4月初旬、大阪府内のさまざまな高校で入学式が行われました。

その裏側で生じている深刻な事態。なんと、大阪府内の公立高校140校のうち、約5割にあたる67校で定員割れが発生していたのです。

6年ぶりに受験者数が定員超えとなった高校の「秘策」を徹底取材すると、校則の見直しや、修学旅行先をディズニーリゾートに変更するなど生徒の声を聞き、校長自ら仕掛けた改革があったといいます。

さらに高校内に不登校の小中学生が通えるフリースクールを設置するという取り組みも始めたそうです。

定員割れの実態と、V字回復の背景を関西テレビ・秦令欧奈アナウンサーが徹底取材しました。

■私立高校の授業料・完全無償化の影響は大きく…

大阪府で公立高校の定員割れが広がっている背景の一つとして挙げられているのが、私立高校の授業料・完全無償化の影響です。

私立高校の専願率は過去最高を記録しており、公立高校から生徒が流れていると見られています。

このまま進めば、府内の公立高校ではさらなる統廃合が加速するとも言われています。

まず秦アナが向かったのは、東大阪市にある大阪府立枚岡樟風(ひらおかしょうふう)高校。2001年に2つの府立校が統合してできた、生徒数364人の高校です。

【秦令欧奈アナウンサー】「緑豊かな学校ですね!そして校舎、かっこいい。天高々と校章が掲げられています。そして校章、ユニークですね」

外観のかっこよさに思わずテンション上がり気味の秦アナ。中に入ると…

【秦令欧奈アナウンサー】「きれいですね、例えばこの壁とかなんかすごく新しいように見えます。外から見てる印象とまた中入るとガラリと変わりますね」

■5年連続定員割れ…

この高校は、ことしは160人の募集に対し、入学した新入生はちょうど100名。

5年連続の定員割れでした。募集人数も2年前の240名から160名へと段階的に絞っているにもかかわらず、受験生がさらに減り続けています。

【林田健祐校長】「2年前は240名募集やったんです。昨年度は200名募集、今年度が160名募集というふうに募集人数自体もね、減ってるんですけども、まあそれに合わせるようにしてさらに受験生が減ってるという感じになってます」

さらに、大阪の東の端、生駒山のすぐ近くという立地の関係で、ちょっと通いづらいという事情も重なっています。

■食堂をおしゃれなカフェテリア風に 東大阪市内合同で学校説明会も

定員割れが続くことで、学校が直面しているのは生徒数の問題だけではありません。

【秦令欧奈アナウンサー】「お金の面で何か困ることっていうのはありますか」
【林田健祐校長】「やっぱりありますね。学校はPTAのお金ですごく助けていただいてる部分が非常に多くて」

生徒の数が減り、PTA加入率も低下。去年約250万円あったPTA会費がことしは約175万円に。来年には100万円を切る可能性もあるというのです。

このままでは、クラブ活動の大会参加費や卒業式の記念品代が払えなくなる…そんなおっカネ〜事態も現実味を帯びてきています。

学校側も手をこまねいているわけではありません。食堂をおしゃれなカフェテリア風に改装したり、暗かった図書室を明るく模様替えしました。

■説明会に参加して高校を選んだ生徒も

さらに去年の夏からは、東大阪市内の公立高校7校が合同で学校説明会を開催する取り組みもスタートしました。

実際に、その説明会に参加してこの高校を選んだという新入生も。

【新入生】「生徒会の人たちが学校の雰囲気のいいところとか説明してるのがかっこよくて」
【秦令欧奈アナウンサー】「実際に入ってみてどうですか?雰囲気とか」
【新入生】「最高ですね。選んで良かったと思います」

一方で、在校生の間にはこんな本音も。

【在校生】「そのうち潰れんちゃうかな。でも寂しいよな」
【秦令欧奈アナウンサー】「やっぱり寂しいって気持ちはありますよね」

■6年ぶりの受験者数定員超えの秘訣は

続いて秦アナが向かったのは、八尾市にある大阪府立八尾翠翔(やおすいしょう)高校。2002年に八尾東高校と八尾南高校の統合により誕生した、生徒数582人の高校です。

この高校も、去年まで5年連続・直近8年間で7回もの定員割れでしたが、ことしは6年ぶりの受験者数定員超え! 一体どんな秘策があったのでしょうか。

氣賀校長は、実はこの学校の元教員。校長として戻ってきたとき、かつての記憶と比べて感じたことがあったといいます。

【氣賀聡校長】「自分が教員でやってたときよりも、子供にちょっと元気がないなぁって感じましたね。

子供たちが一番過ごしやすい、楽しいっていう学校が作れたら、それが一番中学生が来たい学校になるん違うかと注目して、生徒会の子供も子供同士でアンケート取ろうかみたいな話をして」

生徒が自らアンケートを取り、校則が時代に合っていないと判明。そこから校長自ら、矢継ぎ早に改革を打ちます。

■V字回復の起爆剤は校則見直しと修学旅行先の変更

まず生徒から真っ先に上がったのは、こんなリクエストでした。

【氣賀聡校長】「子供たちは学校の中で携帯電話を使用したいと。それが一番の願い。昼休みと放課後は使っていいように。業間の10分の休みはちょっと我慢しようかと。廊下とか教室で出して触れますからね。それが子供たちはものすごくうれしかったみたいですね」

さらに、V字回復の起爆剤となったのがこれまで沖縄か北海道だった修学旅行先を大人気のディズニーに変更! アンバサダーホテルに泊まることができるのだそうです。

【在校生】「修学旅行の行き先がディズニーランドとシーに変わって、ホテルもアンバサダーホテルに泊まれるのでめちゃくちゃ楽しかったです」

新入生にこの学校に決めた理由を聞いてみると…

【新入生】「ディズニーランド!」
【別の新入生】「ディズニー行ってみたい」

まさに「ディズニー効果」です。

■遅刻した生徒に書かせていた1000文字の反省文も廃止

他にも、SNSで学校の様子を頻繁にアップしたり、文化祭・体育祭の日にはお揃いのTシャツ登校をOKにしたり、人気のなかった宿泊研修を廃止して日帰りBBQに変更しました。さらに、遅刻した生徒に書かせていた1000文字の反省文も廃止。

次々と打ち出される改革に、当初は他の先生から反発もあったそうです。

【教員】「無理難題を言われるときは、うーんって思うことはありましたね。やってみて良かったなっていうことは、たくさんありますね。それこそ今回1.0倍超えたことは、やはり校長のいろんなアイデアの賜物やと思いますし」

■小中高生も利用できるフリースクールも

さらに、この4月から新しい取り組みも始まっていました。

【秦令欧奈アナウンサー】「なんだこれ!すごい。クッションとかもありますよ。なんかゲームボードもあるし」
【氣賀聡校長】「八尾市の小学校、中学校の学校に行きづらい不登校の生徒さんたちの居場所作りとして、うちの学校を使ってもらうことになったんです」
【秦令欧奈アナウンサー】「高校だけど小中学生も来ていいと」
【氣賀聡校長】「そうです」

大阪府教育庁や八尾市の教育委員会と連携したフリースクール「ほっとS」。いつでも自由に勉強したり、くつろいだりできる場所を高校の中に作ったのです。

【氣賀聡校長】「高校を見ることで、なんか変化起きるんちゃうかな。『高校行きたいな』って思えるようになるんちゃうかなっていうのが発想の原点」
【秦令欧奈アナウンサー】「ちょっとでも先がキラキラしてると思ったら、すごく原動力になりそうですもんね」

あなたの地域の学校も、今まさに変わろうとしているかもしれません。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月28日放送)

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