W杯開幕まで1カ月に迫る中、まさかの事態が発生!
サッカーのイングランド・プレミアリーグ、ブライトンの日本代表MF三笘薫(28)がホームのウルバーハンプトン戦で左太もも裏を痛め、後半13分に途中交代しました。「肉離れ」の可能性が高いとの報道もあります。
また、横綱豊昇龍(26)が、「肉離れ」のため、夏場所2日目から休場することが決まりました。
日本相撲協会は、「右ハムストリングス損傷」との診断書を公表しました。

眞鍋憲正医師( 天理大学 体育学部 准教授)
眞鍋憲正医師( 天理大学 体育学部 准教授)
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今回、眞鍋憲正医師( 天理大学 体育学部 准教授)に、アスリートが「肉離れ」を起こす原因や治療法、復帰までの治療期間はどれくらいなのか等をお聞きしました。

アスリートは筋力が強く、同時に負荷も大きくなる

Q.なぜアスリートは肉離れになりやすいのですか?
A.肉離れの発生するメカニズムは、筋肉が収縮しようと力を入れている状態のまま、強制的に反対方向に引き伸ばされることです。
特にダッシュ、急なストップ、切り返し、ジャンプ着地のような場面で、筋肉に大きな負荷がかかると発生しやすいです。
アスリートは、こうした筋肉に限界以上の張力がかかる動作を日常的に、かつ爆発的なパワーで行います。そのため筋線維の耐久性を負荷が上回ってしまうため、微細な断裂から完全断裂までを引き起こしやすいのです。

Q.なぜ特にハムストリング(太もも裏)に多く発生するのですか?
A. ひとつはハムストリングが二関節筋であるからです。
ハムストリングスは、股関節と膝関節までの2つの関節をまたいでいます。これを二関節筋といい、他には腓腹筋などがあります。
瞬発的にパワーを発揮するような動作(スプリントやジャンプなど)では、股関節が曲がりながら膝が伸びるといった複雑な動きが起こるため、局所的に筋肉への負荷が高まり、損傷のリスクが跳ね上がるとされています。
また、ハムストリングのような速筋線維が多い筋は、短時間で大きな力を出せる一方、急激な加速や減速の場面で高い張力がかかりやすいことも理由のひとつです。
アスリートになるほど筋力が強く、同時にそうした負荷も大きくなるため、肉離れがおきやすくなります。

再生医療的アプローチの選択も

Q.治療法は?
A. 受傷直後は、スポーツを中止して患部を守り、アイシングと圧迫、患部の挙上を行い、腫れや内出血を抑えます。
トップアスリートの場合は、組織の修復を早めるためにPRP(多血小板血漿)療法などの再生医療的アプローチが選択されることもあります。
重度の腱断裂を伴う場合にのみ、手術適応となります。

Q.リハビリ法は?
A.段階的に負荷をあげていき、最終的には同様の動作での負荷に耐性をつけるところまで進めます。

重症度によって治療に3〜6ヶ月も

Q.治療に要する期間は?
A.MRI検査等による画像所見を基に、損傷の重症度によって分類され、数週間から数ヶ月を要します。

Grade I(微小断裂): 1〜3週間
Grade II(部分断裂): 4〜8週間
Grade III(完全断裂・腱の剥離): 3〜6ヶ月(手術を要する場合はさらに長期化)

Q.競技への復帰を判断するポイントは?
A. 競技復帰の基準は、痛みがないことだけでなく、客観的な筋力と動作テストのクリア・柔軟性・そして復帰に対する心理面がそろっていることが重要です。

再発率は非常に高い

Q.再発率は?
A. 肉離れの再発率は非常に高く、20~30%前後(初回後1年以内)と報告されています。ハムストリングは30%近くと高い方です。

Q.予防策は?
A. 肉離れの再発予防には、動作負荷に耐えられる筋力・柔軟性の強化、ウォーミングアップの徹底、疲労の管理、適切な復帰タイミングなどがあります。

※この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

記者として社会部10年、経済部2年、ソウル支局4年半の経験を持つ編集長を筆頭に、社会部デスク、社会部記者、経済部記者、モスクワ支局長、国際取材部記者、報道番組ディレクター・プロデューサー、バラエティー制作者、元日経新聞記者、元Yahoo!ニュース編集者、元スポーツ紙記者など様々な専門性を持つデスク11人が所属。事件や事故、政治に経済、芸能やスポーツまで、あらゆるニュースを取り扱うプロ集団です。