新年度から全国的に本格化する公立中学校の部活動の「地域展開」。富山県内の現状をシリーズでお伝えしています。
「地域展開」は従来、学校で教員が担ってきた部活動の指導を地域のクラブ・団体が支えるというものです。
その課題のひとつが指導者や場所といった「受け皿の確保」。独自の取り組みを進める上市町を取材しました。
町の武道館で行われていたのは、空手の稽古。大人に混じって中学生の姿もあります。
町唯一の中学校、上市中では3年前に空手道部がなくなりました。
いまは、上市町空手協会スポーツ少年団がその受け皿となっています。
もともと、幼いころからこの道場に通い、中学で空手道部に入る生徒も多かったため、移行はスムーズだったといいます。
指導を担う、内山彰博さんは、「地域展開」についてこう話します。
*内山彰博さん
「人口減とかなしにすれば、やっぱり部活動は学校であった方が子どもたちは行きやすいし、そこでの仲間づくりもできますし。ただ今この人口減少というところでいうと、学校だけでは部活動の人数が確保できない。そういう部分でいうと地域でカバーできる部分はカバーしてもいいのかなと。子どもたちの人間力の育成っていう部分は鍛えていきたい。学校ではできない、ガッツリとしたやつを」
上市中では、現在の1年生が卒業する再来年(2028年)3月をもって、すべての部活動が終了。地域に「完全移行」します。
そのため、この春入学の新1年生からは、部活の受け入れを停止します。
*上市町教育委員会 谷吉竜一局長代理
「(新1年生は)自分で放課後に地域クラブや、地域で活動している団体に混ざって一緒になって参加するという形をお願いすることになってきます。子どもたちのニーズに合ったものを町はできるだけ用意していきたいと思っています」
町の中学生の数は、およそ380人。
今後も減少が続くとみて、改革を急ぐ町がテーマに掲げているのが、「上市町の新しい放課後」です。
同じく平日の夜7時半、町内の公民館。こちらは町の和太鼓チームです。
「笑花~emika~」ここにも子どもたちの姿が。
上市町では「地域展開」にあたり、大きく2種類の活動を用意。ひとつは、上市中にもともとあった部活動の機能や希望する部員を引継ぎ、地域の担当者が指導を担う「認定地域クラブ」。野球や吹奏楽、空手などおよそ10種目です。
そして、以前から町内で活動していた団体が新たに中学生を受け入れる「登録活動団体」。ダンスやデザイン、料理、ボクシングなど現在30あまりの団体が登録、「多世代型」がウリです。
これが、町が進める「新しい放課後」の形です。
この日は、春から中学生という女子児童ふたりも参加していました。
*小学6年生
「別に年齢差とか関係なくても気軽に喋れるし、話しかけてくれるから良いです」
*小学6年生
「(参加の理由は)楽しそうだと思ったし、いろんな人と関わるのも楽しそうだと思ったから。中学に行ったら和太鼓をそのまま続けたい」
*保護者
「この和太鼓の練習は夜7時半ごろからなので、仕事が終わってから送ることができる。でも例えば夕方5時くらいから始めますってなったら勤務の関係で送れなくなるので、(今後も)バランスがとれれば助かる。地域移行になったとして、子どもたちが選択できないとか、あきらめるとか、そういうことがないように心から願う。誰でも参加できるのが当たり前の状況になってほしいと思う」
学校外の活動となれば、保護者にとっては送迎に加え、会費の負担も懸念されます。
そこで町は新年度から、中学生の保護者に対し、認定の地域クラブ、また登録団体などに参加するための会費の半額を年間・最大3万円補助することにしました。
県内自治体では初めて、全国的でも例がない制度だといいます。
単なる地域への移行ではなく、新たな受け皿を広げていく上市町。
町の「新しい放課後」がスタートします。