一枚の写真から街を再発見する「兵動大樹の今昔さんぽ」。
今回の舞台は、大阪府箕面市・阪急牧落駅前です。
【兵動大樹さん】「初めて寄せていただきましたね。静かな住宅街なんですかね」
ワクワクしながら初めての街に降り立った兵動さん。
今回手渡されたのは、昭和10年代に大阪府箕面市内で撮影された一枚の古い写真です。
写真には出兵する人を地元住民が送り出すようなワンシーンが写っており、「旅館」の文字や「菊正宗」の看板などが確認できます。
【兵動大樹さん】「この界隈に旅館あるのかな?」
写真の風景は見つかるのでしょうか?
■高級感のある落ち着いた雰囲気が魅力“牧落”
さっそく聞き込み開始!
駅前で出会った薬局の女性に街の雰囲気を尋ねると、駅の真ん中の通りは「弥生通り」といい、かつては大きな屋敷がずらりと並ぶ高級住宅街だったんだとか。
牧落駅の東側に位置する「百楽荘」には、広い敷地の住宅が立ち並んでいたそうです。「荘」がつく地名がまさにお金持ちの街の雰囲気を醸し出しています。
屋敷が1軒潰れた跡地に、現在は住宅が3、4軒新たに建てられたそうで、屋敷の大きさがとてつもないことが想像できます。
■ 週2日のみ営業 日仏夫婦がつくるサブレショコラに感動!
弥生通りを歩いていると、「フランスからやってきた日仏夫婦のお菓子屋さん」という看板を発見。
ご主人がフランス人で、奥様が日本人というパティスリーでした。
2023年にオープンし、現在は金曜・土曜の週2日だけの営業。
オープンから3時間ほどで完売してしまうという人気ぶりです。
ちょうどこの日はお休みで仕込みの真っ最中でしたが、焼きたてのサブレショコラを特別にいただけることに。チョコレートがふんだんに使われたクッキーを一口食べた兵動さん、思わず唸ります。
【兵動大樹さん】「めっちゃおいしいです。チョコレートが『ふんだんに』というのがよく分かります」
奥様によると、シェフであるご主人は惜しみなくチョコレートを配合するそうで、経営の数字を管理する側としてはちょっと複雑な心境なのだとか…。
■個性派メリーさんの絶品あいがけカレー
写真の手がかりを探して歩き続けていると、黄色いのぼりに赤いメガネの男性のイラストが出ているお店を発見。
築60年ほどの平屋の住宅を改装して2020年にオープンした「Merryさんのカレー。」です。
【兵動大樹さん】「完璧に眼鏡赤いと思ったけど赤じゃないんですね」
【店主・大高紳吾さん】「そうなんです…。一時、赤いのやってたんですけれども」
キーマカレーとイカスミカレーの「あいがけ」をいただきます。
【兵動大樹さん】「うわ、めちゃくちゃおいしいぞ!このカレー。はじめ食べたとき甘いねんけど、だんだん奥のほうで辛みが上がってくる」
イカスミカレーにはカスメリティというメープルシロップのような香りとほのかな苦みが特徴のハーブがトッピングされており、食べた瞬間に広がる香りがまたクセになるおいしさ。
大満足の兵動さんですが、写真の決定的な手掛かりは掴めません…。
■直木賞作家が守る”街の本屋さん”と喫茶店
箕面市役所周辺で聞き込みを続けていると、写真の中に鳥居があることが判明!
「牧落神社」「西江寺」「箕面の滝道」などと様々の情報が集まりました。
滝道方面へ向かう途中、兵動さんはある書店に立ち寄りました。
なんとこの書店、直木賞作家・今村翔吾さんが「街の本屋を残したい」という思いで事業継承したお店なのです。
『イクサガミ』や『塞王の楯』の原作者として知られる今村さんは、本を媒介に人々が集まる場所を目指し、ことし3月には書店併設の喫茶店をオープンさせました。
電子書籍の時代に、街の本屋を守ろうとする作家の心意気に兵動さんも感心です。
■滝道の古本屋で決定的な証言をゲット!
箕面大滝に至るおよそ3キロの遊歩道「滝道」に着きました。
渓流沿いには古い木造建築がいくつも残る風情ある道です。
ここで兵動さんは、元々箕面駅近くで営業していたものの、縁があって滝道に移転したという古本屋さんに出会います。
観光客が多い通りのため、海外からの訪問者も足を止めて本を見ていくのだそう。
この古本屋の店主に写真を見せたところ、ついに決定的な証言が飛び出します。
【古本屋の店主】「橋本亭さん、そこの建物ですね。何年か前の台風のときに崖崩れで潰れたんで、そのときの資材を残して新しく建て直した感じになりますね」
【兵動大樹さん】「そう言われたら橋本亭って見えるわ!」
すぐそばの建物で間違いないとのことで、いよいよ現地へ向かいます!
■明治43年創建の旅館「橋本亭」復活の物語
滝道の一ノ橋のたもとにあるのが、明治43年に建てられた旅館「橋本亭」です。
昭和の終わり頃に閉館となったものの、木造3階建ての建物を残そうという機運が高まり、箕面市の補助金なども活用してカフェや雑貨店がオープン。
ところが平成28年に発生した崖崩れによって建物が大きく損傷。
約3年をかけ、できるだけオリジナルの部材を使用しながら再生し、令和元年に復活を果たしました。現在はフレンチシェフが営む「フランエレガン YUZUYA」がテナントとして入ります。
写真に写っていた鳥居は、隣にある西江寺への参道のもの。
かつて神仏習合の時代には神社と一体だったことの名残と考えられます。
■エレガントな「ゆずスカッシュ」
歩いて喉が渇いた兵動さん。箕面の名産「実生ゆず」を使ったゆずスカッシュをいただくと、その味わいに感動します。
【兵動大樹さん】「ゆずの味の広がり方が品ある。『ふわーん』ってくるようなエレガントっていうかね」
【フランエレガンオーナーシェフ浮田さん】「うち(店名が)フランエレガンなんで」
【兵動大樹さん】「かかってもうた。さすがやで」
崩壊と再生を経て、今なお箕面の滝道で人々を迎え続けるその姿は、まさに街の歴史そのものでした。
(関西テレビ「newsランナー 兵動大樹の今昔さんぽ」2026年5月1日放送)