物理の法則を利用して下水道のゴミの流出を大幅に削減する、東京都が開発した装置が改めて世界で注目されている。
東京都では、汚水と雨水を同じ1本の下水道管で流す合流式下水道の方式がとられている。
この方式は日本では東京や大阪、世界ではニューヨーク、パリ、ロンドン、など、古くから市街化が進展した大都市で採用されている。
この方式は弱い雨の日には道路の汚れ等も下水処理できる点が優れている一方、大雨が降ると下水が越流してゴミや汚水が川や海に流れ込む環境負荷の問題も起こる場合がある。
特に地球温暖化による気候変動で局所的なゲリラ豪雨の発生が増えた近年、降雨時におけるゴミの流出を抑制させることがますます重要となっている。
物理法則を活用「水面制御装置」が注目
そうしたなか、東京都下水道局が2000年に建設コンサルタントなどと開発した、物理の法則を活用した装置「水面制御装置」があらためて注目されています。
この「水面制御装置」はごみが堰を越えて流出することを防ぐ「ガイドウォール」と、「制御板」の2つで成り立っていて制御板が水の流れを変え、下方向に水を押し出す渦が作られます。
するとゴミや汚水がこの渦に吸い込まれ、汚水処理センターへ流れていくという仕組みです。
この「水面制御装置」を川や海などにある下水道のはけ口に設置すると、7割以上のごみの流出を防ぐことができるということで、性能がよい上に、安くて、設置とメンテナンスが簡単だという点が評価されています。
東京都のHPに紹介されている動画を見ると、板を設置すると渦ができ、ゴミにみたてたボールが次々と吸い込まれていくようになり、物理の法則をうまく使っていることが分かります。
この装置が開発されるまでは、フェンスのような装置などが開発され、導入されてきましたが、コスト面、維持費などに課題が残っていました。
「水面制御装置」は2000年の開発以降、2002年から都内のはけ口に設置が始まり、いまでは都内730カ所のうち9割に設置が完了しています。(※残り1割は別の対策がとられています)
この装置は、土木学会賞と国土交通省の循環のみち下水道賞を受賞。海外でも高い評価を受け、ドイツ、フランス、ベルギーイギリス、韓国の下水道で採用されているということです。
大雨により下水が越流して川や海に流れ込むと、水質浄化には長い時間を要する。
地球温暖化による気候変動が社会に影響を及ぼしはじめているなかで、水質改善や環境対策として、東京都下水道局が開発した装置がいま世界で注目されています。
(※動画は都庁HPより)
【執筆:フジテレビ社会部 都庁担当 大塚隆広】