2026年1月に島根・松江市で大型トラックを運転中、男子小学生をはねて死亡させ過失運転致死の罪に問われた男に対する裁判で、松江地裁は4月14日、被告の男に拘禁刑1年6か月の実刑判決を言い渡した。

その判決公判が開かれた日、市内の事故現場では警察や道路管理者、それに地元住民が参加して再発防止策を検討した。
島根県内では、小学校低学年が犠牲となった事故が相次いでいる。
年齢別に見た歩行中の死傷者数が最も多い“魔の7歳”と呼ばれる年代で、改めて注意喚起や対策が必要な状況となっている。
こうした事故を教訓とし、子どもの犠牲をなくすために、ドライバーなども改めて意識向上が求められている。

事故現場(松江市東出雲町)冬の夕方に発生した
事故現場(松江市東出雲町)冬の夕方に発生した
この記事の画像(8枚)

危険運転致死罪に問われた男に拘禁刑1年6か月の実刑判決

被告の男は1月23日夕方、松江市東出雲町錦新町の交差点で大型トラックを運転中、横断歩道を歩いて渡っていた当時8歳の男子小学生をはねて死亡させ、過失運転致死の罪に問われている。

4月14日に松江地裁で開かれた判決公判で芹澤俊明裁判官は、拘禁刑2年6か月の求刑に対し、拘禁刑1年6か月の実刑判決を言い渡した。

松江地裁 判決公判
松江地裁 判決公判

「安全軽視の姿勢は甚だしく、過失は非常に重大」裁判官が厳しく指摘

判決理由について芹澤裁判官は、「大型貨物自動車は、重量等から事故時に大きな被害が生じやすく、構造上運転席からの死角が多く、右左折時は内輪差による巻込みの危険がある」とした上で、被告が「助手席の窓に黒色フィルム等を貼るなどして更に視認性を下げた車両を運転する以上、左折時に横断歩道付近を十分注視し、その安全を慎重に確認すべき相当高度な注意義務を負っていた」とその責任の重さを指摘。
それにもかかわらず、「横断歩道付近を何ら注視せず、巻込み確認を怠ったまま漫然と左折して犯行に至っており、安全軽視の姿勢は甚だしく、その過失は非常に重大である」と述べた。

死亡事故が起きた交差点(松江市東出雲町)
死亡事故が起きた交差点(松江市東出雲町)

「一瞬にして尊い命と将来を奪われた」遺族の心情を代弁

さらに「勤務先から荷物の配送等を急がされていたとしても、注視・安全確認は運転者自身の問題であるから、大きく酌むことはできない。そして被害者は、横断歩道(自転車横断帯を含む)を青信号で渡り始めた直後に車と衝突し、転倒直後に後輪で頭を押し潰され、8歳という若さで一瞬にして尊い命と将来を奪われた。その肉体的・精神的苦痛は筆舌に尽くし難い。遺族の無念さも察するに余りある」と続けた。

そして、「いわゆる交通三悪やひき逃げを伴わない、被害者1名の過失運転致死の事案の中で、相当重い部類に属するもの」と述べた。
被告人に前科がなく、勤務先が加入する保険により遺族に被害弁償が行われることを踏まえても、「拘禁刑の執行を猶予するのは相当でなく、短期の実刑を免れない。これらの事情のほか、事実を認めて反省の言葉を述べていること、妻が出廷して被告人のために証言したこと等も考慮した」として、拘禁刑1年6か月の判決を言い渡した理由を述べた。

裁判後、弁護側は控訴するかについてコメントを差し控えるとしている。

再発防止検討会で黙とうを捧げる参加者
再発防止検討会で黙とうを捧げる参加者

この裁判が開かれた日に、事故が起きた松江市東出雲町の現場では、警察や道路を管理する市と県、それに地元住民などが訪れ、再発防止に向けた対策を探っていた。

事故が起きた松江市東出雲町錦新町の交差点では、この視察を前に参加者が黙とうを捧げた。
再発防止策を探る検討会には、松江警察署や道路を管理する市と県、地元住民などが参加。警察が事故の状況を説明したのに続いて、参加者が再発防止策について意見を交わした。

悲惨な事故を繰り返さない…ソフトとハード両面から再発防止探る

この中で、青信号のタイミングをずらして、車と歩行者の通行を分ける「歩車分離信号機」を導入する案や将来的に歩道橋を設置する案などが出され、警察や市、県などが今後検討を進めることになった。

再発防止検討会で意見を交わす
再発防止検討会で意見を交わす

“魔の7歳”に注視 過去のデータ生かせ

このように尊い命が失われた事故を教訓に、地域では事故防止の取り組みが始まっている中、悲惨な事故をなくすにはどうすれば良いのか、データなどから考える。

警察庁によると、2020年から24年までの歩行中の交通事故による死傷者数を年齢別に見てみると、最も多いのが、小学1年生と2年生にあたる7歳で、“魔の7歳”とも呼ばれている。

児童の行動別 事故発生データ
児童の行動別 事故発生データ

松江市の事故の被害者は当時8歳、4月6日に益田市で起きた事故でも亡くなったのは7歳の小学生だった。
子どもたちの歩行中の死亡・重体事故は、新学期を迎えた4月から6月にかけて増加が見られ、特に「下校」の時間帯に最も多くなっている。

益田市で起きた小学生死亡事故現場(4月7日)
益田市で起きた小学生死亡事故現場(4月7日)

特に7歳前後の子どもたちは、親の手を離れて一人歩きを始めたばかりで、家庭では子どもと一緒に横断歩道の渡り方や道路に飛び出さないことなど交通ルールを確認する必要がある。

またドライバーも、動きが活発で大人に比べ見える範囲が狭い子どもたちの特徴を頭に入れ、「飛び出し」に注意、歩行者優先の運転を心がけることが重要だ。

通学路や友達の家までの経路など、行動範囲に危険な場所がないか、子どもたちと一緒に歩きながら確認する対応も必要ではないだろうか。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。