大阪・道頓堀で100年以上にわたり映画や芸能で多くの人を楽しませてきた大阪松竹座。

設備の老朽化と入れ替えコストの高さを理由に、2026年5月26日までの公演を最後に閉館します。

映画「国宝」で歌舞伎の指導も行い、自身も長年舞台に立ち続けてきた歌舞伎役者・四代目中村鴈治郎さんが閉館についての思いを語りました。


■中村鴈治郎さん「大阪のお客様は温かいですよ。歌舞伎座と松竹座で受け方が違う」

四代目中村鴈治郎。「上方歌舞伎」を代表する役者です。映画「国宝」に出演し、歌舞伎の指導役も務めました。

(Q.鴈治郎さんにとって松竹座とはどんな場所?)
【四代目 中村鴈治郎さん】「鴈治郎襲名って、ここから始めたわけですからね。やっぱり東京の歌舞伎座じゃなくて、大阪の松竹座から襲名は始めたいという想いがあって、それは松竹座ありきですからね」

迫力や力強いセリフ回しが特徴の「江戸歌舞伎」とは異なり、人々の義理や人情・恋模様など、心の動きをリアルに描く「上方歌舞伎」。

鴈治郎は、人間のおかしみと切なさを表現することを得意としています。

【四代目 中村鴈治郎さん】「大阪のお客様は温かいですよ。例えば同じ演目をやっても、東京の歌舞伎座でやるときと、大阪の松竹座でやるときと受け方が全然違ったりする。

もし上方の匂いですとか、そういう風な独特の匂いのある芝居だとすると、上方歌舞伎にとっては大阪松竹座ってすごく意味のある劇場だと思いますけどね。

松竹座がなくなるってことは、=芝居小屋がなくなるということ。舞台芝居をするところが一つもなくなるっていうこと。

これを改めて感じましたね。そうなるとは思わなかったというのもあったし。あー、居場所がないんや、と」

■「関西ジュニアの聖地」としても 幅広い世代に愛された劇場に

江戸時代から芝居街として栄えてきた道頓堀。かつては5つの大きな劇場があり、街は歌舞伎や浄瑠璃を見に来る人で溢れていました。

1923年に映画館として開場した大阪松竹座は、時代の流れで次々と劇場が姿を消す中、1997年に歌舞伎などの演劇を行える劇場の形へと建て替えられました。

建て替えからおよそ30年が経ち、「関西ジュニア」の聖地などとして知られ、幅広い年代の人に愛される劇場になりました。

しかし、2025年8月、劇場を運営する松竹は設備の老朽化と入れ替えのコストが高いことなどを理由に2026年5月の公演を最後に閉館することを発表し、建物の解体も決まりました。

■片岡仁左衛門さん「必ず道頓堀に小屋が立つと思います」名残惜しく…

2026年3月、閉館前最後となるお練りが道頓堀で行われ、多くのファンが駆けつけました。

大きな公演の前に行われてきた「お練り」もこれが最後。道頓堀を歌舞伎のファンが埋め尽くしました。

【人間国宝・十五代目 片岡仁左衛門さん】「老朽化といいますか、いろんなことがありまして、一旦閉めます。

『御名残公演』というか、『お休み公演』でございます。必ず道頓堀に小屋が立つと思います。

高い入場料ですけども、その分一生懸命役者頑張りますので、ぜひおみ足お運びくださいませ。よろしくお願いします」

■芝居街の景色はどこへ… 道頓堀は「今やもう外国人の街に」

松竹座が守ってきた芝居街の灯。その存在の大きさを誰よりも感じていたのは地元の老舗店でした。

【道頓堀 今井・今井徹社長】「一つの時代が終わんねんなって、感じですかね」
(Q.また劇場が戻ってきて欲しい?)
【道頓堀 今井・今井徹社長】「もちろん、戻ってきて欲しいです。もちろん」

200年近くに渡り、代々道頓堀で商売をしてきた、現在はうどん店の「道頓堀 今井」の社長・今井さん。名だたるスターが、店を訪れることが当たり前の光景でした。

【道頓堀 今井・今井徹社長】「当時の歌舞伎役者なんてのはインフルエンサーやから、舞台でアドリブで『なんか腹減ってきたな』、『今井のうどん食べたいな』とか言わはるんですよ。(その後)お客さんが結構来はりますもん。

落語聞きに来たり、漫才観に来たり、歌舞伎や浄瑠璃や、そういうのを楽しみに来る街やったんが、今やもう外国人の街になってるという劇的な変わり方をしましたね。

率直に言うと“見捨てられた感”はありますね。そら松竹さんも松竹さんなりの苦渋の決断やと思いますけど。

なんかこう、芝居街や思て、ずっとやってきた者としてはもうちょっと頑張ってよって思うけど…間違いなく道頓堀は松竹の街ですから」

■「さよなら、大阪松竹座」中村鴈治郎さんの思い

「御名残公演」の舞台に立つ四代目中村鴈治郎は、大阪松竹座について、感慨深げに語りました。

【四代目 中村鴈治郎さん】「もうここの花道から出ることはないんやなと思ったりとか、色んなことをもっと思うのかも知れないね。いきなり寂しくなるんでしょうね」

役者、観客、そして街が長い年月をかけて紡いできた文化。

道頓堀からまた1つ劇場が姿を消します。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月5日放送)

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