帝国データバンクの調査によると、4月に値上がりする飲食料品は2798品目。相次ぐ値上げで家計への負担が増す中、「廃棄ロス」を減らす動きが広がっている。注目されているのが、売り手にも買い手にもメリットがある“ワケあり”専門店だ。
破格の安さ!そのワケは?
ペットボトルの水が3本で60円…!
「1箱400円、エグイでしょ?」
そう話すのは、広島市南区にある「エコイート広島南店」の山根哲彦マネージャー。
この店では、あの炭酸飲料が40円、強力小麦粉が128円、レトルトの白がゆは30円と“破格の安さ”で飲食料品が並んでいる。
その安さには理由がある。
「賞味期限が近い商品や切れている商品をなるべくお安くしております」
そう、店頭に並ぶ商品の多くは賞味期限が切れている、あるいは間近に迫ったもの。メーカーや小売店で販売できなくなった「廃棄予定品」を引き取り、定価の20~90%オフで販売している。そのため、値札に賞味期限の年月日が書き込まれているのも特徴的だ。
賞味期限切れ=食べられない、ではない
農水省のホームページによると、賞味期限はいたみにくい食品に表示される「おいしく食べられる期限」のこと。期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではない。

「炭酸飲料は賞味期限から3か月ほど、お茶などの飲料は7か月まで大丈夫。調味料はものによっては1年ほど問題なく使えるものもある」と川西宏明店長は説明する。
このように期限切れの商品には店独自の販売基準を設け、スタッフが試食や試飲をして品質も確認している。
山根マネージャーは、積み上げられた箱に目をやりながら言った。
「メーカーさんも捨てたくないんですよ。捨てるのにお金がかかるから。店にある商品は全部、ほっといたら捨てられていたものなんです」
廃棄されるはずだった商品が誰かの生活を支えている。「捨てるなんてもったいない」という視点を持てば、暮らしは少し豊かになる。
値上がり時代の“宝探し”
そんな“もったいない”を味方につけたいと、この日も幅広い世代が店を訪れていた。
3度目の来店という男性はこう話す。
「なんでも値上がりしているので少しでも安く。賞味期限は気になるが、それでもおいしいので、だったら安いところに来ようかなと思って」
給料は少し上がったが、それ以上に物価高を感じるという。
一方で、店内には見慣れない商品も多く並び、思わぬ発見もある。
「見たことないという人が多いけど、これめっちゃウマイんです」と、山根マネージャーが勧めるのは豚骨ニンニクドレッシング。
単なる節約だけでなく“宝探し”のような楽しさもある。お得な買い物が、廃棄ロス削減につながっている。
節約ブームに乗るオフプライスストア
こうした動きは広島県内に広がっている。
関東から全国へ出店攻勢を強めるオフプライスストア「アエナ」が、3月26日、府中町のイオンモール広島府中に新店舗をオープンした。福山市に続き、県内では2店舗目となる。
店内は多くの来店客でにぎわい、レジ待ちの長い列ができていた。
「ボディスクラブやヘアケア商品が気になって来ました」
「紅茶とお味噌汁、チョコレートを買いに」
「シャンプーなどの日用品を安く買えるのがすごくお得だなと思いました」
旧モデルも“品質の良さ”は同じ
この店にも、安さの理由が…。
メーカーが作りすぎた余剰品やパッケージがリニューアルされた旧モデルなど、“品質は良いのに余ってしまった商品”を中心に取りそろえている。その結果、半数以上の商品で30~90%オフを実現。
中でも、女性たちが熱い視線を送っているのがコスメコーナーだ。メーカー希望小売価格1078円のティントリップが「93%オフの税込76円」で販売されるなど、驚きの価格も珍しくない。
アエナ広報室の岡崎彩音さんは「オープンしてから想定以上の来店があり、お得な買い物やその場限りの出会いを楽しんでもらっています」と手応えを語る。
物価高による節約志向が追い風となり、人気が高まる“ワケあり”専門店。“もったいない”の意識が、値上がり時代の暮らしに小さなゆとりを生み出している。
(テレビ新広島)
