先週勢いづいた日経平均株価は、週末の先物価格が一時6万円をつけた。週明けの取引に関心が集まるなか、上昇機運が削がれる材料が出てきた。
「全面開放」での株高機運
先週末17日の日経平均株価は、前週末に比べて1500円を超えて上昇した。前日16日には、5万9518円と、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃前の2月27日につけた最高値5万8850円を上回った。
4月8日の停戦合意以降、市場では好材料が出るたびに期待感が膨らむ展開を繰り返してきたが、15日に公開されたFOXビジネスのインタビューで、トランプ大統領がイランとの戦闘について「もうすぐ終わると思う」などと語り、戦闘の終結は近いとの認識を示したことなどで、悲観的な見通しが一気に薄らいだ。
さらに17日の取引時間終了後には、イスラエルとレバノンの停戦合意を受け、イランのアラグチ外相が「停戦期間中、全ての商船にホルムズ海峡を全面的に開放する」と表明したことから、日経平均の先物価格は、17日午後11時台に一時6万円をつけた。
AI需要での「FOMO」心理
このところ日本株をけん引してきたのは、AIや半導体関連銘柄に資金が集まるアメリカ市場の流れだ。
ハイテク株が多いナスダック総合指数は、17日、13営業日連続で上昇し、前々日には約5か月半ぶりの高値をつけたほか、主な半導体販連銘柄で構成される「フィラデルフィア半導体株指数」も連日最高値を更新している。
アメリカのIT大手が大規模なAI関連投資を打ち出すなか、利益拡大への期待が積極的な買いを誘い、日本市場でもAI向け半導体の旺盛な需要が意識され、関連銘柄に物色の視線が向かっている。株価上昇に遅れまいとする「FOMO」(Fear Of Missing Out)と呼ばれる投資家心理が市場を覆い、買いが買いを呼ぶ展開を生んでいると指摘されている。
ホルムズめぐる新たな懸念材料
こうしたなか、ホルムズ海峡をめぐる新たな懸念材料が浮上した。
イランの中央司令部は18日、声明を発表しアメリカが封鎖という名目で海賊行為を続けていると批判した上で、ホルムズ海峡を以前の状態に戻し厳格な管理統制下に置いたと主張、イギリスの海事当局は18日、オマーン沖でタンカーが革命防衛隊の艦艇2隻から銃撃を受けたとの報告があったことを明らかにした。イラン側が強硬姿勢に転じるなか、週明けの取引で株価の上昇機運が削がれる可能性が出てきている。

AI需要がけん引する株式相場だが、原油高が利益率の圧迫に直結する業種を中心に業績の下振れリスクは消えていない。コスト上昇だけでなく、原油由来の化学製品の供給をめぐる事業停滞も意識されるようになってきた。
大和証券によると、東証プライム上場企業を対象にした2026年度の業績予想の方向性を示すリビジョン・インデックス(RI)と呼ばれる数値は、10日時点で週次ベースでマイナス17.5に低下した。この数値は、アナリストの企業予想で上方修正から下方修正の件数を引いた値を、全修正件数で割って計算されるものだ。空運などの運輸、紙・パルプ・化学などの素材、電気・ガスは、下方修正の数が上方修正を上回って、マイナスに落ち込んだ。
6万円を前に株高の持続性は
原油のWTI先物価格は、イランのアラグチ外相による「ホルムズ海峡開放」表明を受けて、17日には一時1バレル=80ドル台まで急落し、3月上旬以来の安値をつける場面があったものの、その後、再び上昇基調を見せ、不安定な値動きとなっている。
日経平均株価は節目の6万円が目前になったが、株高の持続性に危うさも見え隠れする。週明けの東京市場は、ホルムズ海峡をめぐる不安が再燃するなか、停戦期限を21日に控え、不透明さが強まる相場展開になりそうだ。
(フジテレビ解説副委員長 智田裕一)
