パンダ返還から約1年。かつて「パンダ特需」に沸き、圧倒的な主役を誇った和歌山県白浜町。

“絶対的アイドル”を失い、客足の減少が懸念されていましたが、実は意外な好調ぶりをみせています。

アドベンチャーワールドの新たな取り組みから、町長が明かす“シン白浜町”構想まで、パンダがいなくても輝きを放つ白浜町の今に迫ります。

■パンダいなくても「意外と来ていただいているな」

アドベンチャーワールドの絶対的アイドルだったパンダが中国へ旅立ってからまもなく1年。町全体への影響はどうだったのでしょうか。街に出て地元の店や宿に話を聞いてみると、予想外の明るい声が返ってきました。

地元の店の人は「昔と変わらないというか、同じぐらいな感じになってきたような。根強い人気があったのかなっていう気はしますけどね」と語ります。

また、宿泊施設の人も「パンダいなくなったことを忘れているぐらい、もう割と戻ってきているのかなとは思っているんですけど、意外と来ていただいているなっていう印象はあります」と、現在の客足に手応えを感じている様子です。

■白浜町長 パンダ返還「ほとんど影響がない」

白浜町の調査によると、パンダ返還直後の去年7月こそ観光客数が減ったものの、8月には前年を超える客足となり、今年に入ってからも順調に推移しているそうです。

白浜町の大江康弘町長も、この好調ぶりについて「端的に言えば、ほとんど影響がないと。数字は嘘はつかないんで、やっぱこの数字がパンダが帰ってからの1つの評価かなと。パンダがなくても大丈夫です」と力強く語りました。

■アドベンチャーワールドの「原点回帰」120種1600頭の動物たちに光を

パンダという大きな看板を失ったアドベンチャーワールドですが、園内には変わらず多くの車が並び、奮闘している様子がうかがえます。現地を取材すると、彼らが掲げるあるキーワードが見えてきました。

アドベンチャーワールドの藤井美衣さんは「パンダが旅立ったっていうところで、原点に立ち返るきっかけとなりまして」と語ります。この「原点回帰」とは一体どのようなものなのでしょうか。

具体的な変更点のひとつが、SNSでの発信方法です。

これまではパンダの投稿ばかりになりがちでしたが、現在、園のインスタグラムには生まれたてのさまざまな赤ちゃんの動画がアップされています。園内に暮らす多種多様な動物がいることを、もっと多くの人に知ってもらうための取り組みです。

■人気の「ケニア号」もリニューアル

さらに、列車型の車両に乗って園内を見学する人気の「ケニア号」もリニューアルされました。これまでは自動音声での案内のみでしたが、この春からはガイドが同乗するようになりました。

取材した日はあいにくの雨でしたが、ガイドは「雨宿りしている3頭は雨の日ならではです。私たちもシャワー浴びたら髪の毛ぺたんとなる。全身に毛が生えてる動物たちは全身ぺちゃんこになっちゃう。弱々しく見える。なのでネコ科は基本的に水が嫌い」と、目の前の動物の「いまの様子」を楽しく実況してくれます。

来園者も「ホワイトタイガーとかいろんな動物がいて、すごく楽しかった」「これはお金出してでも乗る価値あると思います」と大絶賛でした。

アドベンチャーワールドの藤井さんは「改めて、パークで暮らしてる120種、1600頭の動物に光を当てて、地球で1番癒されるパークを目指していきたい」と、今後の展望を語ってくれました。

■町長が明かす通年型の新たな構想!「原点回帰計画」秘策は温泉の大活用

「パンダがなくても大丈夫」と語る大江町長ですが、その自信の裏には白浜町「原点回帰計画」という大きな構想がありました。町長は「これができれば白浜は通年型の観光街になる」と意気込みます。

その「原点回帰」の第一歩として案内されたのが、白浜町が所有する「まぶ湯源泉」です。ここはオープンしたばかりの立ち寄りスポットで、温泉卵を作ったり、温泉の蒸気を浴びたりすることができます。

新たな温泉スポットの「顔湯」を紹介してくれた大江町長は「湯気がずーっと出てくるから、女性の方には化粧落ちるって怒られるかも分からんですけどね」と笑いを交えながら話します。

実際に顔を近づけた記者も「めっちゃ硫黄の匂いがします」と驚くほど、温泉の恵みを肌で感じられる場所になっています。

■草津温泉の名所「湯畑」を白浜にも

さらに町長は、古来から受け継がれてきた温泉を大活用する次なる構想をメディアに初めて明かしました。

【大江康弘町長】「下から源泉を全部出して、温泉の蒸気で上に匂いがしてきたりとか。『ここは温泉だな』って分かりやすい。『湯畑』といって、温泉の情緒を高めてくれる施設」

新たに作ろうとしている「湯畑」のモデルとなっているのは、群馬県にある草津温泉です。実は白浜町の幹部職員を総動員して視察を行ったという力の入れようです。

先ほどの「顔湯」や「湯畑」、さらには公衆浴場も作り直し、浴衣で歩いて街を巡れるような風情ある「温泉街」を目指しています。

■超高級宿泊施設を誘致 自立した温泉観光の街へ

温泉街の再整備に加えて、もう一つの大きな秘策が「超高級宿泊施設の誘致」です。大江町長が最後に案内してくれたのは、景勝地「三段壁」の隣にある町の土地でした。

こちらもメディア初公開の情報として、この土地を貸し出し、超富裕層向けの宿泊施設の開業が内定していることが明かされました。

大江町長は「一棟貸しのようなコテージみたいな形になるのかという。まあ今のところ聞いてんのは1泊1人20万ぐらいっていう値段は聞いてます」と語ります。

この場所はこれまでホテルが建設できない場所でしたが、町は条例を変更して誘致に踏み切りました。今後もこの一帯に富裕層向けのホテルを呼び込む計画を進めています。

大江町長は今後の展望について、「ほんとに裾野の広い観光地にしていきたい。何度も言いますけども、パンダがなくてもしっかり自立した温泉観光街、白浜として再スタートを切ることができたので、そこをしっかりと進化させていきたい」と力強く語りました。

誰もがときめく通年型の観光地へと進化していくのか。白浜町の取り組みに注目です。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月6日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。