子どもの近視が急増している。文部科学省の調査では、裸眼視力1.0未満の割合が小学校で3割超、中学校では6割程度に達し、いずれも過去最大の水準だ。そんな中、近視の進行を抑える新しい目薬治療が去年4月から近視治療として正式に認められ、注目を集めている。富山市の眼科でも導入が進み、実際にこの目薬を使い始めた小学6年生の男の子とその母親に話を聞いた。「近視の進行は、予防できる時代」——現場の眼科医はそう語る。

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過去最大水準、進む「近視の低年齢化」

文部科学省の調査によると、裸眼視力1.0未満の子どもの割合は、小学校で3割を超え、中学校では6割程度に上る。いずれも過去最大の水準であり、近視の低年齢化が着実に進んでいる現状が浮かび上がる。

主な要因として挙げられるのが、スマートフォンやゲーム機の普及だ。近いところを長時間見続けることで、眼球の前後の長さ(眼軸長)が伸び、近視が進行するとされている。こうした生活環境の変化が、子どもたちの目に大きな負担をかけているのだ。

近視は単に「ものが見えづらい」だけの問題ではない。子どもの頃から強い近視になることで、大人になった際に緑内障や網膜剥離といった深刻な目の病気にかかるリスクが高まるとされている。だからこそ、早期からの対策が重要視されている。

「メガネやコンタクト以外に何かできないか」——30年のキャリアを持つ眼科医の選択

富山市のかみやま眼科で院長を務める上山恵巳医師は、30年にわたって眼科診療に携わり、白内障の手術や近視治療を手がけてきたベテランだ。

「診療中に子どもの近視が増えていると実感した。メガネやコンタクト以外に何かできるものはないかと」

その思いが、新しい目薬治療の導入につながった。去年4月、この目薬は近視治療として正式に認められた。使用できる年齢は5歳からで、近視の進行が安定する10代後半まで使い続けることが望ましいとされている。

仕組みはこうだ。近視は眼球の前後の長さが伸びることで起こるが、この目薬を点眼することで、その進行を抑制する効果が期待されている。子どもの頃ほど近視は速く進みやすいとされており、早い段階で進行を食い止めることが、将来の目の病気のリスクを下げることに直結する。

「寝る前に点眼することが習慣に」——小6・拓海さん親子の取り組み

富山市のかみやま眼科に通う小学6年生の朝倉拓海さんは、小学3年生の秋、学校の視力検査で近視を指摘された。

「ちょっと驚いた、そんなふう(近視)になっているとは思っていなかった」と母親のさやかさんは当時を振り返る。

去年の春から、拓海さんはこの目薬による治療を始めた。使い方はシンプルだ。

「1日1回、就寝前に点眼」と上山院長が説明するとおり、近視のある目に1滴、寝る前に点眼するだけでよい。

「目薬するよって声をかける時もあれば、この子から声をかけてくる時もある。寝る前にさすことが習慣になっている」とさやかさんは話す。治療のハードルが低く、日常生活に無理なく取り入れられる点が、この治療法の大きな特徴だ。

副作用としては、ごくまれにまぶしく感じたり、かすんで見えることがあるとされているが、拓海さんはそうした症状もなく、継続できている。

「使う前は目が疲れている感じがしたが、いまは、目がすっきりしたような気がする」と拓海さん本人も効果を実感している。目薬を嫌がることもなく、「怖いとか目薬したくないとかない?」と聞かれると、「ない」とはっきり答えた。

さやかさんも、「近眼も今のところ抑えられている。メガネの使用もない。裸眼で本人も負担なく生活している。いいのではないかと思う」と手応えを感じている。

費用と注意点——保険適用外だが、1箱4000円ほどから

この目薬による治療は、保険診療の適応外となるため、自由診療の扱いとなる。目薬は1箱(30本入り)4000円ほどで、これに加えて診察代が別途かかる。継続的な使用が必要となるため、費用面も含めて眼科医と相談しながら検討することが重要だ。

「外遊び2時間」も有効——生活習慣の見直しが近視対策の土台

目薬治療と並行して、上山院長が強調するのが生活習慣の重要性だ。外で遊ぶ時間を1日2時間程度確保することが、近視の進行を抑える効果があるとされており、「普段から目を疲れさせないようにしてほしい」と訴える。

実際、拓海さんにも治療を始めてから良い変化が現れた。スマートフォンやパソコンを使う際にタイマーをセットして使用時間を自分で制限するようになったというのだ。目薬という医療的なアプローチが、生活習慣の改善にもつながった好例といえる。

「子どもと親と眼科医で一緒に考えていきたい」

上山院長はこう語る。「近視の進行は、予防できる時代。子どもと親と眼科医と一緒になり、良い治療法を考えていきたい」

かつては「視力が悪くなったらメガネ」という時代が長く続いたが、いまは進行そのものを抑える選択肢が生まれている。子どもの視力低下に気づいたとき、あるいは気づく前から、眼科に相談する習慣を持つことが、子どもたちの目を守る第一歩となるのではないか。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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