まもなく迎えるゴールデンウィーク。例年、ふるさとに、観光地にと人出が増える時期だが、円安に伴う物価高や不安定化する中東情勢に端を発した原油高などが相まって観光関係者からは不安の声も聞こえてくる。

栄枯盛衰を経てV字回復

伊豆半島の玄関口にして“東洋のモナコ”とも称される熱海。

かつては新婚旅行や社員旅行の聖地と言われ、1969年度には532万人もの宿泊客数を記録したが、その後、社会構造の変化や団体旅行の減少などにより観光客数が激減。

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ただ、近年はスイーツの食べ歩きで注目を浴びるなどV字回復を遂げ、2025年度の宿泊客数はおよそ320万人となっている

忍び寄る“W高” 宿泊施設はジレンマ

しかし、昨今の物価高や原油高は観光客の行動にも影響を及ぼしているようで「土産を家族などに結構買っていくが、前よりは少なくなった」「食事代や土産代、旅館の値段などが気になる」と言った声が聞かれる。

こうした状況に頭を悩ませているのは宿泊施設も同じで、熱海温泉ホテル旅館組合の森田金清 理事長は「例えば旅館・ホテルで言えば重油、それからビニールなどの素材に食材費、これらはすべて(宿泊料金が)上がる要因になるので、我々としては非常に危惧している」と懸念を示す。

熱海と言えば温泉を楽しみにしている人も大勢いるが、風呂を沸かしたり、温泉を温めたりするためには重油が不可欠だ。

また、アメニティなどの石油製品や食材も値上がりする中、宿泊料に転嫁させたいところだが、それにより宿泊客が大幅に減ってしまえば元も子もない。

このため、森田理事長は「一番手っ取り早い(方法は)宿泊料金を下げて調整する(集客する)ことだが、いまは一番やりにくい状況になっている。その意味では、宿泊料金を維持しながら質を高めていくやり方しか今のところ見いだせていない」と苦悶の表情を浮かべる。

「安・近・短」に商機 圧倒的な地理的優位性

一方、いわゆる“コスパ”や“タイパ”を重視する人も多い中、熱海の強みは何と言っても地理的優位性で、熱海観光局の上田和佳 専務は「熱海の場合、首都圏から非常に近い。今年のゴールデンウィークの傾向は“安・近・短”と言われているので、その意味で、熱海は選択肢の中に十二分に入ってこれるだろう」と期待を寄せる。

そこで、熱海観光局が今月から始めたのが熱海ナイトベース。

コンパクトな地形を生かして夜の回遊性を高めようという取り組みで、宿泊補助券などが当たるくじ引きやヨーヨー釣りができるミニ縁日を開催しているほか、宿泊客に手持ち花火を格安で販売していて、購入した花火は熱海サンビーチで楽しむことができる。

その狙いについて、上田専務は滞在時間の長さと消費額の多さに相関関係があるとのデータを引き合いに、「宿泊客の回遊性を高めることと滞在時間を長くすることが最大のポイント」と明かす。

大手旅行代理店のJTBが公表した調査によれば、日並びの良さもあって国内旅行の旅行者数は前の年よりも増える見通しとなっている今年のゴールデンウィーク。

商機をつかむためには、地域の特色を前面に出すと共に旅行客の好みや志向を捉えたサービスや体験をいかに打ち出せるのかがポイントとなりそうだ。

(テレビ静岡)

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