静岡県掛川市の小中学校で一律で宿題を出すことをやめる動きが出てきています。その狙いと背景を取材しました。
小学生の保護者:
(Q.学校の宿題は親としてどう?)必要だと思う。(Q.理由は?)繰り返しやっていくことで頭に入っていくので、学校から宿題を出された方がやる気にもなるから必要。
小学生の保護者:
理想は自分で苦手なところをやってくれたらうれしいけれど、たぶん言われないとやらないので(宿題は)あった方がありがたい。
小学生の保護者:
たまに宿題がないと喜んで帰ってくる日があるけれど、保護者としては毎日やってほしい
子供たちの学力定着を目的に学校から出される宿題。
ただ、県外の学校では廃止に踏み切る学校もあり、いま、その在り方について見直しが進められています。
掛川市教育委員会 学校教育課・岡本慎也 指導主事:
いま掛川市では、学校の先生が決めた宿題に取り組む場面もあるが、子供たちが自ら何をやるか考え、何が必要かを考えて取り組む、子供たちにとって必要のある学びにすることを意識して取り組んでいる
子供たちが主体性や自主性を持って机に向かってもらおうと、掛川市の学校で進められている“新たな学習のカタチ”を見つめます。
原谷小学校・川隅翔太 先生:
今年の“けテぶれ”がどうだったのか、1年間を振り返って、来年の目当てや成長したこと、頑張りたいことを確認していきたい
小学4年生の授業で原谷小学校の川隅翔太 先生が口にした“けテぶれ”という聞きなれないワード。
計画・テスト・分析・練習の頭文字を組み合わせた造語で、自ら計画を立てた上で問題を解いて結果を振り返り、弱点を克服するために必要なことを考えて勉強するというサイクルを繰り返す学習法のことを指します。
子供たちは、1年間“けテぶれ”を実践して感じた成長を発表していました。
4年生:
生活でも“けテぶれ”が使えるようになった。
4年生:
凡ミスなどがなくなった
4年生:
目標の内容が分かりやすくなった
この学校では5年前に川隅先生が“けテぶれ”を取り入れると、2024年からは全校で実践。
現在は家庭学習にも応用し、宿題は課題を一律に与える形ではなく子供たち自身が考えます。
原谷小学校・川隅翔太 先生:
困惑する子は当然いるけれど、そういう子には自分がフォローしたり、友達同士で教え合う時間を確保したりしているので、できるようになっていく子が多い。
4年生:
どうやったら楽しくできるのかをしっかり考えてやるから、難しいけれど慣れてくると楽しい
4年生:
自分に合ったやり方ができるから楽しい
では、実際にどのように家庭学習が行われているのか?
4年生の鈴木佳帆さんの自宅を訪ねると…
原谷小学校・鈴木佳帆さん(小4):
(Q.きょうは何をやる?)熟語。友達の(学習ノートの)写真を撮ってきたから、真似してやってみる
友達の学習方法に工夫を感じたことから、さっそく自身の勉強にも取り入れることにしたと言います。
原谷小学校・鈴木佳帆さん(小4):
50問テストをやって一応合格はできたけれど、熟語の数が少なかったので、熟語を勉強して点数を上げたい
覚えたい漢字を繰り返し練習すると同時に、その字を使った熟語をタブレットで調べ、意味も確認していきます。
時にわからないことはお母さんにも聞き、集中力を切らすことなく家庭学習を終えました。
佳帆さんの母:
きょうもばっちりでしょうか?
佳帆さん(小4):
いつも以上に
佳帆さんの母:
いつも以上に?すばらしいですね
佳帆さん(小4):
集中できた
佳帆さん(小4):
うまくできて良かった
佳帆さんの母・鈴木映美さん:
成長したなと思う(Q.どんなところが?)最初の頃はやり方がわからなくて、すごく苦労していたけれど、今はもう自分は何ができないか、客観的に見られるようになり、重点的に自分なりに工夫してやっているのだと思う
同じく4年生の内藤福喜さん。
福喜さんの父:
この間やったことをもう1回やっているのはなぜ?
福喜さん(小4):
一番苦手で、そんなにできなかったから
福喜さんの父:
もっとできるようになりたい?
福喜さん(小4):
うん
福喜さんの父:
どの辺が?
福喜さん(小4):
この1・2・3番
この日は算数の中でも苦手意識を持つ課題の克服に励んでいました。
福喜さんの父・内藤一紀さん:
(Q.黙々と集中してやっていますね)自分が決めたことだと結構集中しやすいみたいで、楽しんでやっている。宿題が終わったではなく、きょうこれをやろうから入るのですごく良いと思う
一通り勉強を終え、感じたことや学んだことについての分析も記入しましたが、今度はまだ授業で習っていない部分のページを開きます。
原谷小学校・内藤福喜さん(小4):
(Q.なぜ予習もやろうと思った?)わからないまま行っても、何もわからないから。“できた”にしてから行った方がいいんじゃないかなと
原谷小学校では低学年については宿題という形で一律の課題を用意しているものの、学年が上がるにつれて子供たちが自ら考え、取り組めるような形へと徐々にシフトさせていると言います。
原谷小学校・熊膳直也 校長:
すでに1年生にも“けテぶれ”という言葉は浸透していて、自分で考えて課題を作り、学習をすることに取り組んでいる。「低学年にとっては少し難しいのではないか」「うちの子には取り組みが難しい」という意見をもらっているので、その都度個別に子供たちにアドバイスをすることで対応していきたい
時代の流れと共に変化する教育の在り方。
正解がない中で子供たちの自律性を養う取り組みが定着し、他の学校や地域にも広がっていくのか注目されています。