喆教授:
ヒト-ヒト感染と言ってもですね、非常にまれなんですね。どういう形の感染なのかというと、かなりの濃厚接触があったケース。家族間であるとか粘膜と粘膜が触れ合っている、もしくは粘液が移動している。食事も一緒に近くで長く取って、そういう間に体液が移動するようなケースがあった濃厚接触の場合に、ヒト-ヒト感染が成立すると言われているウイルスです。

MC設楽統:
変異する可能性は、含んでいるんですか?

小林寅喆教授:
我々が考える変異というのは新型コロナウイルスですが、あれを振り返ってみますと、新型コロナウイルスはヒト-ヒト感染を繰り返していって人に馴染んで変異を繰り返してきたわけです。このウイルスはヒト-ヒト感染が起こりにくいので、そういう意味では変異は起こりにくいと考えてよろしいと思います。

ワクチンは「ない」しかしそれには理由が

ヒト-ヒト感染は起こりにくいというハンタウイルス。しかし全く感染しないというわけではありません。

感染を広げないための「水際対策」はどうなっているのでしょうか。

倉田アナ:
この対策が世界でいろいろなんですね。

WHOなどは最大42日間の隔離監視(を推奨)。
スペインではPCR検査などを行った後、最低7日間非常に厳格な隔離をした上に再検査。

また日本人の乗客1人がいますが、この方はイギリスのマンチェスターに到着し、保健医療機関で最大45日の経過観察などを受ける予定ということになったそうです。

小林寅喆教授:
基本的には隔離というよりも経過観察をしていくというような措置を取られると思います。そこは途中で何らかの症状が出てこないか、症状が出た時には厳密な隔離をかなりしていかなきゃいけない。人道的な問題もあるので、国の状況に合わせて対応していくことになります。

では、感染を未然に防ぐワクチンや特効薬についてはどうなっているのでしょうか。

倉田アナ:
(ワクチンや特効薬は)現状は、ないんですね。

小林寅喆教授:
特効薬やワクチンはありません。理由はですね、世界には多くの感染症がありまして、実際にこのハンタウイルス感染症というのは極めてレアな感染症ですので。治療薬とかワクチンの開発順位というのはかなり低い位置にあるので、むしろ今流行しているような感染症に対応するものを優先的に開発をしていくという態勢で、ここについてはまだできていないということになります。

MC設楽統:
そんなに危機的な状況になるウイルスじゃないという判断のもとということですね。

坂下千里子:
マスクはやっぱりポイントですか?

小林寅喆教授:
マスクはですね、基本的には症状が出た人が外へ出さないためにするものということをやっぱり理解していただいて。私たちはむしろ手とかですね、そういうところから体内に入ってくることを注意しなきゃいけない。ですのでやはり基本的には手洗いと手の消毒、こういうことが非常に重要になってくるということです。

専門家が指摘するポイント「海外からの旅行者」

倉田アナ:
小林教授が懸念しているポイントがあります。

それが「海外からの旅行者や帰国者と濃厚接触して感染する場合もある」ということ。

小林寅喆教授:
ご存知の通り今の日本は、インバウンドで海外の方がすごく多くいらっしゃってますよね。そういう方たちがウイルスを持ち込む可能性はゼロではないと。潜伏期間の間にウイルスを日本に持ち込む可能性はあると。ですのでそういう場合に日本に来て症状が出てしまって、濃厚接触が起こるようなケースも考えられます。

あとは私たちも今色々なところに旅行に行って、例えばウイルスがいるようなところ、非常に衛生状態が悪いとかネズミがいるような場所とか。そういうところに訪れて日本に帰ってきて発症したと。そうすると家族間とか非常に近いところで濃厚接触によってヒト-ヒト感染が起こる可能性はあるということは、きちんと考えておかなければならない点だということです。

MC設楽統:
潜伏期間の間はそんなにうつらない?

小林寅喆教授:
コロナウイルスと違って潜伏期間でどんどん広がったということは確認されておりませんので、何らかの症状が出始めた時に注意がいると。お医者さんにかかる時も、自分はどこに旅行に行っていたのか、そういうこともきちんと伝えることが重要になります。新型コロナとは大きく違うということで考えておいたほうがいいと思います。

倉田アナ:
とにかく今重要なことは、このヒト-ヒト感染がまれであることから、新型コロナウイルスの時のような世界的な感染拡大の可能性は低いということです。

通常の感染対策をしっかりと行いながら冷静な対応をお願いしたいと思います。
(「ノンストップ!」5月11日放送より)