京都府南丹市で安達結希さん(当時11歳)の遺体が遺棄され、父親の安達優季容疑者(37)が逮捕された事件。
警察は28日、父親の安達容疑者を車に乗せ、いわゆる「引き当たり捜査」と呼ばれる、安達容疑者を立ち会わせたうえでの捜査が行われたものとみられます。
元兵庫県警刑事部長の棚瀬誠氏は「引き当たり捜査」について、容疑者を立ち会わせて供述の信用性を裏付ける捜査だと解説。
捜査の進め方などについて説明し、捜査は「予定通りに進んでいる印象」と述べました。
そして「遺体を移動させた」という供述があることから、「別の死体遺棄容疑での再逮捕」の可能性を指摘するとともに、殺人容疑での再逮捕の見込みがあることも説明し、死因が「不詳」でも「殺人で立件・立証できる」と述べました。
■「引き当たり捜査」とは
まず棚瀬氏は「引き当たり捜査」について「容疑者の供述が事実だったかどうかを裏付ける目的で、実際の現場で検証する作業」だと説明しました。
【棚瀬誠氏】「犯行場所であったり、関係場所に容疑者と一緒に行って、実際に容疑者本人にこの場所でどういう行動をしたのか、どういう犯行に及んだのかを容疑者本人に具体的に説明させる。場合によっては犯行を再現させる捜査です。
容疑者がこれまでの取り調べで話してきた内容が、本人の実体験に基づくものなのであれば、その場所で具体的な説明もできます。
例えば『あの森の中で』、『あそこの岩陰で』といった具体的な説明ができるとなれば、これまでの供述が真実だったということになります。
その供述が真実だったかどうかを裏付ける目的で今回の『引き当たり捜査』はなされています」
■「引き当たり捜査」の意図は
きょう(28日)の捜査では、安達容疑者が車を降りて説明する姿は確認できませんでした。これについて棚瀬氏は、「時と場合によりけり」と前置きした上でこう説明します。
【棚瀬誠氏】「例えば『ここから先5メートルの右側』みたいなことを車の中で説明できるところであれば、わざわざ降りる必要もありません。
一方で、『降りて一歩中に入って、具体的に“この岩陰の裏に…”』みたいな、説明を要する場所であれば、容疑者を降ろして実際に指を指させながら説明をさせます」
このように述べた上で、「今回は容疑者を車から降ろすまでの必要はなかったのではないか」と分析しました。
今回は、公衆トイレと自宅近くの山の中で捜査が行われたとみられています。
棚瀬氏によると、遺体を転々と移動させた供述がある以上、「最初にご遺体があった場所」「移動した場所」「最終的に遺棄された場所」のそれぞれについて、引き当たり捜査の対象となり得るとし、「引き当たり捜査をもって、本人に具体的に説明をさせたい」と捜査の意図を解説します。
さらに通学かばんの置き場所についても、「容疑者が置いたのであれば、どのタイミングでどう置いたんだということをやはり容疑者に現場で説明させたい」と述べました。
■逮捕から12日のタイミングに「全く違和感はない」
また、逮捕から12日が経過したこのタイミングで「引き当たり捜査」が行われたことに、棚瀬氏は「全く違和感はない」と述べ、予定通りのスケジュールで捜査が進んでいる印象だと話しました。
【棚瀬誠氏】「事前に容疑者から一定の供述を得た上で、その供述が事実なのか、その事実に客観的な証拠がついてくるか。こういう順番で捜査を進めていきます。
これまでは、供述を1個1個丁寧に聞いてきたタイミング。次、今のタイミングは『引き当たり捜査』をして、供述の真実性と客観的証拠の有無を確認する。
そうすると、死体遺棄容疑を裏付ける、証拠を全体で整えるという意味では、このタイミングで『引き当たり捜査』が行われるのは全く違和感はありません。
容疑者の供述は、遺体を何回か移動したということですから、この移動の順番や、どこかを1カ所ずつ聞いていくとなると、それなりに取り調べの時間が必要ですし。
このタイミングで複数の箇所を当たっているのは、このタイミングだったんだと思います」
■遺体を転々とさせた行為は「別の死体遺棄として立件できる可能性も」
これまでの捜査関係者への取材では、安達容疑者は逮捕前の任意の調べに対し、衝動的に結希さんの首を絞めて殺害したなどという趣旨の供述をしているとみられます。
今後の捜査の行方について、「遺体を転々とさせたという供述が事実なら、別の遺体遺棄容疑とも考えられる」と指摘し、今後は「別の死体遺棄容疑か殺人容疑での再逮捕も考えられる」と述べました。
【棚瀬誠氏】「現状は死体遺棄容疑で勾留され、捜査が進んでいます。期間中に死体遺棄容疑を詰めていく作業になる。
『遺体を転々と移動させた』ということなら、別の遺棄容疑として考えることができます。
事案の全体像が殺害して遺体を遺棄したということなら、殺人容疑での再逮捕も考えられる。
また死体遺棄罪で起訴されれば、身柄を拘束したまま捜査を継続する。いくつかのバリエーションが考えられます」
そして殺人容疑での再逮捕に向けては、「殺害をほのめかしているという供述を前提に、具体的にどういう殺害方法だったのか、どこでどうだということを別途詰めていくということが必要になる」と指摘しました。
■死因「不詳」でも「供述と客観証拠を織り交ぜて全体の証拠を整えれば立証できる」
警察によると、司法解剖の結果、死因は「不詳」で、大きな刺し傷や切り傷はなく、着衣にも目立った損傷はなかったとされています。
【棚瀬誠氏】「科学的な根拠を持って死因と特定できなかったとしても、例えば首を絞めた痕跡が見受けられるとか、それでも矛盾がないといったような捜査結果というのはついてくる可能性がある」
死因が特定できないことは、必ずしも「殺人を立件・立証するうえでマイナスにはならない」と棚瀬氏は述べます。
【棚瀬誠氏】「本人の供述と客観証拠を織り交ぜて全体の証拠を整えれば立証できる」
今後の捜査の進展が待たれます。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年4月28日放送)