会津坂下町で長年愛され続けてきた伝統の味を巡る。江戸時代から200年以上続く蔵元「八二醸造」の会津みそと、町のソウルフード・元祖「冷やしラーメン」を提供する「食堂いしやま」。その歴史とこだわりの味を紹介する。
■江戸時代から続く味噌と醤油の蔵元
趣のある佇まいが立派な「八二醸造」は、江戸時代から200年以上続く味噌と醤油の蔵元である。会津は米どころとして知られ、おいしい米がとれる土地は酒や味噌もおいしくなるという。また、冬は寒く夏は暑いという寒暖差の大きい気候風土が、この地の醸造文化を発展させてきた。
「八二醸造」という名前には、「商売の利益の2割は地域へ寄付するなど、世の中へ還元しなさい」という、代々受け継がれてきた方針が由来として込められている。
味噌蔵を見学すると、中には味噌の香りが満ちている。大きな樽の中では、仕込んだばかりの味噌が発酵の時を待つ。まだ黄色に近い色の味噌だが、ここから麹が活発に動き、発酵が進むことで徐々に赤くなっていく。「うちの一番の働き者なんですよ」と高久礼子さんは語る。
一年間熟成させて完成した「會津こだわり味噌」は、赤さが増し、きれいな色味をしているのが特徴だ。味わいは、優しい甘みとコク、そしてまろやかさがあり、口に入れると味噌の上品な香りがふわっと広がる。
また、人気商品の「たまごかけ醤油」は、醤油にかつおだしのうまみが効いている。会津坂下町の風土が育んだ伝統の味である。
《八二醸造》
【住所】会津坂下町字市中二番甲3631
【営業時間】午前9:30~午後5:30
【定休日】不定休
◇會津こだわり味噌 700g 864円
◇たまごかけ醤油 150ml 410円
■客の一言から生まれたソウルフード
八二醸造から目と鼻の先にあるのが「食堂いしやま」。ここで味わえるのが、会津坂下町のソウルフード「冷やしラーメン」だ。現在、町内10店舗以上で提供されているが、その元祖がこの店である。
このラーメンが生まれたのは、昭和27年の冬。体調を崩した客からの「喉が痛いから、熱いものじゃなくて、冷たいものはないか」という一言がきっかけだった。この要望に応えようと、生みの親である祖母のミナさんが作ったのが始まりだ。以来70年以上、その味は受け継がれている。
店主の福地隆史さんによると、スープのこだわりは徹底している。「豚のだしを取って、その脂を3日間丁寧に取り続けて、脂がまったく浮いてない超あっさりのラーメンになっております」。
豚のうまみとキレが際立つスープは、ごくごくと飲めるほど。常連客の中には「飲むラーメンだ」と言う人もいるという。
麺はコシがあり、喉越しも最高。冷たいスープと相まって、つるつると喉に吸い込まれていくようだ。
季節を問わず年中提供されていて、暑い夏はもちろん、それ以外の季節にも人気の一杯となっている。
《食堂いしやま》
【住所】会津坂下町字市中二番甲3617
【営業時間】午前11:00~午後2:30
【定休日】不定休
◇冷やしラーメン 800円