新型コロナの感染拡大期に、大阪の観光業を支援した補助金事業「大阪いらっしゃいキャンペーン」。

客が泊まっていないにも関わらず、のべおよそ150人が宿泊したとする虚偽の申請書を行政に提出し、補助金およそ250万円をだまし取った疑いで、ホテルの元経営者の男が逮捕された。

関西テレビは2022年に元経営者の男に接触。「違法性のあるものだとか、そんなこと何も思っていません。何を言おうとね、真実は一つだからね」と疑惑を否認。

横行する補助金不正はなぜ、なくならないのか。補助金不正の闇に迫る。

■かつては地域の“シンボル”のような存在だったホテル

先月、取材班が向かったのは大阪府堺市。

記者リポート:このあたりにホテルがあったということですが、すでに取り壊されているようです。

ここにあったのは「ホテルリバティプラザ」。かつては地域の“シンボル”のような存在だったという。

地元の人:夏場なんかはお盆に盆踊りの大会をされてたり、結構地域の方が集まるホテルだった記憶はあります。

しかし、この場所が不正の舞台になっていた疑いが…。

詐欺の疑いで、7日、「ホテルリバティプラザ」の元経営者の男(70)ら2人が逮捕されたのだ。

「ホテルリバティプラザ」(現在は閉館)
「ホテルリバティプラザ」(現在は閉館)
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■「大阪いらっしゃいキャンペーン」を悪用か

元経営者の男ら悪用したとみられるのが、新型コロナウイルスの感染拡大時に、大阪府と大阪市が観光促進のため行っていた「大阪いらっしゃいキャンペーン」。

キャンペーンは、利用客がホテルに支払う宿泊代を、行政側が半額負担するものだった。

しかし、2021年、元経営者の男らは客が泊まっていないにも関わらず、のべおよそ150人が宿泊したとする虚偽の申請書を行政に提出。補助金およそ250万円をだまし取った疑いがもたれている。

大阪いらっしゃいキャンペーンとは
大阪いらっしゃいキャンペーンとは

■取材に対し「虚偽の名簿なんてない」と否定

関西テレビは、2022年にこの不正疑惑を取材。

元経営者の男:違法性があるなんて何も思っていません。

(Q.虚偽の宿泊名簿をホテルでつくった事実はない?)

元経営者の男:そんなものはない!虚偽の名簿なんて。

(Q.そのような(不正)受給はないと言い切れるか?)
元経営者の男:ありませんね、ほぼ。ほぼない、そんなものは。

不正への関与を否定し、偽造もしていないと主張。

しかし、おととし大阪府は、このホテルが、およそ5000万円を不正受給したと認定したのだ。

ホテルリバティプラザ
ホテルリバティプラザ

■巨額の不正受給の手口は…

巨額の不正受給の手口はどのようなものだったのか。取材班は、ホテルの元従業員を独自取材した。

ホテルの元アルバイト:レジカード(宿泊者が記入する用紙)は従業員で分担してボールペンを変えたり字体を変えたり、バレないようにということはしていました。

『繰り返し繰り返し、同じ人が泊まるように』と支配人の指示があったので、先月泊まった人の字体をマネしたり。

元経営者の男の指示で書類を偽造していたとの証言が。

これは関西テレビが入手したホテル側が作ったという宿泊者名簿。

当時、宿泊者はほとんどいなかったといいますが、名簿上はほぼ満室に。

ホテル側が作ったという宿泊者名簿
ホテル側が作ったという宿泊者名簿

■住み込みで働くスタッフは「宿泊客として申請に使われた」と証言

この書類を補助を受けるために大阪府に提出していたとみられていて、別のスタッフを取材すると…

元スタッフ:提出しているのはダミーの方です。
(Q.名簿の名前の人はお金を払って宿泊していた?)
元スタッフ:そんなことないです。

付箋には『実際の宿泊者名簿をチェックするように』という注意書きが。この名簿は実際の宿泊者を記したものではなく、補助金目当ての架空のものだったのか。

さらに、このスタッフは、住み込みで働いていましたが、「宿泊客として申請に使われた」と証言。

元スタッフ:これは『みんながやっていることや』と。

(Q.実際はお金を払って泊まっていないのに容疑者はいいと言ってた?)
元スタッフ:『これでいけるんや』と言ってた。『泊まっているし、ええんや』と。

付箋には『実際の宿泊者名簿をチェックするように』という注意書きが
付箋には『実際の宿泊者名簿をチェックするように』という注意書きが

■「このシステムは破綻している」制度自体に問題があると容疑者

こうした不可解な申請について、元経営者の男は「規約で明確に禁止はされていなかった」と主張した。

元経営者の男:僕はこういう『いらっしゃいキャンペーン』のシステムは破綻してると思うんですよ。都合の悪い方々がいるから、こういうシステムを作るんと違いますか。

■制度に欠陥はなかったのか

制度に欠陥はなかったのか。当時、自治体の担当者は…

当時の大阪府の担当者:我々としては実績報告として必要な書類を提出いただいて、それを厳正に審査の上、補助金を支給していると考えている。公金を扱った事業なので適正に実施していくところとの両立を図りながら実施している。

それでも起きてしまった不正受給。およそ5000万円は、未だに返還されていない状況だ。

補助金をめぐる問題は各地で相次いでいて、先月、大阪市は、およそ80億円の給付金を不正受給したとして、福祉関連事業会の代表らを詐欺の疑いで刑事告訴した。

大阪市の担当者:制度の穴を突かれたところによるものが大きい。

■公金を狙った不正受給はなぜ後を絶たないのか

公金を狙った不正受給はなぜ後を絶たないのか。地方行政に詳しい専門家は…

近畿大学経済学部 村中洋介准教授:(補助金は)簡易に申請ができて、簡易に事業者が、制度ができるようにしないと、チェックをどんどん厳しくしていくと補助金の支給までに時間がかかってしまう。

書類審査だけでみたいなことになると、不正受給する人たちが出てくることになってくるので、そこをどう防ぐかは、制度設計とは別のところ(チェック体制)も必要。

補助金の不正受給をなぜ後をルールづくりについて、8日吉村知事は…

吉村知事:隠されたり、改ざん・犯罪行為をされるとなると、どうしても難しいところはありますが、絶対にあってはならないことですし、犯罪行為は当然許されませんので厳格に。大切な税金ですから厳格に対応していきます。

警察は容疑者の男らの認否を明らかにしていない。また他にも不正な請求をしていた疑いがあるとみて捜査している。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年5月8日放送)

吉村知事
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